記憶屋

卯月青澄

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「そんな…」

「あの子には、もう会わない方がいいかもしれない。これ以上はツラくなるだけよ」

「・・・・・」

何て言い返せばいいのか、何を言えば正解なのかわからなくなった。

「平野さん…翔太には時間が残されていない。いつまで生きられるかわからないの。どんどん体は病魔に侵されて弱っていくの。立ち上がる事さえ出来なくなる。翔太もきっと、そんな姿をあなたには見られたくないはず。それに今は翔太の事を好きかもしれない。でも、翔太の死にそうな姿を見続けるうちに気持ちは変わっていく。そうならないうちに翔太と別れるの。それがお互いにとって1番いい選択なの」

「私…」
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