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魔女の呪い
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「まぁ、それは置いといて。ルルーナ、アンタはサーシャ王妃に呪いを掛けられた時の事を覚えているかい?」
「当たり前じゃないっ!あの日の事を忘れるなんて出来る訳無いわ。呪いの所為で私は魔女じゃなくなっちゃったのよっ!
しかも私の意志で近付かなければ、他の人からは認識されない、すぐに忘れられるっていう最悪のオマケ付きでね。
・・・だから何でアンタたちが私を覚えているのかが不思議なのよ。」
ルルーナさんは最初は怒りをも露わに叫び、そして次第に困惑しているような声に変わっていった。
「うん、そうだね。推測でしか無いけれど、一つは僕たちには王族の血が流れているから、かな。」
「えっ!でも王族の血が流れているなら、かなりの人数が居るわ。
だってロザリナ様だって、シンシア様だって王族の血は流れているのよ?だけどロザリナ様は覚えていなかったわ。」
ルカの言葉に思わず反論するような事を言ってしまったのは、一度目の騒動の後にロザリナ様に確認をしていたからだ。
「それについては確かめようが無いんだけどね。でも僕は魔力量の違いか、魔法を使えるようになる素質が有るか無いか、の差じゃないかと思っているんだ。
過去の二度の婚約破棄騒動では奇しくも王族の血が入っていた女性が婚約者だった。
狙った訳では無いだろうけれど、彼女たちはそれぞれの婚約者に平手打ちをした。その瞬間に魅了魔法が解けたんじゃないかと思うんだ。
サーシャ王妃の日記には、『ルルーナの魔女の能力は封じた。けれど魅了魔法は完全には封じられてはいないだろう。』と書かれていた。
魔法を使える者の中には『魅了』の類の魔法を使える者も居たそうだよ、ルルーナほどでは無かっただろうけどね。
だから王妃によって魔女の能力を封じられたけれど、狙って使ったかは知らないが、ルルーナは魅了の力を使って目をつけた男子生徒を自分の虜にしていた。
けれど、彼らは婚約者の平手打ちで魅了が解けた。そしてその瞬間、場の空気も変わったんだと思う。
彼女たちの持つ魔力がそうさせたのか、呪いの効力が発揮されたのかは分からないけど、結果的に婚約破棄騒動は無かった事になった。」
なんだか話が難しくなってきたわね。
王妃はルルーナさんに『魔女の能力の封印』と『認識阻害』の魔法を掛けた。けれど『魅了魔法』は魔女だけの能力では無かったから封印しきれなかった、という事よね。
だけどサーシャ王妃の血を引く者たちは、魔女の血が流れているから『魅了魔法』に対抗出来る何かがあったという事かしら。
「シャシャが私に呪いを掛けた時に言ったのよ。『お得意の魅了魔法で今までみたいに沢山の男性を虜にして真実の愛を見つけてみたら?それが出来れば呪いも解けるんじゃない?』って。
だから私はっ!ずっと呪いを解こうと頑張ったのに!
だけど魔女の能力は封印されているから、魅了の力も少ししか効かなくて、少しのキッカケで解けてしまうし。真実の愛なんて見つからないし。
『好きだ。』『愛している。』って言われても呪いは解けないのよ?
何でっ、何でなのよ。きっとシャシャは私に解呪させる気なんて最初から無かったのよ!」
・・・・300年近くこんな事を続けてたの?なんていうか、何かを間違えているんじゃないかしら?
「サーシャ王妃も後悔していたみたいだよ。お灸を据えるつもりでちょっと嫌味を言ってしまったけれど、まさかその日の内に勝手にこの国から居なくなるとは思わなかったってさ。」
「はぁ~?何よ、それ。どういう意味よ。」
えぇっ?ルルーナさんは間違った解呪方法を300年もずっと続けていたって事かしら?それは少し気の毒に感じるわね。
「先に聞くけどさ。アンタはこの国の王太子に魅了魔法をかけた事をどう思っているんだよ。別に王太子に惚れてた訳じゃないんでしょ?」
「それはそうよ!ちょっとした悪戯だったのよ。私を馬鹿にした奴らには仕返しだったわ。
けどシャシャには、、、シャシャはいっつも私に『真面目に勉強しろ!』とか『魅了魔法はやたらに使うな。』とか口煩く言ってくるから、私の魅了魔法はこんなに凄いのよ、って見せてやろうと思ったのよ。」
魅了魔法はそんな軽い気持ちで使うものでは無いんじゃないの?しかも王太子に掛けるなんて、、、。
「300年以上立っても何も気づかないなんておめでたいね、アンタ。」
「何がよっ!ちょっとした悪戯に怒って300年経っても解けない呪いを掛ける方が酷いって話じゃない!」
ルルーナさん、全く反省して無いよね。300年の長い月日を一人で過ごすのは辛かっただろう、と思っていたのになぁ。
「どこの国でも同じだと思うけど、国の王太子に魅了魔法なんて掛けたりしたら、処刑されていると思うんだよね。国家転覆罪とかで。」
「えっ、、、、。だってちょっと掛けて、シャシャに見せつけたら解くつもりだったのよ?軽い悪戯だったんだもん。」
ルルーナさん、だもんって、可愛らしく言ってももう見た目は立派な大人の女性なのに、、、。
けれど、確かに国家転覆罪を求刑されてもおかしくない案件だ。だって王太子は次期国王なんですもの。そんな人に魅了魔法を掛けるなんて自殺行為だわ。
「アンタが悪戯だと思っても国はそうは見ないだろ。事実、アンタを処刑する話が出てたみたいだよ。
サーシャ王妃、その頃はまだ学生で王太子の婚約者という立場だったけど、彼女が国王や大臣たちに掛け合って、魔女の呪いを掛ける事でそれ以上のお咎めは無し、という事になったんだよ。」
「嘘っ!そんなの嘘よ。だってシャシャはそんな事言ってなかったわ。」
「まぁ、色々説明する前に居なくなったのはアンタでしょ。少し反省させてから解呪の方法を教えるつもりだったらしいよ。結局、今も反省していないみたいだけどね。」
ルカが心底呆れた、というような表情と仕草で言った。
「当たり前じゃないっ!あの日の事を忘れるなんて出来る訳無いわ。呪いの所為で私は魔女じゃなくなっちゃったのよっ!
しかも私の意志で近付かなければ、他の人からは認識されない、すぐに忘れられるっていう最悪のオマケ付きでね。
・・・だから何でアンタたちが私を覚えているのかが不思議なのよ。」
ルルーナさんは最初は怒りをも露わに叫び、そして次第に困惑しているような声に変わっていった。
「うん、そうだね。推測でしか無いけれど、一つは僕たちには王族の血が流れているから、かな。」
「えっ!でも王族の血が流れているなら、かなりの人数が居るわ。
だってロザリナ様だって、シンシア様だって王族の血は流れているのよ?だけどロザリナ様は覚えていなかったわ。」
ルカの言葉に思わず反論するような事を言ってしまったのは、一度目の騒動の後にロザリナ様に確認をしていたからだ。
「それについては確かめようが無いんだけどね。でも僕は魔力量の違いか、魔法を使えるようになる素質が有るか無いか、の差じゃないかと思っているんだ。
過去の二度の婚約破棄騒動では奇しくも王族の血が入っていた女性が婚約者だった。
狙った訳では無いだろうけれど、彼女たちはそれぞれの婚約者に平手打ちをした。その瞬間に魅了魔法が解けたんじゃないかと思うんだ。
サーシャ王妃の日記には、『ルルーナの魔女の能力は封じた。けれど魅了魔法は完全には封じられてはいないだろう。』と書かれていた。
魔法を使える者の中には『魅了』の類の魔法を使える者も居たそうだよ、ルルーナほどでは無かっただろうけどね。
だから王妃によって魔女の能力を封じられたけれど、狙って使ったかは知らないが、ルルーナは魅了の力を使って目をつけた男子生徒を自分の虜にしていた。
けれど、彼らは婚約者の平手打ちで魅了が解けた。そしてその瞬間、場の空気も変わったんだと思う。
彼女たちの持つ魔力がそうさせたのか、呪いの効力が発揮されたのかは分からないけど、結果的に婚約破棄騒動は無かった事になった。」
なんだか話が難しくなってきたわね。
王妃はルルーナさんに『魔女の能力の封印』と『認識阻害』の魔法を掛けた。けれど『魅了魔法』は魔女だけの能力では無かったから封印しきれなかった、という事よね。
だけどサーシャ王妃の血を引く者たちは、魔女の血が流れているから『魅了魔法』に対抗出来る何かがあったという事かしら。
「シャシャが私に呪いを掛けた時に言ったのよ。『お得意の魅了魔法で今までみたいに沢山の男性を虜にして真実の愛を見つけてみたら?それが出来れば呪いも解けるんじゃない?』って。
だから私はっ!ずっと呪いを解こうと頑張ったのに!
だけど魔女の能力は封印されているから、魅了の力も少ししか効かなくて、少しのキッカケで解けてしまうし。真実の愛なんて見つからないし。
『好きだ。』『愛している。』って言われても呪いは解けないのよ?
何でっ、何でなのよ。きっとシャシャは私に解呪させる気なんて最初から無かったのよ!」
・・・・300年近くこんな事を続けてたの?なんていうか、何かを間違えているんじゃないかしら?
「サーシャ王妃も後悔していたみたいだよ。お灸を据えるつもりでちょっと嫌味を言ってしまったけれど、まさかその日の内に勝手にこの国から居なくなるとは思わなかったってさ。」
「はぁ~?何よ、それ。どういう意味よ。」
えぇっ?ルルーナさんは間違った解呪方法を300年もずっと続けていたって事かしら?それは少し気の毒に感じるわね。
「先に聞くけどさ。アンタはこの国の王太子に魅了魔法をかけた事をどう思っているんだよ。別に王太子に惚れてた訳じゃないんでしょ?」
「それはそうよ!ちょっとした悪戯だったのよ。私を馬鹿にした奴らには仕返しだったわ。
けどシャシャには、、、シャシャはいっつも私に『真面目に勉強しろ!』とか『魅了魔法はやたらに使うな。』とか口煩く言ってくるから、私の魅了魔法はこんなに凄いのよ、って見せてやろうと思ったのよ。」
魅了魔法はそんな軽い気持ちで使うものでは無いんじゃないの?しかも王太子に掛けるなんて、、、。
「300年以上立っても何も気づかないなんておめでたいね、アンタ。」
「何がよっ!ちょっとした悪戯に怒って300年経っても解けない呪いを掛ける方が酷いって話じゃない!」
ルルーナさん、全く反省して無いよね。300年の長い月日を一人で過ごすのは辛かっただろう、と思っていたのになぁ。
「どこの国でも同じだと思うけど、国の王太子に魅了魔法なんて掛けたりしたら、処刑されていると思うんだよね。国家転覆罪とかで。」
「えっ、、、、。だってちょっと掛けて、シャシャに見せつけたら解くつもりだったのよ?軽い悪戯だったんだもん。」
ルルーナさん、だもんって、可愛らしく言ってももう見た目は立派な大人の女性なのに、、、。
けれど、確かに国家転覆罪を求刑されてもおかしくない案件だ。だって王太子は次期国王なんですもの。そんな人に魅了魔法を掛けるなんて自殺行為だわ。
「アンタが悪戯だと思っても国はそうは見ないだろ。事実、アンタを処刑する話が出てたみたいだよ。
サーシャ王妃、その頃はまだ学生で王太子の婚約者という立場だったけど、彼女が国王や大臣たちに掛け合って、魔女の呪いを掛ける事でそれ以上のお咎めは無し、という事になったんだよ。」
「嘘っ!そんなの嘘よ。だってシャシャはそんな事言ってなかったわ。」
「まぁ、色々説明する前に居なくなったのはアンタでしょ。少し反省させてから解呪の方法を教えるつもりだったらしいよ。結局、今も反省していないみたいだけどね。」
ルカが心底呆れた、というような表情と仕草で言った。
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