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冒険者編
第69話 拠点構築 A
しおりを挟む第三エリアの入り口で、拠点を構築する。
草原エリアは周囲を見渡せる。
視界の範囲内に魔物は居ないようだ。
さらに、広域探知で念入りに、周囲に魔物がいないことを確認する。
作ってる途中で、襲われると厄介だからな。
石の壁の作成は、俺とモミジリが担当する。
モミジリは十分に一度ずつ、スキルを使い壁を作る。
俺も魔力を消費しすぎない様に、出力を調整して壁を作っていく。
他のメンバーはテントを張ったり、食事の準備に入る。
馬車を停めてある場所を中心に、石の壁を複数作り要塞にする。
壁は横幅二メートルくらい──
それを互い違いに組み合わせていき、敵の突撃を防ぐような造りにする。
壁と壁の間に隙間があるが、その手前に背の低い壁をつくる。
壁は敵の侵入を完全に防ぐのではなく、一度に大軍に押し寄せられないようにするためのものだ。
外側の背の低い壁は、こちらの視界を遮らずに──
敵の侵入を妨害する、障害物になる。
壁を組み合わせて、馬車の周囲を大きく囲ったが、その外にもさらに壁をランダムで配置して、内壁と外壁の二重の障壁を設けた。
中央に物見櫓も作り、高所から周囲を監視できるようにする。
トイレ用のスペースも、要塞の端に壁を組み合わせて簡単に作る。
スラ太郎がいるので、排泄物の処理は困らない。
魔力を半分ほど消費したので、少し休憩しようと休んでいると、料理担当主任のサリシアが、俺とモミジリを呼びに来てくれた。
料理が出来上がったらしい。
俺は歩きながら、なんとなくサリシアの腰に手をまわして抱きしめる。
「キャッ、も、もうっ。ダメでしょ、悪戯しちゃっ!」
サリシアはちょっと怒って俺を叱るが、構わず抱きしめ続けた。
彼女は年上として、そういうポーズを取っているだけで、嫌がっているわけではない。俺たちの様子を見ていたモミジリが対抗して、俺に身を寄せてくる。
可愛かったので、モミジリも一緒に抱きしめてやった。
今日の料理は、壁外地区で買い込んできたパンと、野菜炒めと、スープとお茶だ。
スープは固形のスープの素が売っていたので、試しに買ってみた。
それだけだと味がイマイチだったので、サリシアが余った野菜のクズを入れて、煮込んで味に深みを出してくれた。
食事を終えると、空が茜色に染まり出していた。
もうすぐ日が沈み、夜になる。
今日のところはもう寝る準備に入ることにした。
夜の警戒要員は、ウォー・ウルフの従魔、ウル助とウル坊がいるが、念のため二人ずつ交替で起きて夜の番をする。
これだけ人数がいると、夜の番が回ってくるのは三日に一度くらいになる。
夜に長時間寝ていられるというのは、多人数パーティのメリットだ。
しっかりと享受しよう。
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