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ハドソン領 領都
" 可哀想 "は要らない
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ティアナのコスト侯爵家での扱いを知っているからなのか、それとも話す必要が無いと思ったのかは分からないけれど、ハドソン伯爵はそれ以上は私について話すことは無かった。
それでも爽やかに微笑んだままの伯爵と笑いを堪えきれていないクリスを除いた全員の気まずそうな視線に居た堪れない気持ちになる。
特にバーナード様っ!
『お前って、可哀想な子だったのか?』、みたいな表情で見ないでよぉ~!!
ティアナのことを知らないのに、可哀想と決め付けないで!
確かに侯爵家に居た頃のティアナは虐げられていたよ。
でも、全部奪われて屋敷を追い出された時の私は、あの家を出て行く事に何の未練もなかった。あの家族と縁が切れることを嬉しいとさえ思っていた。
それにティアナは受け身な性格でマーガレットたちにされるがままだったけれど、あの環境でもめちゃくちゃ前向きに頑張っていた" 頑張り屋さん "なんだよ。
ただメソメソ泣いているだけの女の子じゃなかったんだからね!
「という事で、ティアナには確かに学歴は無いが、それは彼女が望んで学ぶことを放棄した訳ではない、というのは理解してくれたかな?
あぁ、それと付け加えるなら、彼女は君が初等部で学んでいた歳の頃には、商会の運営に参加したり、コスト侯爵家の領地経営の手伝いや書類作成をしていた。
ここ数年は彼女が中心になって行っていたと言ってもいいぐらいだ。
後継者だからではなく、やらざるを得ない状況であっただろうが、学園に通わず、家庭教師に教わらずとも、それらをしっかりと熟していた。
それは書類のやり取りをしていた私が保証するよ。
さてと、長話になってしまったね。
肝心の王城へ出向いた件の報告をしないといけないな。
ハンナは持ち場へ、アリサ嬢は申し訳無いが部屋で待っていて貰えるだろうか?
他の者は皆、執務室の方へ移動してくれ。」
あぁ、そういえば今日呼ばれたのは養蚕の件だよねぇ。
私が急に料理を作る事になったり街での噂やお母様の話、それにハドソン伯爵の過去に起きた事件の話ですっかり忘れてた。
「お、お待ち下さいませ。私も一緒に話を伺わせては頂けないでしょうか?」
執務室へと移動しようと立ち上がった伯爵に向かって、コーナン侯爵令嬢が何故か私の方を見ながら慌てたように言った。
何で私?
「アリサ嬢。君が侯爵に何を言われて、私とともにハドソン領へと来たのかは分かっているつもりだ。
だが、まだ君はコーナン侯爵家の人間であり、ハドソン伯爵家の者ではない。
今日の話は時期が来たら、君にも伝えるし関わってもらう予定だ。
それに話せる内容は後でバーナードから説明させる。だから今は遠慮して欲しい。」
「っ、、、、はい。無理を言って申し訳ありませんでした。私は部屋で過ごさせて頂きます。」
コーナン侯爵令嬢はバーナード様に誘われたから来たんじゃなくて、ハドソン伯爵が領に戻るタイミングで一緒に来たみたいだね。
令嬢自身はハドソン伯爵が何の目的で王城に足を運んだのかは知らないみたいだけれど、コーナン侯爵は知っているって事かな。
でも、知っているなら話を聞く必要が無い気もするなぁ。
だってこれから始まる養蚕事業は、国とハドソン伯爵が中心になって行っていく事ではあるだろうけど、まだ計画の大枠が決まったぐらいじゃないの?
取り敢えずは第一発見者で発案者的な私に、王城での話を報告しておこう、ぐらいの話を今日はするだけだと思うな。
もしかしたら、まだ私に聞いておきたい事があるかもしれないけど。
知っているなら、それ以上の話があるのかを知りたい。
知らないから、国とどんな重要な話をしていたのか、をコーナン侯爵は娘のアリサ様を使ってに探らせようとしていた?
それとも王城の件には関係無さそうな私とクリスも執務室に行くから、彼女が単に『仲間外れは嫌~。』と思っただけ?
彼女は来年にはハドソン伯爵家の一員になる人だからね。
でもそれだけだったら伯爵が態々、コーナン侯爵の事を口にするのは変か。
執務室に一緒に入る事を断られて、少し残念そうな表情のコーナン侯爵令嬢だけど、話を聞いたら最後、契約魔法が絡む案件だからねぇ。
そういう配慮もあって伯爵は断ったと思うんだよね。
取り敢えずハドソン伯爵に続いて名指しされた二人を除いて、ゾロゾロと執務室へと向かう。
伯爵の余裕のある態度を見るに、ある程度は伯爵の要望が通ったのかな、という気がする。
無理難題を押し付けられたとかなら、私の事や街の噂の件は後にすると思うんだよね。
もし上手く話がまとまったなら、手紙の話をしやすくなるかなぁ。
私の中では養蚕の件はハドソン伯爵に丸投げして終わっている話。
『養蚕事業』になったら私が口を出せる話じゃないからね。
私としてはその事よりも" 魔力量問題 "についてハドソン伯爵の協力が得られるかどうかの方が気に掛かる。
今日ここに来るまでに、解決の糸口みたいなものを発見したというか、思い出しちゃったというか、、、。
養蚕事業もを軌道に乗せるまでが大変だと予想されるのに、そこへまた国が絡む話になる可能性が高い案件を持ち出すのは、、、ちょっと、いや、かな~り気が引ける。
この件だってハドソン伯爵に丸投げする形になってしまうからねぇ、、、。
ーーーーーーーーーーーーーーー
ここまでお読み下さりありがとうございます。
「いいね」及びエールでの応援もありがとうございます。
それでも爽やかに微笑んだままの伯爵と笑いを堪えきれていないクリスを除いた全員の気まずそうな視線に居た堪れない気持ちになる。
特にバーナード様っ!
『お前って、可哀想な子だったのか?』、みたいな表情で見ないでよぉ~!!
ティアナのことを知らないのに、可哀想と決め付けないで!
確かに侯爵家に居た頃のティアナは虐げられていたよ。
でも、全部奪われて屋敷を追い出された時の私は、あの家を出て行く事に何の未練もなかった。あの家族と縁が切れることを嬉しいとさえ思っていた。
それにティアナは受け身な性格でマーガレットたちにされるがままだったけれど、あの環境でもめちゃくちゃ前向きに頑張っていた" 頑張り屋さん "なんだよ。
ただメソメソ泣いているだけの女の子じゃなかったんだからね!
「という事で、ティアナには確かに学歴は無いが、それは彼女が望んで学ぶことを放棄した訳ではない、というのは理解してくれたかな?
あぁ、それと付け加えるなら、彼女は君が初等部で学んでいた歳の頃には、商会の運営に参加したり、コスト侯爵家の領地経営の手伝いや書類作成をしていた。
ここ数年は彼女が中心になって行っていたと言ってもいいぐらいだ。
後継者だからではなく、やらざるを得ない状況であっただろうが、学園に通わず、家庭教師に教わらずとも、それらをしっかりと熟していた。
それは書類のやり取りをしていた私が保証するよ。
さてと、長話になってしまったね。
肝心の王城へ出向いた件の報告をしないといけないな。
ハンナは持ち場へ、アリサ嬢は申し訳無いが部屋で待っていて貰えるだろうか?
他の者は皆、執務室の方へ移動してくれ。」
あぁ、そういえば今日呼ばれたのは養蚕の件だよねぇ。
私が急に料理を作る事になったり街での噂やお母様の話、それにハドソン伯爵の過去に起きた事件の話ですっかり忘れてた。
「お、お待ち下さいませ。私も一緒に話を伺わせては頂けないでしょうか?」
執務室へと移動しようと立ち上がった伯爵に向かって、コーナン侯爵令嬢が何故か私の方を見ながら慌てたように言った。
何で私?
「アリサ嬢。君が侯爵に何を言われて、私とともにハドソン領へと来たのかは分かっているつもりだ。
だが、まだ君はコーナン侯爵家の人間であり、ハドソン伯爵家の者ではない。
今日の話は時期が来たら、君にも伝えるし関わってもらう予定だ。
それに話せる内容は後でバーナードから説明させる。だから今は遠慮して欲しい。」
「っ、、、、はい。無理を言って申し訳ありませんでした。私は部屋で過ごさせて頂きます。」
コーナン侯爵令嬢はバーナード様に誘われたから来たんじゃなくて、ハドソン伯爵が領に戻るタイミングで一緒に来たみたいだね。
令嬢自身はハドソン伯爵が何の目的で王城に足を運んだのかは知らないみたいだけれど、コーナン侯爵は知っているって事かな。
でも、知っているなら話を聞く必要が無い気もするなぁ。
だってこれから始まる養蚕事業は、国とハドソン伯爵が中心になって行っていく事ではあるだろうけど、まだ計画の大枠が決まったぐらいじゃないの?
取り敢えずは第一発見者で発案者的な私に、王城での話を報告しておこう、ぐらいの話を今日はするだけだと思うな。
もしかしたら、まだ私に聞いておきたい事があるかもしれないけど。
知っているなら、それ以上の話があるのかを知りたい。
知らないから、国とどんな重要な話をしていたのか、をコーナン侯爵は娘のアリサ様を使ってに探らせようとしていた?
それとも王城の件には関係無さそうな私とクリスも執務室に行くから、彼女が単に『仲間外れは嫌~。』と思っただけ?
彼女は来年にはハドソン伯爵家の一員になる人だからね。
でもそれだけだったら伯爵が態々、コーナン侯爵の事を口にするのは変か。
執務室に一緒に入る事を断られて、少し残念そうな表情のコーナン侯爵令嬢だけど、話を聞いたら最後、契約魔法が絡む案件だからねぇ。
そういう配慮もあって伯爵は断ったと思うんだよね。
取り敢えずハドソン伯爵に続いて名指しされた二人を除いて、ゾロゾロと執務室へと向かう。
伯爵の余裕のある態度を見るに、ある程度は伯爵の要望が通ったのかな、という気がする。
無理難題を押し付けられたとかなら、私の事や街の噂の件は後にすると思うんだよね。
もし上手く話がまとまったなら、手紙の話をしやすくなるかなぁ。
私の中では養蚕の件はハドソン伯爵に丸投げして終わっている話。
『養蚕事業』になったら私が口を出せる話じゃないからね。
私としてはその事よりも" 魔力量問題 "についてハドソン伯爵の協力が得られるかどうかの方が気に掛かる。
今日ここに来るまでに、解決の糸口みたいなものを発見したというか、思い出しちゃったというか、、、。
養蚕事業もを軌道に乗せるまでが大変だと予想されるのに、そこへまた国が絡む話になる可能性が高い案件を持ち出すのは、、、ちょっと、いや、かな~り気が引ける。
この件だってハドソン伯爵に丸投げする形になってしまうからねぇ、、、。
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ここまでお読み下さりありがとうございます。
「いいね」及びエールでの応援もありがとうございます。
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