美化係の聖女様

しずもり

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旅の出会い

閑話 聖女さま side アオ

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森の中見つけたはほんの少しだけがした。


いい匂い。

母ちゃんやナーシャ様と同じような匂いに釣られて近づいていくと、は大きな叫び声を上げてオレに背を向けて走り出した。


待てっ!

いい匂いオレのごはん


美味しそうなが遠ざかって行こうとするのを止めようと追いかけて。


をオレの目の前にオレは立ち止まった。


ナーシャ、様?

ちょっと違う気がする。でもいい匂い。

だけどちょっと息苦しいのは何でだろう?


お腹が空いてるから?


でも、きっとこのいい匂いを食べたら元気になる気がする。


『お腹空いたぞ。いい匂いを食べさせて。』


オレは神獣の子。だから人間とも話が出来るんだ。


『早く!食べさせて!』


オレがお願いしているのに、いい匂いの人間はちっとも返事をしない。


『お前、ケチだな?ずるいぞ!

そんなにいい匂いをさせてるのに食べさせてくれないなんて!』


オレが話しかけているのに、いい匂いの人間は大きく肩を揺らした後、いきなり走り出した。


『ひどいぞ!絶対、絶対、食べてやるっ!』

あんな小さい人間なんて、大きくなったオレが追いかければ直ぐに捕まえられる。


ホラッ!


地面に転がった人間の顔を覗き込むように顔を近づけたらー。



急に体の中からフワっと撫でられるような感じがして、体のあちこちが痛くなった。


痛いっ!苦しいっ!母ちゃん、助けてぇ!!


苦しくてもがいて、体の中で何かがグルグルと暴れている。

それと同時にあったかいものが体の中に入ってきて、暴れている何かを追い出そうとしているみたい。

段々と苦しいのが無くなって、オレの意識がプツンと途切れる瞬間に気が付いた。


あ、聖女、、、さま?



「 ん~、大きくて拭きにくい~。背中まで手が届かないぃ~。」


凄く疲れて眠いのに、オレに話しかけてるのか?

母ちゃんがオレの毛繕いをしてくれているみたいだなぁ。

もっとやって。もっと撫でて。

オレが小さくなったら、もっとたくさん撫でてくれる?

フワフワ気持ちよくなってきて、少しづつお腹も満たされてきてる気がして、眠くて眠くて、、、、。


目が覚めたら変なモノの中に居た。


あれぇ~?何だっけ?オレ、何をしようとしていたんだっけかな。


見慣れない場所と寝起きで頭が回らないのとで、キョロキョロと周りを見渡そうとしたらいきなり体が浮いた!


何でだっ!?


「起きた?」、「大丈夫?」、「痛いところはない?」


抱き上げられたオレの顔を覗き込むように近づいてきた顔は、眠る前に見た気がするな。


『いい匂い!』


そうだ、思い出したぞ!


これはで、それでこの匂いはって人間だな!


うん、ナーシャ様の匂いにそっくりだ。オレには


オレを抱き上げていた手を試しにペロッと舐めたら美味しい!


あまりの美味しさに思わず尻尾がブンブンと動いてしまう。


「じゃ、一緒に夜ご飯をたべようか?」


なんか、聖女さまが言いながらゴソゴソと何かを出していたけれど、オレは目の前のご馳走にもう夢中だ!

聖女さまの手から溢れ出てくる

美味っ!

夢中になって、聖女さまの手をペロペロしてたら引っぺがされた。


それからオレの目の前に出される肉。


いや、オレ、そういうのは、、、。


ジィッと見られたから、口に入れてみる。


そういうのも食べられるけどな。

美味しいと思うけどなんか違うんだよなぁ。


そんな風に思いながら食べていたら、なんかすっごくいい匂いがしてきた!

さっきのとは違うんだけど、勝手にヨダレが出てくる感じのいい匂い。
クンクンと匂いがする方向に顔を向けたら、聖女さまがなんかいい匂いがするものに齧りついてた。


聖女さまからさっき聖魔力ごはんはたくさん貰ってお腹一杯だけどな。
なんだかならまだ食べられる気がするぞ。


食べたい~。オレにもくれぇ~。


オレは人間と話を出来る筈なのに、まだ疲れが残っているのか、オレの言葉は聖女さまには分からない。

仕方がないからクルクルと聖女さまの前で回って催促したら、聖女さまがオレにも分けてくれた!美味い!

なんだコレ?聖女さまが持っていると何でも美味しくなるのか?


夜は聖女さまがオレに、と頼んできた。


やるぞ!やるぞ!!

オレは聖女さまを悪いモノから護ってやるんだ!


そう返事したら、聖女さまは喜んでオレを頼りにしている、って言ってた。


聖女さまの気を少し貰って、それから美味しい食事を貰って、でもまだ少し眠い。

zzzz、、、、、ハッ!


駄目だ!オレが聖女さまをまも、、、zzzz。



いい匂いだぞ!朝だ!

良しっ、何も起こらなかったな。聖女さまは、、、、朝、起きるのが早いな。


流石、聖女さまだ!


朝からまた聖女さまに美味しいモノを貰ってオレも絶好調だ!

あと少しで聖女さまと喋れるようになりそうな気がしてきたぞ。


絶好調のオレに聖女さまが色々話しかけてきた。


オレがどこに住んでいたかって?
オレは聖域にいたんだぞ。あんな所に住んでいた訳がないだろう。

一緒に来るか、だって?
聖女さまも退をオレと一緒にしたいんだな?

良し、いいぞ。オレが魔王の所まで案内してやるぞ。


オレはまだ聖女さまと会話出来ないけれど、さすがオレ!
ちゃんと話が通じてる!

あともう少ししたら会話出来るからな、と思っていたら、聖女さまは急にオレをヒョイと持ち上げた。


ちょ、ちょ、ちょっと待て!

な、何を確認しようとしているんだ!?

ばかっ!そんなところをじっくりと見ようとするなぁ。

オレはおとこだ!そんなの見なくても分かるだろう!?

待て、待て、止めろ!

オレの尊厳!尊厳がぁ~~!


「あ、男の子。」


オレの尊厳~~!!


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー



ここまでお読み下さりありがとうございます。

「いいね」及びエールでの応援もありがとうございます。


アオ視点はあと一話の予定です。
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