広がる世界

mahiro

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「男を好きになったことか?」


「まぁ、そうですね」


目の前にある肩におでこを乗せて言えば、荒巻さんはその頭に大きな手のひらを乗せてきた。


「確かに性別は気になるかもしれないけど、別に大した問題じゃなくね?」


「結構問題あると思いますけど」


世間体とか、例え一緒にいたとしても子供を作ることも出来ないし、家族から理解がされない。
俺はその程度で済むが、荒巻さんの場合、ファンが減り仕事がなくなる危険性だってある。
俺も今の職場に存続できるかどうか怪しいところだし。


「例えグループの皆さんが俺たちのことを許してくれたとしても、ファンの方々はどうするのですか?貴方を好きで応援している人たちが俺たちの関係を知って離れていってしまったら?」


「うーん。別にどうとも思わないかぁ。真実を知って離れてしまうならそこまでだし!俺は真実を偽ってまで活動する気はないし!」


「では、御家族はどうですか?」


「家族?んー別に何とも言わないと思うけど。みんなの俺のしたいこと、やりたいことを応援してくれる奴らだし!」


「良い御家族ですね…」


「おう!良い家族に恵まれるだろ!」


「羨ましいです」


普通、そんなことを言われたら怒られるか軽蔑をされるというのに。


「嶋貫さ、俺より周りのことが見えてるし、物事を沢山考えられる奴だと思うよ。でも、たまには考えないで感情だけで動いてみるのも良いと思うけどな」


「荒巻さんは考えてなさすぎなんです」


「酷くね?」


「事実を言ったまでです」
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