記憶屋

卯月青澄

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ガラガラガラ…

病室の引き戸が、ほんの数センチだけ開かれた。

「とうぞ…」

ガチャン…

僕の呼び声と同時に扉は閉められた。

もしかして…

僕はベッドから起き上がり、扉に向かって歩きながら「先輩!」と声をかけた。

「来ないで!」

「先輩、来てくれたんですね」

「悪い? 来ちゃ迷惑なんでしょ?」

「そんな事言ってません。ただ先輩の負担になりたくなくて…」
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