捨てられ令嬢は屋台を使って町おこしをする。

しずもり

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ログワ村

まさかの大発見ですか? 2

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前話に引き続き、養蚕関連の話などがあります。

苦手な方は心の準備をお願いします。


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


「と、兎に角、家中を確認しては一箇所に集めて木箱か何かに入れて布などで蓋をして下さい。絶対に、絶対に脱走させないようにして下さい。

いいですか?一匹(頭)残らず見つけだして絶対に私の目に留まらないようにお願いします。

同じ様に白い繭の方も集めておいて下さい。繭を作りやすい隙間のある所とかにいる事が多いらしいですよ。

それが確認出来たら、皆さんがただのと思っている生き物について私の知っている事をお話します。」


私はクリスにしがみつきながら壁をヨジヨジしているはなるべく視界に入れないように、それでも視界の隅の端で位置確認しながら言った。




蚕を含め私の苦手なの知識を私は普通の女の子よりも多く持っていると思う。

本当に苦手で怖くてダメなんだけれど、外出時に絶対出くわしたくない私は、注意深く目を光らせて歩いていた。
その結果、人より多く遭遇してしまった、というか見つけてしまう残念な負のループ。


どういう木や植物にどんながつくかも割と知っているし知っているから近寄らない。

児童養護施設では百科事典や図鑑が多く置かれていて、昆虫好きの幼児に急かされて昆虫図鑑を見るのに付き合う事が多かった。その図鑑には当然、蝶や蛾のページもある。


そのページの中にの蛾の幼虫がいた。見た目が蛇そのもの、という姿だったせいか、その幼虫の写真は普通に見る事が出来た。そして思ったのだ。


こんな蛾の幼虫って本当にいるの?


と。
だってどう見てもその辺でよく見かけるようなモノでは無い。しかも気付く事なんてないでしょう、とも思った。


フラグ立てでもなく、本当に素直にそう思ったのだ。そしてそのフラグは無事?に小学生の時に回収。


マジで!図鑑の写真そのまんまで、写真と同じような蛇の頭みたいな幼虫が、保護色狙って木に張り付いていたのっ!


そう、保護色、、、普通じゃ見つからない。だって別に私は木を一本、一本探して回っていた訳じゃない。公園にある木々を皆と一緒に通り抜けていただけなのにっ!


その後も見たくないのに苦手なイモムシ、毛虫に対する私の遭遇率は高かった。

因みに私の中で近寄ってはならない、木の下を通ってはならない三大樹木はズバリ、桜と藤(棚)と銀杏の木。

特に藤棚と銀杏の木につく幼虫は、蛾の幼虫の中でも割と大きく見た目も鮮やかなヤツ。
その二つの樹木の景観を売りにしている観光地はきっともの凄く虫対策をしていると思う。
だって苦手じゃない人だって驚く大きさだもん。


まぁ、そんな感じで私は苦手な幼虫を見たくない、という思いから無意識に人より知識を身につけていったと言ってもいいと思う。


そんな事を思い出していると村長さんたち家族総出のの捜索は終わったようで、シシリーさんと子どもたちは別室待機で一階で村長さんたちに話をする事になった。


「ティアナ、本当にあのが高価な布になるモノを作るのか?

だって虫が出す糸だぞ?蜘蛛の糸と同じじゃないのか?」


最初に確認してきたのはクリスだった。クリスも見た事は無いという高価な織物がから作られる、という事が信じられないんだろう。気持ちは分かる。

村長さんたちは高価な布というモノ自体がピンと来ないようで、何をどう質問したら良いのかすら分からないっぽい。その気持ちもよく分かる。

「順番に説明するね。

まずあの生き物は昔住んでいた所では“蚕”と呼ばれている蛾の幼虫なんです。

あの“蚕”は白い細長い状態の時が幼虫と呼ばれて、白い繭の中で蛹と呼ばれる姿に変化(変態)します。

そして更に成長して蛾という蝶に似た生き物になって繭から出てくるの。」


「あぁ、たしかにあの繭?を放置しておくと蝶みたいな虫になって出てくるな~。

殆ど飛べないみたいでウロウロと部屋ん中を歩いてるが。
だからいつもそうなる前に処分していたんだ、、、。」


ルイさんがそこまで言って、私の言葉を思い出したのか口をつぐんだ。


その処分してたのが大金を生むモノだった、と考えて複雑な気持ちになっちゃたのかな。

「これは本当に取り扱いに注意しなきゃいけない話です。それについては後で話ますが、先に”蚕“について話ますね。

たぶん繭を触って見れば今の状態でも手触りの良さみたいなものが多少は分かるんじゃないかなぁ、と思うので一度改めて触れてみてはどうですか?

この繭は糸だけじゃなくて、掛け布団の中身にも使われたりもするんですよ?」


繭は怖くはないので、幾つかテーブルの上に持ってきて貰っている。勿論、私の近くには置いていないし私は触る気はないけどね!


「はぁ、確かに手触りが良いような、、、。」


ルイさんたちは手に取って触って確認しているけれど、言われてみれば?と思う程度みたい。それはそうだろうねぇ。
そのままじゃ滑らかな肌触りとまではいかないんだなぁ、コレが。
でも触ってイメージを膨らますのは大事だと思う。


クリスは少し考えながら少し繭を押してみたりサワサワと触っているけど、ソレ、中身入っているからね!


「まぁ、実際に布になってみないと分からないですよね~。

それでこの“蚕”の特徴なんですが、ルイさんたちがクワーの木と呼んでいる桑の葉っぱしか食べない生き物なんです。

だから私はシルクと呼ばれる絹糸を生み出す“蚕”だと気付きました。」


本当は見た目ですぐ分かる。”蚕”って割と特徴的な見た目をしているし、小学生の時の飼育授業だけじゃなくて、高校の授業科目の生物でも勉強するの。

期末テストとかで数問出題されちゃうぐらいしっかりと勉強させられるから嫌でも覚えてしまったんだよね。

「“蚕”は白い糸を吐き出して繭を作りその中で幼虫から蛹へと変わるのですが、この繭は一本の糸で作りあげられているんです。

それでこの繭を茹でて解して糸の端を取り出して、幾つかの糸を纏めて、より(ねじるの意味)あって一本の糸にしたものが絹糸になります。
その糸から織られた物を絹織物と呼んだりします。」

実は繭から糸を取り出しただけでは正式には絹糸とは言わないらしい。取り出した糸にはタンパク質などが含まれていてそれによって糸はゴワゴワというか固いのだそうだ。

それを取り除く工程を経て、柔らく滑らかな肌触りになる絹糸になるらしい。
でも取り敢えず、今は細かい作業の事などは省く事にする。
一度に口頭で言われたって訳分かんないよね。


「大雑把な説明だとこんな感じなんですが、先程言った通りこの絹糸はとても価値のある物です。

生産国が絹糸の基になっている“蚕”の存在や絹糸の作り方を秘匿したり、独占して他国へ販売している可能性もあります。

シルクがどの程度存在を知られているのか、衣服などにどのぐらい使用されて普及しているのかを私は知りません。
一般の人間には知られていない程の希少な物だと私も話していて気付きました。

そういう事を考えるとこの村で何の対策も立てずいきなり売り出す事は危険だと思います。

これは国に報告が必要になると思いますし、その前にこの村の領主に報告して判断を仰がなければいけない慎重に取り扱っていかないといけない話になると思います。」

私の言葉にルイさんたちの顔が青褪めていく。

御免なさい、まさか私もシルクがそこまで知られていないとは思わなかった。
クリスでも噂程度でしか知らないとは思わなかったよ。


ルイさんたちにしてみれば、無害ではあるけれど邪魔な虫と思っていた生き物が非常に価値のある糸になると言われただけで驚きだったと思う。

しかもその糸で作られた織物は王族クラスでも入手しにくい価値が高い物だと言われてしまえば、もう気持ちが追いつかず不安の方が大きくなってしまうのも仕方のない事だよね。

その上、ルイさんたちからすれば領主だって顔も知らないかも知れない存在なのに、この国のトップに報告なんてねぇ。


「たぶん間を挟まないで領主様に直接連絡を取った方が色々と安全だと思うのですが、因みにログワ村は何領になるんですか?」


良い領主様だと良いなぁ。シルク(絹)の価値を考えると本当にこの村が危険に晒される事もあり得るんだよね。

「あっ、あぁ、ここの村はハドソン領のチャールズ・ハドソン伯爵様の領地になるんだ。」

話が大きすぎて顔色の悪くなった村長さんたちは私の質問に我に返って慌て答える。


えっ?ハドソン領?


って、またか~!!


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


ここまでお読み下さりありがとうございます。

虫と書いたり幼虫と書いたりややこしくてすみません。

ティアナがストレートに呼びたくなくて言い方をボカしている部分もありますが、
固有名詞が出ていない間の虫としか認識していない人、相手には虫という言葉を使っています。(一応)

まぁ、私自身が直接何度も書きたくないという葛藤が、、、、。
(蚕は字面的にまだ大丈夫)


この世界では幼虫から蛹、など変態で変化する時の名称がつけられていない、または認識していない設定です。(専門の学者のような人以外は知らない、教わらないから子どもか大人というような言い方が主流)

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