美化係の聖女様

しずもり

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ガーナの街にて

驚きの事実の発覚と魔法鞄

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「リオの買い取り交渉、、、凄かった。」


全ての用事を終えて三日月亭に戻ってきた途端、ジョージ君は食堂のテーブルに突っ伏してしまった。


そ、そんなに?


今日、私の用事にジョージ君は付き合ってくれた。街の案内と冒険者ギルドへの付き添いと買い物に。


最初に冒険者ギルドに行って『冒険者登録したい』と言った時は、受付のお姉さんに驚かれた。


まぁ、普通そうだよね。


買い物の途中ですか、みたいな格好だったんだもん。お店に不用品を売りに行く為に大荷物だったし筋肉のキの字も見当たらないような見た目だったからね。


けれど、冒険者ギルドでは私もビックリする事実が発覚した。


もう、子どもに見られるのは慣れっこだったけど、冒険者になるにも年齢制限があったみたいで最初は年齢詐称を疑われた。

13歳以下は冒険者登録出来ないらしい。それでしつこく疑われて、『20歳だ。』と言ったら全く信じて貰えなかった。


それで登録前だったけど、年齢確認の為に冒険者カードを作る時に使うプレートに手を置く様に言われた。

何でプレートに手を?と思ったら、プレートに手を置くと名前、年齢、性別、出生国、魔法の属性とかがプレートに表示されるんだって。


違う意味で年齢詐称がバレる!恥ずかしいっ!


って焦ったよね。後から考えたら、年齢よりも出生国とか名前とかどう表示されるかの方が重要だったとは思うけど。


それでももう年齢を偽らなくていいか、という気持ちもあって ー今まで本当に居た堪れなかった!ー 意を決してプレートに手を置いた。


そうしたら何と!


プレートには

ーーーーーーーーーー

名前:アサヒカワ  リオ

性別:オンナ

年齢:17

出生国:########

魔法属性:#######

ーーーーーーーーーーー

と、表示された。


え!?17歳っ?


て、私自身が驚いていたら、受付のお姉さんは呆れていた。


まぁ、冒険者になる年齢に達しているのに、何故、20歳だなんて嘘ついたんだ?と普通は思うよねぇ。


ジョージ君も驚いていたので、取り敢えず『気づいた時には身寄りも無く独りだった。だから本当の年齢も知らなかった。』と言ったら、お姉さんが多いに同情してくれた。


うん、嘘は言って無いよね?


気づいたらこの世界に独りっきりだったんだもの。不用品ゴミと一緒だったけど。


出生国と魔法属性が『########』と表示されるのが気になったけれど、国の方は単純にこの世界で生まれていないから、と理解した。魔法属性はよく分からない。


お姉さんもそれについては首を捻っていたけれど、年齢は基準を満たしているから無事に登録出来た。


何で若返ったのか、よく分からないけれど、この世界に来てしまった時に体に影響があった、と思うしかないよね。


こっちの世界に来てから顔の一部しか見えないプチプラグッズの小さな鏡で自分の顔を見ていたから、まさか若返っているなんて本当に気付かなかったよ。


今度、メアリーさんには手紙で年齢の訂正をしておこう。


冒険者登録をした後は、まずは買い物の前に不用品の買い取りをしてもらう事になった。

ジョージ君に連れられて行ったお店は、この街の住民も観光客もよく利用するというお店だった。

店内に綺麗に分類分けされて置かれた商品は、新品と中古品コーナーに分かれていた。生活用品からこの街の土産物、貴族が着る様な衣装など様々な商品が置いてある。買い取りは店の奥の小さなスペースで店主がしてくれるらしい。


店主は怪しげな男の人が描かれた大きなトートバッグを持って入ってきた私に一瞬、驚いていた。

そうだよねぇ。このトートバッグも買い取ってくれないかなぁ?


怪しげな袋から取り出した商品はこの世界では見かけない物ばかりだったらしくて、更に店主は驚いていた。


取り敢えず、今回は元恋人ヤツの衣類やグッズを処分したい。そう思って持ってきた不用品を並べて見せる。靴はこの世界の貴族が似たようなデザインの物を履いているのか、すぐに興味を示して買い取りOK。

スーツ一式は貴族の男性が着ているのとかなり違うのか、ちょっと渋い顔に。手にとって素材の違いに驚いて関心を持ったみたいだけれど、どうやら貴族が着るにはなのだとか。


それならば、と背丈だけはヤツとジョージ君は同じぐらいだったから、拝み倒してマネキン代わりにジョージ君に着てもらった。


そうしてジョージ君が着てみれば、そのスーツのデザインの良さに店主の心が動いたのを見逃さず、金糸や銀糸で胸ポケットや袖口、裾に刺繍をすれば華やかに見える。そうすればこのスーツのデザインは他には無い筈の一点物を欲しがる貴族が居るのでは、とアピールした。


心が揺れる店主にダメ押しで、洋品店と協力してこのスーツの型(パターン)を作って、貴族仕様に製作すれば独占販売出来るのでは、と言えば、結構高額で買い取りしてくれた。


そうしてある程度の金額で買い取りが決まった時に、ふと店内に目を向ければ、小さなポシェットが目についた。

皮製のようだけれど、小さいのに金貨50枚という値段にビックリ。店主に理由を聞いて見れば、なんと魔法鞄マジックバッグという物だった。なんでもそのポシェットは魔法を使って作られた鞄で、中は空間収納になっていて大容量の荷物を収納出来るらしい。


そんな素敵なポシェット、欲しいに決まっている!


今のところ買い取り合計金額は金貨10枚だった。全然足りない。

けれど、旅をするにも便利そうなこのポシェットは是非欲しい。そうなると値切るしかない。

どこまで下がるか分からないけれど、値切れるとこまでは値切りたい。

『このポシェットはいつから置いてあるのか?』の質問から始まって、あれこれ質問してから、『このポシェットを是非欲しい!』、『希少な品だとは分かるがもう少しお安くならないか?』と、下手に出ながら熱い想いを語って、店主は根負けして金貨40枚まで値下げしてくれた。

まぁ、もしかしたら『どうせ金貨40枚にしても買えないでしょ?』と思っていたのかも知れない。実際手持ちにそんな大金は無かったからねぇ。


で、金貨40枚なら売ってくれる、という言質を取ってから、取っておきの商品をどーん!

手巻き式の腕時計の買い取りをお願いした。腕時計を見せた瞬間、店主の目の色が変わったよね。

この腕時計もヤツのだったんだけど、某メーカーの手巻き式の腕時計が流行った事があったんだよね、ごく一部で。

 それでがプレゼントしたんだけど、その半月後ぐらいに某ハリウッドスターが広告塔になったソーラタイプのお高い腕時計が話題になって、結局、この腕時計は私の家でずっと出番を待っていた。来る筈の無い出番を。

何で誕生日プレゼントの買い直し?なんて思っていたけれど、その時はまだ恋人同士の時間もあったんだよねぇ。デートも週1はしていたし。でも請われるままに買い直すなんて、甘やかし過ぎたんだろうね。


そんな事を思い出して遠い目をしていた私に、店主は興奮してあれこれ聞いてきた。答えられる質問には答え、この世界でたぶん男性用のこの腕時計は1つだけだろう、と話した。
私の腕時計も手巻き式なんだけどね、それは売るつもりは無いから。


結果、ポシェットの代金を引いて、買い取り金額は金貨80枚になった。私と店主の値段交渉を唖然として見ていたジョージ君は腕時計を私が出した時には固まっていた。金貨80枚が私の目の前に積み上げられた時も。


正直、腕時計の値段は安く見積られていると思う。でも、大きいと言っても田舎のさほど大きくないお店でポンと出せる金額は限られているんじゃないかな。店主も気にしてポシェットに衣類や生活用品を沢山オマケで入れてくれてた。


まぁ、そんな感じで買い取りしてもらったら、買い物もほぼ完了してしまったので私たちは三日月亭に戻ったのだ。


あのトートバッグ?

あれは流石に店主さんも無言になって、表情で『買い取り拒否』を訴えていたから、ポシェットの中で出番を待って眠っているよ。もう永久に日の目を見ない気がするけどね。








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