上 下
12 / 17

両親への手紙と新たな求婚

しおりを挟む
━ガウディ邸━

「旦那さま、お嬢様からお手紙が!」

侍従長が書斎に飛び込んで来た時、本気で陛下に暇願いを出そうと書類を作っていた。

フローラが家を出て1ヶ月が過ぎた、もう我慢出来ないと思っていた所だったのだ。

「誰からの手紙だって?」

「お嬢様からです!」

手紙を差し出され、一瞬戸惑ってしまった。

「フローラからか?」

「そうです!お嬢様からですよ」

手紙をひったくり、封を開ける。

そこには確かに娘の書いた文字が…

「はあー、無事だったか」

手紙を持って、シンシアの部屋を訪ねる。

「シンシア、フローラから手紙だ!」

ずっと部屋に籠りっきりの妻に部屋の外から声をかける。

ガタン!ガタガタ

カチャ!
部屋のカギを開けて、何日ぶりに妻が顔を出した。

「あなた、本当なの?
フローラから?」

「そうだ、フローラはシスターガブリエルを頼って教会に身を寄せているんだ」

「ああ、神様ありがとうございます」

そう言って手紙を読み始めた…



◇◇◇◇◇◇◇

私はシスターに呼ばれて、応接室へ来ていた。

コンコン
「どうぞ、入って」

「失礼します、お呼びてすか?シスター」

私が部屋に入るともう1人座っていた。

見覚えのある銀髪のイケメン
「クロード様」

「やあ、また会えたねフローラ嬢」
そう言って微笑んでいる

「あら、もう顔見知りになっていたの?」

「ええ、この前のバザーでね」

「そうだったの。
フローラ、私があなたに会わせたかったのはこのクロード・アデンセルなの」

「え?アデンセル?
まさかアデンセル帝国の…」

「そう、彼は第3皇子なの」

私は慌てて頭を下げた

「フローラ嬢、ここではただのクロードでお願いしたい」

「は、はい それでは」
頭を上げて座る

「君がここへ来た経緯はシスターガブリエルに聞いたよ
ずいぶん、ひどい婚約者もいたもんだな」
そう言って呆れている

「もともと私に何一つ勝てない方ですから、最初からあきらめておりましたわ」

そう、元婚約者のカイロン殿下は勉学も社交も剣術さえ私に勝てない。
そしてあの夜のように口でも勝てない。
口論になってもすぐに口ごもる

そう言えば最初の日にシスターに話した後、殿下の事は1度も思い出さなかったわね

「そんなに情けない奴が、この国の王子なのか?
フローラ嬢もうこの国を出てうちに来ないか?」

うち?うちってアデンセル帝国にってこと?
確かにこの国とは比較出来ないくらい大きくて裕福な国なのよね?

ちょっと見てみたいけど…
招待してくれるって事?

「帝国に招いてくださるのですか?」

「いや、私の妻になってほしいのだが…
駄目だろうか?」

「え? 妻?
私がですか? ずいぶんいきなりでは?」

「すまない、実は最初に会った時に君に一目惚れした」
そう言う顔は真っ赤だった。

え?私に一目惚れ…
赤い顔を見て私まで顔が赤くなってきた。

シスターガブリエルは赤い顔をしている2人を優しく見守っていた。
しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

兄がいるので悪役令嬢にはなりません〜苦労人外交官は鉄壁シスコンガードを突破したい〜

藤也いらいち
恋愛
無能王子の婚約者のラクシフォリア伯爵家令嬢、シャーロット。王子は典型的な無能ムーブの果てにシャーロットにあるはずのない罪を並べ立て婚約破棄を迫る。 __婚約破棄、大歓迎だ。 そこへ、視線で人手も殺せそうな眼をしながらも満面の笑顔のシャーロットの兄が王子を迎え撃った! 勝負は一瞬!王子は場外へ! シスコン兄と無自覚ブラコン妹。 そして、シャーロットに思いを寄せつつ兄に邪魔をされ続ける外交官。妹が好きすぎる侯爵令嬢や商家の才女。 周りを巻き込み、巻き込まれ、果たして、彼らは恋愛と家族愛の違いを理解することができるのか!? 短編 兄がいるので悪役令嬢にはなりません を大幅加筆と修正して連載しています カクヨム、小説家になろうにも掲載しています。

【完結】側妃は愛されるのをやめました

なか
恋愛
「君ではなく、彼女を正妃とする」  私は、貴方のためにこの国へと貢献してきた自負がある。  なのに……彼は。 「だが僕は、ラテシアを見捨てはしない。これから君には側妃になってもらうよ」  私のため。  そんな建前で……側妃へと下げる宣言をするのだ。    このような侮辱、恥を受けてなお……正妃を求めて抗議するか?  否。  そのような恥を晒す気は無い。 「承知いたしました。セリム陛下……私は側妃を受け入れます」  側妃を受けいれた私は、呼吸を挟まずに言葉を続ける。  今しがた決めた、たった一つの決意を込めて。 「ですが陛下。私はもう貴方を支える気はありません」  これから私は、『捨てられた妃』という汚名でなく、彼を『捨てた妃』となるために。  華々しく、私の人生を謳歌しよう。  全ては、廃妃となるために。    ◇◇◇  設定はゆるめです。  読んでくださると嬉しいです!

転移したらダンジョンの下層だった

Gai
ファンタジー
交通事故で死んでしまった坂崎総助は本来なら自分が生きていた世界とは別世界の一般家庭に転生できるはずだったが神側の都合により異世界にあるダンジョンの下層に飛ばされることになった。 もちろん総助を転生させる転生神は出来る限りの援助をした。 そして総助は援助を受け取るとダンジョンの下層に転移してそこからとりあえずダンジョンを冒険して地上を目指すといった物語です。

夫が妹に狙われています

杉本凪咲
恋愛
私と違って美人な妹は、すぐに周りから溺愛された。 初恋の人は奪われ、挙句の果てには私の夫を狙うような発言もする始末。 穏やかな結婚生活はまだ先のようです。

自称ヒロインに「あなたはモブよ!」と言われましたが、私はモブで構いません!!

ゆずこしょう
恋愛
ティアナ・ノヴァ(15)には1人の変わった友人がいる。 ニーナ・ルルー同じ年で小さい頃からわたしの後ろばかり追ってくる、少しめんどくさい赤毛の少女だ。 そしていつも去り際に一言。 「私はヒロインなの!あなたはモブよ!」 ティアナは思う。 別に物語じゃないのだし、モブでいいのではないだろうか… そんな一言を言われるのにも飽きてきたので私は学院生活の3年間ニーナから隠れ切ることに決めた。

願いの守護獣 チートなもふもふに転生したからには全力でペットになりたい

戌葉
ファンタジー
気付くと、もふもふに生まれ変わって、誰もいない森の雪の上に寝ていた。 人恋しさに森を出て、途中で魔物に間違われたりもしたけど、馬に助けられ騎士に保護してもらえた。正体はオレ自身でも分からないし、チートな魔法もまだ上手く使いこなせないけど、全力で可愛く頑張るのでペットとして飼ってください! チートな魔法のせいで狙われたり、自分でも分かっていなかった正体のおかげでとんでもないことに巻き込まれちゃったりするけど、オレが目指すのはぐーたらペット生活だ!! ※「1-7」で正体が判明します。「精霊の愛し子編」や番外編、「美食の守護獣」ではすでに正体が分かっていますので、お気を付けください。 番外編「美食の守護獣 ~チートなもふもふに転生したからには全力で食い倒れたい」 「冒険者編」と「精霊の愛し子編」の間の食い倒れツアーのお話です。 https://www.alphapolis.co.jp/novel/2227451/394680824

彼女は1人ぼっちだから…

まるまる⭐️
恋愛
 魔物から国を守る結界を張る為、異世界から聖女が召喚された。家族や友人からいきなり引き離され嘆き悲しむ聖女を、王太子であるアルベルトは罪悪感から側で支え続けようと誓う。だが、彼には幼い頃から共に人生を歩むと決めた大切な婚約者がいた。 カサンドラ・エバンズ公爵令嬢。この国の宰相の娘だ。彼女は幼い頃から父である宰相によって、未来の王太子妃として相応しくある様にと厳しく育てられた。しかしアルベルトは少しずつ彼女よりも聖女を優先するようになっていく…。

いらないと言ったのはあなたの方なのに

水谷繭
恋愛
精霊師の名門に生まれたにも関わらず、精霊を操ることが出来ずに冷遇されていたセラフィーナ。 セラフィーナは、生家から救い出して王宮に連れてきてくれた婚約者のエリオット王子に深く感謝していた。 エリオットに尽くすセラフィーナだが、関係は歪つなままで、セラよりも能力の高いアメリアが現れると完全に捨て置かれるようになる。 ある日、エリオットにお前がいるせいでアメリアと婚約できないと言われたセラは、二人のために自分は死んだことにして隣国へ逃げようと思いつく。 しかし、セラがいなくなればいいと言っていたはずのエリオットは、実際にセラが消えると血相を変えて探しに来て……。 ◆表紙画像はGirly drop様からお借りしました🍬 ◇いいね、エールありがとうございます!

処理中です...