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その14

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仕事が何とか片付いたのは、朝の4時半で起きるのは朝6時。
30分で支度して会社に向かって、朝のミーティングに使う資料を印刷かけて。
そこまで考えて考えるのをやめた。
やめよう、寝ようとにかく。
ノートパソコンの画面を閉じて、後ろを振り向けばこちらに背を向けた先輩の後ろ姿があった。
あれから先輩は髪を乾かしてから寝たようだ。
昔から弱っている姿を見せるような人ではなかったから、今回の事でも特に暗い表情などを俺に見せることはなかった。
それどころか俺に気を遣っていて、自宅にいる方が落ち着くのではないかと思う程だ。
まぁ、自宅にいたら居たで休まらないのだろうけど。
本当は弱みを嫌なほど見せているであろう望月先輩の側の方が気が楽なのだろうな。
ここに来て先輩の負担が増えるのは嫌だな、と思うけど、俺も俺でゆとりがないからうまくいかない。
せめて自分の事だけでも最低限やらないとな、と思い床にあった布団を被って寝た。

6時ちょうどに目覚ましが鳴る前にアラームを止めて、洗面所に行き、シャワーを浴びてシワシワのスーツを着用し歯を磨き、先輩が外出しても良いようにとスペアキーをサイドテーブルの上に置いた。
起こしてないよな、と思いながら布団を見るとどうやらまだ寝ているようだ。
音をなるべく立てずに家を出て、会社に向かったら
先輩からメールが届いていた。


『行くなら声かけてけ。
起きていないから驚いただろうが。

それは帰ってからまた話すとして、朝食もろくに食べていない笠原君に質問です。
夕食何食べたい?』


夕食。
やっとの思いであの時飲んだエナジードリンクすらまだ飲んでいないのに夕食の話か。
昼だって何食べるか決まってないのに。
昨日は仕事しながらカップラーメン食べたな。
今日もどうせ昼御飯を食べるときに夕食買うだろうし。


『朝はすみません。
明日から声かけます。
夕食は会社で食べますので、先輩は自分の食べたいものを食べていてください』


これでよし、と仕事に戻ろうとしたらすぐにメールが届いた。


『お前と一緒に食事したいからそれは却下』


「………はぁ」


それは先輩反則でしょ。
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