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旅の出会い
初キャンプ
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人生初のキャンプは異世界の森でー。
いや、本当に何をやっているんだろうね、私。
ガーナの街から馬車で六、七時間の場所にあるクインズという町に行く筈が何故か森の中。
一度、トイレ休憩を挟んだ後に居眠りをしてしまった私は気付いたら馬車が止まっていて御者さんが居ない。
森の中から聞こえてきた悲鳴に助けに行ってみれば、御者さんは魔獣の前へと私を突き飛ばして逃げ去ってしまった。
魔獣に狙われた私は魔獣が黒いモヤ付きだった事に気付いてクリーンで何とかピンチを切り抜ける事が出来た。
そうして気を失った魔獣から黒いモヤを取り除いてみれば、魔獣の体は徐々に縮んでいって可愛い仔犬の姿になっている。
段々と綺麗な毛並みに戻っていくのが楽しくて、気付いたら時刻は午後五時だった。
森の中は鬱蒼と木々が生い茂っているので、まだ夜にはなっていないのに森の中は薄暗くなっている。
今は可愛い仔犬な元魔獣から逃げようとして闇雲に走ったので、今から馬車があった場所に戻れるとは到底思えない。
それに私を突き飛ばして逃げた御者さんがあの場所で待っていてくれるなんて事は絶対無いよね。
そうなると今からウロウロと森の中を歩くのはちょっと危険という事で地面が平らな場所を探す事にした。平らな場所は直ぐに見つかったので、いそいそと魔法鞄からキャンプバッグを取り出す。
お高い買い物だったけれど、買って良かったよね、この魔法鞄。
だって持っていなかったら、きっと荷物は馬車に置いたままだったと思う。
もし持っていたとしても大荷物を抱えたまま魔獣から逃げる事なんて出来なくて、魔法を使う隙もなく殺られちゃっていたかも。
しかし一々、元恋人関連のグッズが役立っているのが腹正しい。物に罪はないと割り切ったし元々は私が購入した物だからアイツに感謝するのもおかしな話だ。
浮気発覚後、断捨離の為に手に持っていた不用品が、この世界に来た時の所持品な訳だから仕方ないんだけどねぇ。
あ、このテント、めっちゃ設営が簡単!
ワンタッチドームテントって本当に設営に時間が掛からないんだ。説明書に六十秒で設営完了、だなんて書いてあるけれどフレームを上に引っ張ってロックするだけでいいんだ?
後はペグを地面に打ち付けるだけって、コレは女子でも簡単に出来るわ。そりゃソロキャンプも流行る訳だ。
テントは三人用だから中は広々と使えるし通気性もバッチリ、出入り口はメッシュスクリーン(網戸みたいなやつ)付きの二重構造だから虫対策も万全。
テントを設営し終わった頃、気を失ってた仔犬がモゾモゾと動き出した。
「あ、起きたんだ?大丈夫?どこか苦しいとか痛いところは無い?」
仔犬をヒョイと両手で持ち上げて、目線を合わせて思わず話しかける。
森の中に一人って、思った以上に寂しく感じてたのかな?
犬と会話が出来るわけないのにね。
白銀色の毛の仔犬はポメラニアンとコリーを足して二で割ったような毛並みと顔立ちで、尻尾は狐の尻尾のような形をしている。
そのフッサフサなしっぽを上に向けてユラユラさせている姿が可愛い。
瞳の色は黒いモヤが消えて元の姿に戻ったからか、魔獣の時と違って澄んだ青い色をしていた。
キャンッ。
「んん、返事してくれたのかなぁ。大丈夫って事かな。お腹は空いてる?」
会話になっているのかは分からないけれど、続けて話しかければ尻尾をフリフリとしながら私の手をペロペロと舐めようとしている。
「じゃ、一緒に夜ご飯を食べようか。」
仔犬をそっと下ろしてから魔法鞄の中に手を入れる。
この魔法鞄には時間停止という機能がついていて、鞄に入れた時の状態を保持出来るらしい。
今日は慌ただしい一日だったというか、旅の途中で魔獣に襲われて、助かった後はこの元魔獣にこびりついていた黒いモヤを取るのに時間が掛かってお昼を食べ損ねていたんだよね。
だからお鞄中にはまだ昼に食べる予定だったハンバーガーもどきとサンドイッチが入っている。
他にも食材は色々と買い込んであったけれど、もう辺りは暗くなってきているので外で調理するのは怖い。
手回し式のランタンもあるんだけれどねぇ。テントの周りは静か過ぎていて暗さもプラスされて、無の世界が広がっている雰囲気なんだよ。
とてもじゃないけれど外には居たくない。テントを持っていて本当に良かった!
だから調理せずに食べられるものだけを食べるつもりなんだけれど、、、。
「ねぇ、君は何を食べるのかなぁ?生肉?それともミルクとか?
あまり人間が食べるような味付けの濃いものは食べさせちゃダメなんだっけ?
ペットを飼ってなかったからよく分からないなぁ。」
今の時代、飼い猫や飼い犬の食事も色々気を使うよね。ペット専用の市販の食品も人間が間違って食べてしまいそうな見た目のものも多くある。人間が見ても美味しそう見える商品も多いよねぇ。
その反面、人間の食事を分けたり食べ残しをあげるのはNGな感じ。
SNSでペットに自分が食べていたものを分けて食べさせていた動画が炎上したりするほどなんだよ。
ペットフードが無いこの世界では犬や猫には何を食べさせているんだろうね。
鶏肉、豚肉、牛肉全て持っているけれど、取り敢えず唐揚げ用に小さく切っておいたもも肉をお皿に入れてそっと仔犬の前に出してみた。
キャゥッ!
喜んでる?喜んでくれているのかなぁ~?
それ、私の手だからね?
仔犬は何故かお皿を飛び越えて私の手の平に戯れついている。
前足で私の手をフミフミしたり" 頭を撫でて!"と思っているのか、頭をぐりぐりと押し付けている。
可愛い。可愛いんだけれどね?
折角のもも肉がブンブン振られた尻尾で辺りに飛び散っているんだけれど。
仕方がないので抱き上げて私の膝の上に仔犬を乗せて、散らばったもも肉をお皿に回収する。
肩から下げたままの魔法鞄から雑巾と除菌シートを取り出してもも肉が落ちた辺りをササっと拭いた。
お皿に戻したもも肉を仔犬の目の前に差し出すと、ジィッと見つめていたけれど暫くしてからパクリと口に入れて咀嚼し始めた。
やっぱり生肉派だったんだ。
仔犬の食事が終わったら、膝から下ろして自分の食事に取り掛かる為に除菌シートで手を拭いてハンバーガーもどきをにガブリと齧り付く。
うん、美味い。
ハンバーガー用のパンズではないので、ハンバーガーというよりはサンドイッチに近いかもしれない。
ハッハッハッハ。
不意に荒い息遣いのようなものが近くで聞こえてビクッと下を向いたら、膝の上に仔犬がいつの間にか乗っている。
しかも盛大に涎を垂らしてハンバーガーもどきをガン見していた。
「えぇ~?
これ、人間用で味付けが濃いよ?」
そう言いながら飛びつかれないように、両手を上げてハンバーガーもどきを仔犬の目線に入らないようにする。
キャゥッ!?
クゥ~ン、クゥ~ン。
仔犬がこの世の終わりのような鳴き声を出しながら、座っている私の周りをクルクルと回り始めちゃったんだけど。
・・・・・。
どうしよっ。
めちゃめちゃ悩んだけれど諦めてくれないので、ハンバーガーもどきのパテ?(ハンバーグを薄く平たくして焼いただけなんだけど)を取り出してお皿に乗せたら、凄い勢いで食いついていた。
・・・・異世界の犬は人間と同じものを食べる。うん、そういう事にしておこう。
食事が終わったら、自分自身にクリーンをかけて綺麗サッパリと汚れを落としたら後は寝るだけ。
「もし獣とか近寄って来たら教えてね。」
ワゥッ!
お、力の入ったいい返事。
動物どころか虫の音も聞こえないシンとした森だけど、それでも安全かは分からない。
でも、睡魔には勝てない。今日はめちゃくちゃ動いて頑張ったからね。
取り敢えず仔犬の鼻を信じて任せる事にした。
任せる事にしたんだけれど、、、仔犬だからかな?
私よりも早くあっという間に眠っちゃったんだけど、、、。
仕方がないのでテントの中から外に向かって、
「変な虫は入って来ませんよ~に!」
「黒いモヤが近付いてきませんよ~に!」
「肉食な獣が近づいて来ませんよ~に!」
「あ、魔獣も近付いてきませんよ~に!」
東西南北全ての方角に向かって手を合わせ祈ってから眠った。
疲れていたせいか、こんな状況でも案外とぐっすりと眠れて翌朝の目覚めは快適だったよ。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
ここまでお読み下さりありがとうございます。
主人公、相変わらず無自覚で聖女の力を使っています。
今回は何気にテントを守るように結界を張っちゃっています。
いや、本当に何をやっているんだろうね、私。
ガーナの街から馬車で六、七時間の場所にあるクインズという町に行く筈が何故か森の中。
一度、トイレ休憩を挟んだ後に居眠りをしてしまった私は気付いたら馬車が止まっていて御者さんが居ない。
森の中から聞こえてきた悲鳴に助けに行ってみれば、御者さんは魔獣の前へと私を突き飛ばして逃げ去ってしまった。
魔獣に狙われた私は魔獣が黒いモヤ付きだった事に気付いてクリーンで何とかピンチを切り抜ける事が出来た。
そうして気を失った魔獣から黒いモヤを取り除いてみれば、魔獣の体は徐々に縮んでいって可愛い仔犬の姿になっている。
段々と綺麗な毛並みに戻っていくのが楽しくて、気付いたら時刻は午後五時だった。
森の中は鬱蒼と木々が生い茂っているので、まだ夜にはなっていないのに森の中は薄暗くなっている。
今は可愛い仔犬な元魔獣から逃げようとして闇雲に走ったので、今から馬車があった場所に戻れるとは到底思えない。
それに私を突き飛ばして逃げた御者さんがあの場所で待っていてくれるなんて事は絶対無いよね。
そうなると今からウロウロと森の中を歩くのはちょっと危険という事で地面が平らな場所を探す事にした。平らな場所は直ぐに見つかったので、いそいそと魔法鞄からキャンプバッグを取り出す。
お高い買い物だったけれど、買って良かったよね、この魔法鞄。
だって持っていなかったら、きっと荷物は馬車に置いたままだったと思う。
もし持っていたとしても大荷物を抱えたまま魔獣から逃げる事なんて出来なくて、魔法を使う隙もなく殺られちゃっていたかも。
しかし一々、元恋人関連のグッズが役立っているのが腹正しい。物に罪はないと割り切ったし元々は私が購入した物だからアイツに感謝するのもおかしな話だ。
浮気発覚後、断捨離の為に手に持っていた不用品が、この世界に来た時の所持品な訳だから仕方ないんだけどねぇ。
あ、このテント、めっちゃ設営が簡単!
ワンタッチドームテントって本当に設営に時間が掛からないんだ。説明書に六十秒で設営完了、だなんて書いてあるけれどフレームを上に引っ張ってロックするだけでいいんだ?
後はペグを地面に打ち付けるだけって、コレは女子でも簡単に出来るわ。そりゃソロキャンプも流行る訳だ。
テントは三人用だから中は広々と使えるし通気性もバッチリ、出入り口はメッシュスクリーン(網戸みたいなやつ)付きの二重構造だから虫対策も万全。
テントを設営し終わった頃、気を失ってた仔犬がモゾモゾと動き出した。
「あ、起きたんだ?大丈夫?どこか苦しいとか痛いところは無い?」
仔犬をヒョイと両手で持ち上げて、目線を合わせて思わず話しかける。
森の中に一人って、思った以上に寂しく感じてたのかな?
犬と会話が出来るわけないのにね。
白銀色の毛の仔犬はポメラニアンとコリーを足して二で割ったような毛並みと顔立ちで、尻尾は狐の尻尾のような形をしている。
そのフッサフサなしっぽを上に向けてユラユラさせている姿が可愛い。
瞳の色は黒いモヤが消えて元の姿に戻ったからか、魔獣の時と違って澄んだ青い色をしていた。
キャンッ。
「んん、返事してくれたのかなぁ。大丈夫って事かな。お腹は空いてる?」
会話になっているのかは分からないけれど、続けて話しかければ尻尾をフリフリとしながら私の手をペロペロと舐めようとしている。
「じゃ、一緒に夜ご飯を食べようか。」
仔犬をそっと下ろしてから魔法鞄の中に手を入れる。
この魔法鞄には時間停止という機能がついていて、鞄に入れた時の状態を保持出来るらしい。
今日は慌ただしい一日だったというか、旅の途中で魔獣に襲われて、助かった後はこの元魔獣にこびりついていた黒いモヤを取るのに時間が掛かってお昼を食べ損ねていたんだよね。
だからお鞄中にはまだ昼に食べる予定だったハンバーガーもどきとサンドイッチが入っている。
他にも食材は色々と買い込んであったけれど、もう辺りは暗くなってきているので外で調理するのは怖い。
手回し式のランタンもあるんだけれどねぇ。テントの周りは静か過ぎていて暗さもプラスされて、無の世界が広がっている雰囲気なんだよ。
とてもじゃないけれど外には居たくない。テントを持っていて本当に良かった!
だから調理せずに食べられるものだけを食べるつもりなんだけれど、、、。
「ねぇ、君は何を食べるのかなぁ?生肉?それともミルクとか?
あまり人間が食べるような味付けの濃いものは食べさせちゃダメなんだっけ?
ペットを飼ってなかったからよく分からないなぁ。」
今の時代、飼い猫や飼い犬の食事も色々気を使うよね。ペット専用の市販の食品も人間が間違って食べてしまいそうな見た目のものも多くある。人間が見ても美味しそう見える商品も多いよねぇ。
その反面、人間の食事を分けたり食べ残しをあげるのはNGな感じ。
SNSでペットに自分が食べていたものを分けて食べさせていた動画が炎上したりするほどなんだよ。
ペットフードが無いこの世界では犬や猫には何を食べさせているんだろうね。
鶏肉、豚肉、牛肉全て持っているけれど、取り敢えず唐揚げ用に小さく切っておいたもも肉をお皿に入れてそっと仔犬の前に出してみた。
キャゥッ!
喜んでる?喜んでくれているのかなぁ~?
それ、私の手だからね?
仔犬は何故かお皿を飛び越えて私の手の平に戯れついている。
前足で私の手をフミフミしたり" 頭を撫でて!"と思っているのか、頭をぐりぐりと押し付けている。
可愛い。可愛いんだけれどね?
折角のもも肉がブンブン振られた尻尾で辺りに飛び散っているんだけれど。
仕方がないので抱き上げて私の膝の上に仔犬を乗せて、散らばったもも肉をお皿に回収する。
肩から下げたままの魔法鞄から雑巾と除菌シートを取り出してもも肉が落ちた辺りをササっと拭いた。
お皿に戻したもも肉を仔犬の目の前に差し出すと、ジィッと見つめていたけれど暫くしてからパクリと口に入れて咀嚼し始めた。
やっぱり生肉派だったんだ。
仔犬の食事が終わったら、膝から下ろして自分の食事に取り掛かる為に除菌シートで手を拭いてハンバーガーもどきをにガブリと齧り付く。
うん、美味い。
ハンバーガー用のパンズではないので、ハンバーガーというよりはサンドイッチに近いかもしれない。
ハッハッハッハ。
不意に荒い息遣いのようなものが近くで聞こえてビクッと下を向いたら、膝の上に仔犬がいつの間にか乗っている。
しかも盛大に涎を垂らしてハンバーガーもどきをガン見していた。
「えぇ~?
これ、人間用で味付けが濃いよ?」
そう言いながら飛びつかれないように、両手を上げてハンバーガーもどきを仔犬の目線に入らないようにする。
キャゥッ!?
クゥ~ン、クゥ~ン。
仔犬がこの世の終わりのような鳴き声を出しながら、座っている私の周りをクルクルと回り始めちゃったんだけど。
・・・・・。
どうしよっ。
めちゃめちゃ悩んだけれど諦めてくれないので、ハンバーガーもどきのパテ?(ハンバーグを薄く平たくして焼いただけなんだけど)を取り出してお皿に乗せたら、凄い勢いで食いついていた。
・・・・異世界の犬は人間と同じものを食べる。うん、そういう事にしておこう。
食事が終わったら、自分自身にクリーンをかけて綺麗サッパリと汚れを落としたら後は寝るだけ。
「もし獣とか近寄って来たら教えてね。」
ワゥッ!
お、力の入ったいい返事。
動物どころか虫の音も聞こえないシンとした森だけど、それでも安全かは分からない。
でも、睡魔には勝てない。今日はめちゃくちゃ動いて頑張ったからね。
取り敢えず仔犬の鼻を信じて任せる事にした。
任せる事にしたんだけれど、、、仔犬だからかな?
私よりも早くあっという間に眠っちゃったんだけど、、、。
仕方がないのでテントの中から外に向かって、
「変な虫は入って来ませんよ~に!」
「黒いモヤが近付いてきませんよ~に!」
「肉食な獣が近づいて来ませんよ~に!」
「あ、魔獣も近付いてきませんよ~に!」
東西南北全ての方角に向かって手を合わせ祈ってから眠った。
疲れていたせいか、こんな状況でも案外とぐっすりと眠れて翌朝の目覚めは快適だったよ。
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ここまでお読み下さりありがとうございます。
主人公、相変わらず無自覚で聖女の力を使っています。
今回は何気にテントを守るように結界を張っちゃっています。
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