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王立図書館
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とても高い天井を見上げてしまった。
壁は本棚で埋まっている。
図書館特有の匂いがする。
この匂いって何となく落ち着くのよね。
ここは王立図書館の正面入口を入った吹き抜けのホール。
右側の廊下を進み2階に上がる階段を上がる。
ソファーの並ぶリラックスルームへ足を運ぶと…
いた!
カミラ様が横に侍女を待機させて、本を読んでいる。
ゆっくりと近づいて行く。
今日の私はミルビアに変装している。
「あの…カミラ様こんにちは」
そっと小さく声をかける。
一拍おいて、本から目を上げたカミラ様は遠くに行っていた意識を戻し、焦点を合わせて、じっと見つめていた顔にやっと思い出したと言う表情が見てとれるまでに、軽く十秒は掛っただろうか。
「あら?お茶会のときの…」
「はい、ミルビア・ヴァレリーです」
「そうそう、ミルビアね
ようこそ王立図書館へ
どう?」
「入口を入って上を見て口をあんぐり開けてしまいました」
「ふふ、正面ホールは天井が高いものね」
「はい、凄すぎてビックリしました」
「さて、じゃあ案内するわね」そう言うとソファーから立ち上がり、本を侍女に渡しながら、ここで待つように言うと歩き出した。
私は足早に付いていく。
2階のホールを抜けて反対側へ歩いて行く。
正面ホールは3階まで吹き抜けなので、ちょうど橋を渡るように廊下が伸びています。
ホールの左側に地図と旅行記、回航録などをまとめた部屋がありました。
「ここよ、ここは旅や航海などの本が専門でおいてある部屋なの。
ここなら、あなたの読みたい本もあるんじゃないかしら」
「わぁ、これが全部その系統の本なんですか?
凄い!」
「部屋の奥にテーブルがあるわ、中でゆっくり出来るわよ」
「いろいろ教えて頂いてありがとうございます」
私は頭を下げてお礼を言った。
「いいのよ、では、またね」
そう言って戻っていこうとして、立ち止まった。
「そうだ、よかったら後でお茶でも、飲みましょう
またお昼頃迎えにくるわ」
「はい!是非」
◇◇◇◇◇◇◇◇
図書館の通りを挟んだ場所にあるカフェテリアにカミラ様とテーブル越しに向かい合う
「カミラ様、ここへはよく来るのですか?」
「そうね、図書館へ来るとよく寄るわね
ここのケーキは美味しいわよ」
「まあ!私、甘いものには目がないんです」
私たちは、スイーツ談義と、旅の話、交易の話までいろいろと喋りました。
カミラ様と少しは親しくなれたかしら?
さて、そろそろ本題に入りますか…
「カミラ様はお妃様候補だって聞きました」
「あら…そうなのよね
一応そう言う事になっているの
私の意志はそこにはないけどね」
「え?でもとても名誉なことですよね?
それに王子殿下の事はどう思っていらっしゃるのですか?」
「うーん、正直何とも思っていないかしら…
王妃にもなりたいとは思わないし…
候補に上がったのを辞退しないのも、家の為ってだけだし。私自身は名誉にも思ってないし、殿下とは好意を持つ程話した事もないもの」
ああ、思った通りの反応だわね。
「でも、もしカミラ様に決定したら、どうするのですか?」
「多分、どうもしないわね
決まってしまったら、やるしかないってだけよ」
「それは…カミラ様は幸せになれますの?」
「ふふ、私を心配してくれるの?ありがとう。
もともと貴族でいる限り私のやりたい事も幸せもないもの
だから、周りに流されて全てを受け入れていくしかないの」
「そんな…」
私は自分と彼女の立場が重なり、胸が苦しくなった。
壁は本棚で埋まっている。
図書館特有の匂いがする。
この匂いって何となく落ち着くのよね。
ここは王立図書館の正面入口を入った吹き抜けのホール。
右側の廊下を進み2階に上がる階段を上がる。
ソファーの並ぶリラックスルームへ足を運ぶと…
いた!
カミラ様が横に侍女を待機させて、本を読んでいる。
ゆっくりと近づいて行く。
今日の私はミルビアに変装している。
「あの…カミラ様こんにちは」
そっと小さく声をかける。
一拍おいて、本から目を上げたカミラ様は遠くに行っていた意識を戻し、焦点を合わせて、じっと見つめていた顔にやっと思い出したと言う表情が見てとれるまでに、軽く十秒は掛っただろうか。
「あら?お茶会のときの…」
「はい、ミルビア・ヴァレリーです」
「そうそう、ミルビアね
ようこそ王立図書館へ
どう?」
「入口を入って上を見て口をあんぐり開けてしまいました」
「ふふ、正面ホールは天井が高いものね」
「はい、凄すぎてビックリしました」
「さて、じゃあ案内するわね」そう言うとソファーから立ち上がり、本を侍女に渡しながら、ここで待つように言うと歩き出した。
私は足早に付いていく。
2階のホールを抜けて反対側へ歩いて行く。
正面ホールは3階まで吹き抜けなので、ちょうど橋を渡るように廊下が伸びています。
ホールの左側に地図と旅行記、回航録などをまとめた部屋がありました。
「ここよ、ここは旅や航海などの本が専門でおいてある部屋なの。
ここなら、あなたの読みたい本もあるんじゃないかしら」
「わぁ、これが全部その系統の本なんですか?
凄い!」
「部屋の奥にテーブルがあるわ、中でゆっくり出来るわよ」
「いろいろ教えて頂いてありがとうございます」
私は頭を下げてお礼を言った。
「いいのよ、では、またね」
そう言って戻っていこうとして、立ち止まった。
「そうだ、よかったら後でお茶でも、飲みましょう
またお昼頃迎えにくるわ」
「はい!是非」
◇◇◇◇◇◇◇◇
図書館の通りを挟んだ場所にあるカフェテリアにカミラ様とテーブル越しに向かい合う
「カミラ様、ここへはよく来るのですか?」
「そうね、図書館へ来るとよく寄るわね
ここのケーキは美味しいわよ」
「まあ!私、甘いものには目がないんです」
私たちは、スイーツ談義と、旅の話、交易の話までいろいろと喋りました。
カミラ様と少しは親しくなれたかしら?
さて、そろそろ本題に入りますか…
「カミラ様はお妃様候補だって聞きました」
「あら…そうなのよね
一応そう言う事になっているの
私の意志はそこにはないけどね」
「え?でもとても名誉なことですよね?
それに王子殿下の事はどう思っていらっしゃるのですか?」
「うーん、正直何とも思っていないかしら…
王妃にもなりたいとは思わないし…
候補に上がったのを辞退しないのも、家の為ってだけだし。私自身は名誉にも思ってないし、殿下とは好意を持つ程話した事もないもの」
ああ、思った通りの反応だわね。
「でも、もしカミラ様に決定したら、どうするのですか?」
「多分、どうもしないわね
決まってしまったら、やるしかないってだけよ」
「それは…カミラ様は幸せになれますの?」
「ふふ、私を心配してくれるの?ありがとう。
もともと貴族でいる限り私のやりたい事も幸せもないもの
だから、周りに流されて全てを受け入れていくしかないの」
「そんな…」
私は自分と彼女の立場が重なり、胸が苦しくなった。
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