オレに触らないでくれ

mahiro

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誰かオレに解説をお願いします

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「そうだなぁ…凄く綺麗な人、かなぁ」


「綺麗な人?」


「おう、それでいて格好いい人」


「綺麗で格好良い人……」


何でオレは本人に向かってそんなこと言ってるんだろうなぁ、全く。
恥ずかしくて仕方ない。
別の話題に移したい、切実に。
でも、何となく今のタイミングでしにくい。


「俺の知ってるお人かい?」


そりゃもう宮永はよく知ってるでしょうよ。
だって本人だもの。
本人以外で知ってるのは宗方じゃないですかねぇ。


「………知ってると思うぞ?」


「そうかい……」


そう言うと宮永は何やら悩み始めたのだけど、今の情報で誰だと思うんだろうなぁ。
オレだったら宮永以外想像つかないけど。
いや、相手が男だって思わないだろうから即気付かれることはないか。
まして、自分のことを言われてるなんて思わないだろうし。


「宮永は好きな人いるのか?」


悩んでいるところ悪いとは思ったが、オレから話を反らしたくて問いかければ、宮永はただ一言。


「いるぜ?」


平然と答えられました。
そうですよね、知ってた。
ちなみに相手のこともよく知ってる。
だってオレの妹だもんな。


「俺の好きな人は思いやりがあって、他人のために一生懸命になれるすっげぇ良い奴」


今まで一度としてこんな照れながら微笑む宮永の姿など見たことなどあっただろうか。
いや、ないだろう。
そうか、宮永には日夏はそんな人物だと思われていたのか。
もっと可愛いとか守ってあげたくなるとかそんな感じに思ってるのかと思った。


「そ、そうなのか」


「あぁ。前は凄く苦手でなぁ。近寄ろうともしなかったんだが………今思えば惜しいことをしたと思ってる。最近は普通に接することが出来るようになったんだが…なかなか触れることが出来なくてな…好きなのに触れられないって辛いな」


ん?
日夏のこと苦手だったのか?
いや、小さい子供が苦手とかそういう意味か?
確かに弟とか妹がいないとどうやって接したら良いか分からないかもしれないなぁ。
オレは幸輝と日夏がいたからある程度の接し方は分かっているつもりだけど。
いや、それは何となくわかった。
触れられないって先週の土曜日も空手をしていたときにとか、終わってからも触れていたようなぁ。
いやいや、これもきっとそういう触れるという意味ではなくて、もっと……その、スキンシップを取りたいとか、そういう意味だよな?


「それは辛いな。恋人になったら触れられるんじゃないか?」


「どうだろうな。俺の努力次第になるだろうよ」


確かにそういう風に触れられるのも恋人になるのも日夏がもっと大きくなってからだよな。
そこは努力しなきゃ駄目かもしれない。


「まぁ、俺のことはどうでも良いじゃねぇか。それより玖蕗栖」


「何だ?」


全く持ってどうでもよくないけど、とは言えずに宮永を見れば、それはもう惚れ直すほど綺麗な顔で。


「お前さんの好きな人もきっと、大学でも共にいたいから勉強頑張ってほしいと願ってると思うぜ?」


そう言われました。
え、待ってどういうこと?
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