やっと、

mahiro

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ルネ・レニエという人は、周りの人に好かれていて常に人の中心に立っているような人だった。
何故そんな人が私の婚約者となったのか、どんな繋がりが出来、スパイを必要としたのか、何故暗殺を目論んでいたのか私には彼らの考えは全く分からない。
分かりたくもない。
正義感が強く、真面目で曲がったことが大嫌いな人だった。
だから私は嫌われるために不真面目な行動を取ったり、仲間を大切にするルネ王子の仲間を傷付けてきた。
そのためには手段を選んでこなかった。
本当はルネ王子が謝るようなことは何一つない。
むしろ今までのことを謝るのは私の方で、もう死んだとされる人物のことなど考えずに、前だけ向いて突き進んで行って欲しいと思う。


が、そんなことミュライユでしかない今の私が言えるはずがない。


「その女の子と会えると良いっすね」


言えるのはそれくらいだ。


「本当にな………。本当はあんたが俺の探し人であれば……」


良かったのになぁ、と小さく呟かれた声があまりにも苦しげで思わず胸の辺りを強く握り締めた。
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