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最終話

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学園を卒業と同時に結婚した私は侯爵位を賜り、アーヴィン侯爵となった。それと同時に弟ミシェルが予定通り王太子となり正式に国中に発表された。

彼は優秀で8歳にして王太子教育も既にほぼ終えているという。そして何より誰よりも早く魔法を使える様になっていた。まだ初歩的な魔法しか扱えないそうだが、ルルーナさんは『魔法使いや魔女が誕生するのも時間の問題ねっ。』と、非常に喜んでいた。


因みに男性でも魔女の能力に目覚めた者は、『魔女』なのだそうだが、ややこしいので男性は『魔法使い』と呼称される事が多いそうだ。

実は魔法が使えるだけでは魔法使いとは呼ばないのだとか。けれど魔法が使える者も通常の人よりは寿命が長い事が文献を調べて分かったらしい。

まぁ、平均寿命より20~30年ほど延びる程度らしいいけれど。

そうして魔法についての研究の成果は時を経る毎に実を結び、私とルカもミシェルに続いて数年後には魔法を使う事が出来る様になった。


「先ずは第一段階突破だな。」

満足そうに言ったルカは、なんと魔法使いになる事を目指していた。勿論、ルカの計画では私も魔女になる予定らしい。


ルルーナさんに講師をやらせる時に『サーシャが魔女になれる様に教えて欲しい』と言って彼女をやる気にさせていたようだ。


けれど、魔法使いや魔女に無事になれるのなら良いが、どちらかだけが能力に目覚めた場合、やはり一人取り残されてしまうのではないか?という不安が私にはあった。

『絶対に大丈夫。僕たちならなれる。』と言い続けたルカは更に数年経った頃、ミシェルに続いて魔法使いとなった。私たちの可愛い子どもたち、双子のルイーゼとアルトが10歳になった時だ。


その頃にはルーカス父親の私への重い愛と執着を知っていた二人に

「「お母様、頑張れっ。」」


という言葉を半笑いで言われてしまった。

二人の容姿は王家の血を濃く継いだ見た目をしているが、どういう訳だか性格は二人ともルカ似だった。それぞれ伴侶となる相手を既に狙い定めている所もそっくりだと思う。

そういう部分が親子で気が合うのか、ルカと子どもたちの仲は良好で、私には話さないような事も二人には話していたりする。
それを無理に聞こうとは思わない。そういう話は聞かない方が良い話である、という事を私は経験上知っているからだ。


子どもたちの応援があったからか、それともルカの執念からなのか、ルカに遅れる事約2年。私も無事に魔女となった。ルカは勿論、ルルーナさんは泣いて喜んでいた。


まぁ、この頃にはルルーナさんには大事な人が出来ていて 、(それが意外にもルカの元部下のジャンさんだった。)魔女の呪いは解けていたし、ジャンさんもちゃっかり魔法使いになっていたのだけれど、『これはこれ。それはそれ。』だと言われた。

そしてその十年後には 双子の姉弟子どもたちも、しっかり魔法使いと魔女になったのはまた別の話。


私が魔女になって少しした頃、ルカに疑問に思っていた事を聞いてみた事がある。


「どうしてそんなに魔女になる事に拘っていたの?」


ルカが魔法を使う事や魔女になる事に興味を持っていたとは思えなかったからだ。


「二人で長生きしたかったから。」


ルカの答えは私には意外だった。


「意外ね。ルカが長生きしたいと思っていたなんて。」


「だってサーシャを愛するのに、たった100年じゃ足りないから。

きっと300年経ってもまだ足りない、と言う自信があるよ。」


そう言って微笑んだルカの表情は十分満ち足りている様にも見えたけれど、きっと本心からの言葉なのだろう。


なんて、なんて重い愛なのだろう。


けれど、もしかしたら私も300年経っても、もっと愛して、と言っているのかも知れないと、そう思ってしまう。


私たちには関係の無かった婚約破棄騒動から、まさか魔女となって数百年規模の話で、愛を語り合う日が来るとは。

何だか可笑しくて、思わずクスリと笑えば

「人の愛の告白を笑うなんて。」

と、ルカが拗ねたように頬を膨らます。二児の父親とは思えない仕草にもう一度笑ってしまう。


こんな風に300年先まで愛を語り合うのも悪くはない。


そう思うと、私はルカの耳元で愛を囁いた。



ー END  ー


====================================================


ここまでお読み下さりありがとうございました。

思っていたよりも長めの話になってしまいましたが、何とか無事に着地点に辿りつけました。

このお話はこれにて完結となります。

ありがとうございました。


しずもり











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