やっと、

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「他人と重ねられるのは嫌だという気持ちは分かる。それに申し訳なさも感じてる。だけど、やっと自分のなかでこいつだって感じた人物を簡単に手放したくねぇ」　


「言い方が悪いですが、それは全てルネ王子の都合です。その都合に付き合わされる私が嫌だと思っていても、続けるのはどうかと思います」


いい加減、私のことなど諦めてほしくて厳しめの言動を取ってみた。
何だか昔の私みたいだな。
思っていることと、態度が異なるなんて。


「それもそう、だな」　


昔と異なるのは、ルネ王子の受け止め方だろうか。
以前の私が同じようなことを言ったら怒っていたのに、今は表情を曇らせ、困った表情を浮かべている。


「なら」


かと思えば、暗かった表情を明るく見せた。


「俺にミュライユのことを教えてくれないか？あいつのことなんて俺の頭から消えて、ミュライユのことをしっかりとミュライユとしてしか見れなくなるくらいに」


「え。探している方を忘れたいのですか？」


「ちげぇよ。ちゃんとミュライユはミュライユだって俺が認識して、あいつと区別できるようになってミュライユに嫌な思いをさせたくないだけだ」