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スライムの森

第13話 情報屋 B

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「それで……スライムの森の、何が聞きたいのかしら────?」
 
 お姉さんは、隣に座る僕の足に手を置いて、肩を寄せる。
 僕とお姉さんの、身体が接触する。


 …………。

 ゲームキャラとはいえ、女の人と接触してしまった。
 顔が赤くなり、ドギドキする。

「あら、可愛い、初心なのね。勇者様は────」

 お姉さんが揶揄うように、『くすっ』と笑う。




 ……。

 何なんだ、これは……?

 何故僕が、女性からこんなにモテているんだ?


 ……。

 ────ひょっとして、これが魅力を100アップさせた効果なのか?



 ……そうかもしれない。

 僕の魅力が100アップしても、男にとってはどうでもいいことだろう。



 ────だが、女の人から見たら……。

 僕は女性から見て、かなり、魅力的に見えるようになったんだ。

 情報屋のお姉さんのこの過剰な密着は、それ以外には説明が付かない……。 






 …………。

 いや、別に……。
 女子からモテたいとか、僕はそういうつもりで魅力を上げたんじゃなくて────

 僕は誰に対してなのか分らない言い訳を、心の中で始めた。



 いや、いや……。

 今は、それはどうでもいい。
 ちゃんと情報収集しなくちゃ────

 僕は気を取り直して、聞きたいことを聞く。

「あの、スライムの森には、『一度入ると出られない』という情報は知っています。────ボスを倒すまでは出れないそうですね。では、────ボスは森のどの辺りにいますか? ボスと戦えるレベルの目安は? スライムの森に、ブルー、イエロー、グリーン、それとボス以外に敵はいますか? ────後は、ボスと戦う上で、有益な情報があれば教えてください」

「────あら、随分と沢山聞きたいのね。……私、全部覚えることが出来たかしら────? まあ、いいわ。知っていることは、教えてあげる」

 お姉さんはそう言うと、僕の肩に手をまわし、自分の方へと引き寄せる。
 

 ────ぽよん!!

 僕の顔が、お姉さんの柔らかな部位と接触する。

 駄目だ。
 集中して聞くんだ。

 僕は雑念を振り払い、お姉さんの話に耳を傾ける。
 

「まずは、スライムの種類ね。ブルーイエローグリーン意外だと、グレースライムがいるわ。────スライムの森にしか出てこない、防御力特化型の魔物よ。────それと、ボスの出現場所は、決まっていないの。……ブルー、イエロー、グリーン、レッド、グレー、それぞれのスライムを『森の中で』二十体ずつ倒せば、ボスが姿を現すと言われているわ。────ボスを倒せるレベルは、解らないわね。人によるけれど、ボススライムは、ブルースライムの十倍強いそうよ」


 かなり沢山の、それも、有益な情報が聞けた。
 僕はお姉さんに抱き寄せられて、ふくよかな谷間に顔を埋没させながらも、ちゃんと聞いている。


「────情報は、これで良いかしら?」

「はい、はい……」



「じゃあ、お会計ね。情報料は全部で金貨五十枚よ」



 …………えっ?


 ……しまった。

 最初にちゃんと、料金を確認しておくべきだった。

 僕の顔色が、赤から青に変わる。





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