聖女派遣いたします

ゆうゆう

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王妃の憂鬱な悩み

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ジェイコブは騎士たちによって拘束されて、本宮の地下牢に連れていかれた。

気絶したジェイコブにその上から身体的回復魔法と睡眠魔法を同時に掛けて耳と脳に与えたダメージだけ取り、そのまま深い眠りには落とした。
そしてローブを脱がせて、持っている物はすべて取り上げた。

「彼が目覚めるのは明日になると思います。
起きたら話を聞きたいので教えて下さい」

「わかりました」

「クライブ団長、ジェイコブは何をして王宮を追放されたのですか?」

「私も詳しい事は知りませんが陛下が激怒したと聞いています」

陛下が激怒したと言う事は十中八九マリーエル様に関する事だろうな。

王宮を追放された原因でもあるマリーエル様にまだ固執しているってどんだけなんだ?
それとも逆恨み?

取り敢えず明日聞いてみる他ないよね。

「フランカ姉さん、私の出番なかったね」

「クララの出番がある時ってヤバい時でしょう?
ないに越した事ないのよ」

「そうだけど、つまんない」

コラコラ、まだまだ幼いクララ。
可愛いけど、私達がしっかり一人前の聖女として任務に当たれるように、教えていかないといけないわね。




「フランカ、何かあったの?」
マリーエル様のもとへ戻ると心配そうな顔で聞いてくる。

「いいえ、見回りに出ていただけですよ。
仮縫いは終わりましたか?」

「まだよ、今は休憩中なの」
とため息をつきながら言うマリーエル様。
今は部屋にサリーとドーリスだけを残してお針子たちは隣の部屋で待機させているようだ。

マリーエル様も頑張って仮縫い作業をやってくれているお針子たちにため息姿は見せられないわよね。

「サリー、今回はドレスの数が多くない?」

「そうですね、陛下が少し気合いを入れられたようですから。
まぁ陛下のマリーエル様を思う気持ちですよ」

「こんなの無駄遣いでしかないのに。
公務の場で王妃が同じ服を着てはいけないなんて誰が決めたのよ。
年間いくつの公務があると思っているのかしら。
服を作るだけでどれだけ時間が取られるか…
それに着た後のドレスはどーするの?
普段着るには堅苦しいデザインなのよね」
マリーエル様にすれば、こんな事に国費を使いたくないのでしょうね。

男達は国の威厳だとか、帝国としての力を見せる為とか言う貴族も多いようだけど、女は現実的なものです。


「全く別の服に見えるように作り直せればいいのに…」
後ろでクララがボソッと漏らします。

その声に一斉にクララを見てしまった私達なのでした。

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