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酔っ払い
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「ううううう、あの政光俊樹(まさきとしき)め………オレというものがありながら何と罪深き男………!」
一升瓶抱えて泣く人物が増えた。
腕で目を押さえながら泣く友人その2の肩には友人その1の腕が回されている。
因みにその1は宝生だ、その2が隼である。
「そうだよな!俺という者がありながら他の男のもとへ行くなんて酷いよな!」
「酷い…酷いぞ!やっぱり女の方が良かったということか!ううううう、オレは所詮愛人ということだったのか?!」
会話が成り立ってんだか成り立っていないのか、この酔っ払いども。
本人たちは噛み合ってると思ってるのか、お互いがお互いに言いたいことを言い合って瓶を片手に抱き合って泣き始めた。
お前らそれは浮気と疑われないのか。
「ほらもう寝ろ。馬鹿2人」
「馬鹿とは何だ、孝介!俺は真面目に悩んでいるのだ!」
「そうだぞ、孝介!寝て忘れられないから酒飲んでるんだぞ!」
酔っ払いの相手は疲れるな、全く。
「分かったから寝ろ」
もう瓶は抱えたままでも良いから寝てくれ頼むから。
そう俺が願った所でこの酔っ払いが言うことなんて聞くわけもなく、結局2人が寝たのは明け方の5時くらいで、俺は眠れぬ夜を過ごすことになったのだった。
しかもだいたいこの時間になると、彼らの迎えが来るのだ。
「今日はどっちが先か…」
いつもは宝生の彼氏が先に来ることが多いが、如何なものか。
それを待ちながら散らかった部屋を片付けるとしよう。
テーブルの上にはつまみが散乱しているし、コップも置きっぱなしだ。
瓶もいい加減取り上げるとして、床も酒だらけだから拭かないとな。
雑巾を取りに行こうと玄関に向かえば、そのタイミングでインターホンが鳴ったので、そちらに向かえば、今日は珍しく隼の彼氏が先に迎えに来たのだった。
「や。今日も居る?」
サングラスにニット帽と怪しげなこの男が隼の彼氏だったりする。
身バレ防止のためにいつも被ってるのだとか。
「いますよ。ちょっと待ってください。まだ掃除が出来てなくて」
そう声を掛ければ、首を横に振って部屋に入り込んできた。
もうここに来る人たちって皆こうだ。
自分たちの部屋のように普通に入ってくるから困る。
俺の家を何だと思っているんだか。
「隼、帰るぞ」
「ううううう、この…俊樹め……」
肩を揺さぶられている隼の目は覚めておらず、眠りに付いたときのまま瓶を抱き締めたまま壁に寄りかかって寝ている。
その肩には毛布はかけておいたが、暑いのかずり落ちていた。
「ハイハイ、帰ったら嫌でも聞いてやるから帰ってこい」
あんなに瓶から手を外させるのに難航していたというのに、隼の彼氏は意図も簡単に外し、背中に隼を背負った。
俺は慌てて隼の荷物を持って玄関を開ければ、隼の足を抱えている手にそれをかけてやる。
「いつも悪いな、助かったわ」
そう言って2人は無事帰ったのは良いが、こんな安っぽいアパートの目の前に高級車で来ないでくれと言いたいが、一瞬で帰るし良いかと思ってしまう部分もあったりする。
「はぁ、さて、残り1人か」
怒られないと良いんだがな、あの怖い怖い彼氏さんに。
一升瓶抱えて泣く人物が増えた。
腕で目を押さえながら泣く友人その2の肩には友人その1の腕が回されている。
因みにその1は宝生だ、その2が隼である。
「そうだよな!俺という者がありながら他の男のもとへ行くなんて酷いよな!」
「酷い…酷いぞ!やっぱり女の方が良かったということか!ううううう、オレは所詮愛人ということだったのか?!」
会話が成り立ってんだか成り立っていないのか、この酔っ払いども。
本人たちは噛み合ってると思ってるのか、お互いがお互いに言いたいことを言い合って瓶を片手に抱き合って泣き始めた。
お前らそれは浮気と疑われないのか。
「ほらもう寝ろ。馬鹿2人」
「馬鹿とは何だ、孝介!俺は真面目に悩んでいるのだ!」
「そうだぞ、孝介!寝て忘れられないから酒飲んでるんだぞ!」
酔っ払いの相手は疲れるな、全く。
「分かったから寝ろ」
もう瓶は抱えたままでも良いから寝てくれ頼むから。
そう俺が願った所でこの酔っ払いが言うことなんて聞くわけもなく、結局2人が寝たのは明け方の5時くらいで、俺は眠れぬ夜を過ごすことになったのだった。
しかもだいたいこの時間になると、彼らの迎えが来るのだ。
「今日はどっちが先か…」
いつもは宝生の彼氏が先に来ることが多いが、如何なものか。
それを待ちながら散らかった部屋を片付けるとしよう。
テーブルの上にはつまみが散乱しているし、コップも置きっぱなしだ。
瓶もいい加減取り上げるとして、床も酒だらけだから拭かないとな。
雑巾を取りに行こうと玄関に向かえば、そのタイミングでインターホンが鳴ったので、そちらに向かえば、今日は珍しく隼の彼氏が先に迎えに来たのだった。
「や。今日も居る?」
サングラスにニット帽と怪しげなこの男が隼の彼氏だったりする。
身バレ防止のためにいつも被ってるのだとか。
「いますよ。ちょっと待ってください。まだ掃除が出来てなくて」
そう声を掛ければ、首を横に振って部屋に入り込んできた。
もうここに来る人たちって皆こうだ。
自分たちの部屋のように普通に入ってくるから困る。
俺の家を何だと思っているんだか。
「隼、帰るぞ」
「ううううう、この…俊樹め……」
肩を揺さぶられている隼の目は覚めておらず、眠りに付いたときのまま瓶を抱き締めたまま壁に寄りかかって寝ている。
その肩には毛布はかけておいたが、暑いのかずり落ちていた。
「ハイハイ、帰ったら嫌でも聞いてやるから帰ってこい」
あんなに瓶から手を外させるのに難航していたというのに、隼の彼氏は意図も簡単に外し、背中に隼を背負った。
俺は慌てて隼の荷物を持って玄関を開ければ、隼の足を抱えている手にそれをかけてやる。
「いつも悪いな、助かったわ」
そう言って2人は無事帰ったのは良いが、こんな安っぽいアパートの目の前に高級車で来ないでくれと言いたいが、一瞬で帰るし良いかと思ってしまう部分もあったりする。
「はぁ、さて、残り1人か」
怒られないと良いんだがな、あの怖い怖い彼氏さんに。
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