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レイチェルの章

ニコラスの暴走

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「レイチェル、貴様何の連絡も寄越さずどういうつもりだ!」
いきなり現れたニコラス殿下はずいぶんとご立腹です。

はて? 何を怒っているのかしら?
それこそ、望み通り婚約はなくなるのに…

「まったくお前と言うやつは、私の言ったことをすぐ実行もせず、いつまでも待たせおって!」

え? もしかして、ニコラス殿下は今日の婚約解消の発表をしらないのかしら?

私はクロードと顔を見合わせてしまった。

「何を黙っている。 お前がいつまでも、のらりくらりと婚約を続けようとするなら、この場で引導をわたしてやる!」

え? さすがに不味くないかしら?
これから陛下からお話があるのに…

「お待ちください、ニコラス殿下」
私の一歩前にクロードが出ました。

「なんだ、クロード邪魔をするな」

「邪魔をするつもりはありませんが、殿下は本日の予定を陛下からお聞きになっていないのですか?」

「なんで、父上から話を聞くことがあるんだ?
父上とはこの5日程、お会いしていない」

お父様が陛下と話をしたのがちょうど5日前だ。

では、殿下は何も知らずにこのパーティーに参加している事になる。

「なんでもいい、クロード邪魔をするな! 二度は言わぬ」

慌てて私も声を掛けます
「違うのです。 ニコラス様私の話を聞いて下さい」
取りあえず、これ以上大声で騒がれるのは得策ではないから、落ち着かせなければ…

ちょうど陛下の来場も告げられました。

皆が入り口を注目して、静かになったところで、いきなり大きな声をあげたニコラス殿下。

「おい、どこを見ている!
お前はまた私を丸め込もうとしているのだろう」

皆の視線が一斉にニコラス殿下に注がれます。

私は入り口をチラッと見ると、国王陛下が入ってきたのが見えました。

「殿下落ち着いて下さい
陛下がお出でになりましたよ」

「父上の事を言って誤魔化すのだな。 ちょうどいい父上の前でハッキリさせてやる!」

だから、あなたの為に言ってるのに~

いつのまに来たのか、リネット嬢が殿下のとなりに立ってこちらを見て笑っている。

「殿下、私の話を…」

「うるさい! 
レイチェル・アッシュベリー今日限り貴様との婚約をなかった事にする!
私はこの女との婚約を破棄する!」

あちゃー 全てを無駄にしたようですね。
あーあ、陛下がこちらを見て睨んでます。
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