その日君は笑った

mahiro

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暫く経っても止む様子もなく、雷までおまけで鳴り始めた。
これはまだまだ止むまでかかりそうだ。
俺は別に時間に迫られていないが、真宮は違う。
この後にバイトが入ってるもんな。
どうすんだろうと思い、チラッと横を見てみると丁度バイト先に遅れる連絡を入れる所だった。
今までふざけた顔しか見せてこなかったけれど、電話をしているときの真宮の横顔は真顔そのものだった。
こんな顔もするのな。
いつもふざけた顔しかしないのかと思った。
普段からこの顔でいたら絶対に女の子が騒いで離さなそうなのに勿体ない奴だな。


普通、俺と宝生が並んでいたら誰もが宝生に興味を持つにはずなのに、何故か俺に構う真宮が本当に謎だ。
確かに友人の彼氏だと分かっていて手を出すような輩はなかなか居ないと思うけど、だからって何でよりによって俺。

まさか俺と仲良くしておいて、宝生の情報を得ようっていうんじゃないだろうな。
残念ながら俺は宝生のことも宝生の彼氏のことも実はそんなに知らない。
いつ付き合い始めたとか、どっちが告白したとか、そういう所謂馴れ初めのようなものは一切知らない。
知っていることと言えば、宝生は彼氏のことが大好きでアキという人物に常に嫉妬していることくらいだ。
もしかしたら酔っ払って宝生が他の話もしていたかもしれないが、生憎記憶にない。

あと考えられるとしたら、お金か。
お金なんてないけどな。
いつもギリギリな生活しかしてないし、いつも。
給料日の前日とかお金無さすぎて、ご飯もまともに食べられないことあるし。
そんなの持ってるものとか、今のボロボロの格好見れば分かるだろう。
たかっても無駄だって。

じゃあ何だ。
真宮が俺に構う理由って。
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