【ラスト・パラダイス】 一人ぼっちのダンジョン攻略 少年は命がけのゲームを、孤独に戦いぬく

猫野 にくきゅう

文字の大きさ
上 下
73 / 160
コボルトの谷

第37話 VSコボルトキング A

しおりを挟む

 ×印を付けた地点から、コボルトの谷を一周した。

 壁面を確認すると、×印が五つある。


 僕の推測が正しければ……。
 これで、この谷を50キロメートル探索したことになる。

 もう、×印を付ける必要はない。


 これで、このダンジョンのボスが登場するはずだ。
 

 印をつけた地点から少し進む。


 すると────
 進行方向の先から、プレッシャーが発生……。


 視界の先に、巨大なモンスターが出現した。

 二メートルを優に超えた、大きなコボルトがいる。










 筋骨隆々な獣人型の肉体に、コボルト特有の凶暴で剥き出しの牙──
 加えて左右の腕に、大きな鉤爪も装備している。


 その敵を見た瞬間、僕の全身に緊張が走る。

 敵の放つプレッシャーに負けて、恐怖が身体を支配する。


 コボルトの谷のボス、コボルト・キングだ。

 その左右には────
 ボスより一回り小さなコボルトが二匹、お供のように控えている。

 ……凶悪な見た目のボスの横にいると、進化タイプが可愛く見えるな。






 僕の推測通りだった。

 この谷をループして、一周すれば10キロメートルになるようだ。

 50キロメートル歩いたことで、ボスが現れた。



 僕の心は、恐怖で強張ったままだ。


 それでも身体は自然に動き、戦う準備を開始する。

 右手で短剣を抜き、左手で散弾を作った。


 敵もこちらを捉えて、動き出している。

 ────戦闘開始だ。


 




 コボルトの群れは、僕を見つけると同時に行動を開始した。

 ボスのお供二匹が先陣を切り、その後ろにボスが走る。


 ────まずは、雑魚から始末しよう。

 僕は左腕を敵に向かって、まっすぐに伸ばす。
 そして、ダークショットを放った。


 ────ドウッ!!!

 ボスの前を走る二匹を、散弾が捉えて行動不能にする。


 即死させることは出来なかった。

 だが、十分なダメージを与えている。

 もう戦闘は出来ないだろう。






 ────ヒュゴッ!!!!

 僕がダークショットを放った、二秒後……。

 コボルト・キングの攻撃が、僕の真横から迫る。


 ────速い!!

 これがボスの、トップスピードか……。
  

 僕がダークショットを放った瞬間、ボスは進路とスピードを切り替えた。
 二匹の部下を迂回し、僕に接近────

 こちらの攻撃直後の隙を狙って、右側から飛び込んできた。


 ────移動速度が速すぎる。



 
 まともにやり合っても、対応できない相手だ。


 僕は特技『スロウ』を使用────

 停滞する時の中で、敵の攻撃を見切る。


 コボルト・キングは、左手を振り上げるように──
 装備した鉤爪で、僕の顔を狙っている。


 ……斜め下からの攻撃か、盾で防いでから反撃しよう。


 僕はダークショットの散弾を、三発作る。

 ────そして、スロウを解除した。







 敵の攻撃の軌道は、すでに見切っている。

 装備した戦士の盾を、敵の攻撃の軌道上に移動させる。


 ガギィィイイ!!!!

 敵の攻撃を、間一髪で防げた。


 ────けれど、重いっ!!

 敵の体重と膂力は、僕よりもはるかに大きい。


 こんなのと、まともにぶつかり合えば────

 ヒュォオオ!!!!

 僕の身体は吹き飛ばされて、地面を転がる。


「────グッ!!」




 転がり終えた僕の腹部に、コボルト・キングの蹴りが入った。

 ドゴッォオン!!!


「ガハッ────!!」

 鎧を着ているとはいえ、身体を凄い衝撃が突き抜ける。


 打撃ダメージを、かなり食らった。

 敵の蹴りでさらに地面を転がされた僕は、仰向けで地面に倒れている。

 かなりのダメージが入った。

「はぁはぁ……」
 


 コボルト・キングは慎重に僕に近づき、こちらの様子を見ながら右腕を振りかぶる。

「……くっ」

 僕は、動けないでいる。
 

 敵はこちらの動きを観察し、カウンターを狙っていた。



しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

動物に好かれまくる体質の少年、ダンジョンを探索する 配信中にレッドドラゴンを手懐けたら大バズりしました!

海夏世もみじ
ファンタジー
 旧題:動物に好かれまくる体質の少年、ダンジョン配信中にレッドドラゴン手懐けたら大バズりしました  動物に好かれまくる体質を持つ主人公、藍堂咲太《あいどう・さくた》は、友人にダンジョンカメラというものをもらった。  そのカメラで暇つぶしにダンジョン配信をしようということでダンジョンに向かったのだが、イレギュラーのレッドドラゴンが現れてしまう。  しかし主人公に攻撃は一切せず、喉を鳴らして好意的な様子。その様子が全て配信されており、拡散され、大バズりしてしまった!  戦闘力ミジンコ主人公が魔物や幻獣を手懐けながらダンジョンを進む配信のスタート!

クラス召喚に巻き込まれてしまいました…… ~隣のクラスがクラス召喚されたけど俺は別のクラスなのでお呼びじゃないみたいです~

はなとすず
ファンタジー
俺は佐藤 響(さとう ひびき)だ。今年、高校一年になって高校生活を楽しんでいる。 俺が通う高校はクラスが4クラスある。俺はその中で2組だ。高校には仲のいい友達もいないしもしかしたらこのままボッチかもしれない……コミュニケーション能力ゼロだからな。 ある日の昼休み……高校で事は起こった。 俺はたまたま、隣のクラス…1組に行くと突然教室の床に白く光る模様が現れ、その場にいた1組の生徒とたまたま教室にいた俺は異世界に召喚されてしまった。 しかも、召喚した人のは1組だけで違うクラスの俺はお呼びじゃないらしい。だから俺は、一人で異世界を旅することにした。 ……この物語は一人旅を楽しむ俺の物語……のはずなんだけどなぁ……色々、トラブルに巻き込まれながら俺は異世界生活を謳歌します!

日本列島、時震により転移す!

黄昏人
ファンタジー
2023年(現在)、日本列島が後に時震と呼ばれる現象により、500年以上の時を超え1492年(過去)の世界に転移した。移転したのは本州、四国、九州とその周辺の島々であり、現在の日本は過去の時代に飛ばされ、過去の日本は現在の世界に飛ばされた。飛ばされた現在の日本はその文明を支え、国民を食わせるためには早急に莫大な資源と食料が必要である。過去の日本は現在の世界を意識できないが、取り残された北海道と沖縄は国富の大部分を失い、戦国日本を抱え途方にくれる。人々は、政府は何を思いどうふるまうのか。

家の庭にレアドロップダンジョンが生えた~神話級のアイテムを使って普通のダンジョンで無双します~

芦屋貴緒
ファンタジー
売れないイラストレーターである里見司(さとみつかさ)の家にダンジョンが生えた。 駆除業者も呼ぶことができない金欠ぶりに「ダンジョンで手に入れたものを売ればいいのでは?」と考え潜り始める。 だがそのダンジョンで手に入るアイテムは全て他人に譲渡できないものだったのだ。 彼が財宝を鑑定すると驚愕の事実が判明する。 経験値も金にもならないこのダンジョン。 しかし手に入るものは全て高ランクのダンジョンでも入手困難なレアアイテムばかり。 ――じゃあ、アイテムの力で強くなって普通のダンジョンで稼げばよくない?

勇者一行から追放された二刀流使い~仲間から捜索願いを出されるが、もう遅い!~新たな仲間と共に魔王を討伐ス

R666
ファンタジー
アマチュアニートの【二龍隆史】こと36歳のおっさんは、ある日を境に実の両親達の手によって包丁で腹部を何度も刺されて地獄のような痛みを味わい死亡。 そして彼の魂はそのまま天界へ向かう筈であったが女神を自称する危ない女に呼び止められると、ギフトと呼ばれる最強の特典を一つだけ選んで、異世界で勇者達が魔王を討伐できるように手助けをして欲しいと頼み込まれた。 最初こそ余り乗り気ではない隆史ではあったが第二の人生を始めるのも悪くないとして、ギフトを一つ選び女神に言われた通りに勇者一行の手助けをするべく異世界へと乗り込む。 そして異世界にて真面目に勇者達の手助けをしていたらチキン野郎の役立たずという烙印を押されてしまい隆史は勇者一行から追放されてしまう。 ※これは勇者一行から追放された最凶の二刀流使いの隆史が新たな仲間を自ら探して、自分達が新たな勇者一行となり魔王を討伐するまでの物語である※

現代ダンジョンで成り上がり!

カメ
ファンタジー
現代ダンジョンで成り上がる! 現代の世界に大きな地震が全世界同時に起こると共に、全世界にダンジョンが現れた。 舞台はその後の世界。ダンジョンの出現とともに、ステータスが見れる様になり、多くの能力、スキルを持つ人たちが現れる。その人達は冒険者と呼ばれる様になり、ダンジョンから得られる貴重な資源のおかげで稼ぎが多い冒険者は、多くの人から憧れる職業となった。 四ノ宮翔には、いいスキルもステータスもない。ましてや呪いをその身に受ける、呪われた子の称号を持つ存在だ。そんな彼がこの世界でどう生き、成り上がるのか、その冒険が今始まる。

実はスライムって最強なんだよ?初期ステータスが低すぎてレベルアップが出来ないだけ…

小桃
ファンタジー
 商業高校へ通う女子高校生一条 遥は通学時に仔犬が車に轢かれそうになった所を助けようとして車に轢かれ死亡する。この行動に獣の神は心を打たれ、彼女を転生させようとする。遥は獣の神より転生を打診され5つの希望を叶えると言われたので、希望を伝える。 1.最強になれる種族 2.無限収納 3.変幻自在 4.並列思考 5.スキルコピー  5つの希望を叶えられ遥は新たな世界へ転生する、その姿はスライムだった…最強になる種族で転生したはずなのにスライムに…遥はスライムとしてどう生きていくのか?スライムに転生した少女の物語が始まるのであった。

処理中です...