やっと、

mahiro

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「見る人が見りゃあんたが女性だって分かるだろ。それに大抵こういう話ってのは自分のはなしであることが多いんだよ。あんたの場合は、顔見りゃ分かる」


分かりやすい表情をしていただろうか、と思わず顔に触れてみるも分からない。
ジュリーが凄いだけじゃないのか。
普通の人なら分かる筈がないじゃないと思う。
少なくとも私は分からない。


「それで?相手に何を返すつもりだ?絶対にネックレスは送られてくるぞ?」


話戻すけど、と言うジュリーに、私は悩んだ。
こんな風に物を送られてくること事態が初めてだし、まさかあのルネ王子から私宛にこんな意味が込められたものが届けられるなんて思っても見なかった。


「そうだよなぁ……何を返したら良いんだろ」


こういうのに詳しそうなのは身近というほど身近ではないけれど、ジュリーしかいないもんな。
エディスは知らないし、ノエリア王子に聞いたら分かっていても教えてくれなそうだ。
そもそも私のこの状況も分かっていても、エディスに関係しなければ動いてくれないだろうし。


「『私も同じ気持ちです』なら、この時計をオススメするが?」


ジュリーはそう言うと戸棚から箱に入った腕時計を出した。
傷1つなく輝くその時計に、目を奪われそうになるも、その意味に頷くのを躊躇った。


「いや、同じ気持ちじゃないし」


「『あなたと私はお友達です』という意味を持つ、プランという花とかどうだ?もしこれにするなら一輪にした方がいい。二本だと『親友』になるから」


「いや、『友達』とか無理だわ」


エディスのお世話役で、既に平民でしかなくなった私が他国の王子様と友達とか絶対に可笑しいだろう。


「なら、『あなたの気持ちにはお答えできません』という意味のスールトという黒い花か?」


「それは良い!」


早速花屋に買いに行くか、と回れ右をすると、ジュリーから小さく声をかけられた。


「自分の気持ちとちゃんと向き合ってから決めろよ?他人の意見とか反映しないでさ」
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