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冒険者編
第65話 残りの二人
しおりを挟む「俺の目標は、ハーレムを作ることだ。嫁は沢山取るぞ」
俺がそう宣言すると──
「ええ、それでいいわ。むしろ──そういう奴の方が、私にとっても都合が良いのよ。大きい集団を維持するには力がいるわ。あなたは力を追い求め続ける。それに、妻が多いほうが、一人の負担は減るから、その分、楽が出来ていいわ」
結構、打算的なことを言われたが──
俺もそのくらいの方が、気楽でいい。
「それにしても──会ったばかりの俺のことを、よく信用できるな?」
「──ああ、そうね。ユージの能力も結構見せて貰ったし、こっちも手の内を言っておこうかしら。私の転生特典のスキルは『審美眼』といって、相手の人となりや生まれ持った運命みたいなものがオーラ? みたいな風になって見えるのよ。──直接会ってみて、あなたに賭けることにしたの。大規模な山賊団を倒すだけの強さもあるしね」
リリーシアが俺に目を付けたのは、山賊討伐の情報を得たからか。
──恐らく騎士団からだろう。
そして、スキルで俺を観察して、賭けに出た訳だ。
嫁の期待に沿えるように、頑張るとしよう。
馬車での移動中に、ミランダとレミアナさんが、リリーシアについて来た理由も軽く聞いた。
女戦士のミランダは単純にリリーシアの人柄が気に入っていることと、彼女の両親に世話になったからだという。
秘書のレミアナさんは、リリーシアの持つスキルや、すでに王族と特別に親しい関係を構築している社交術に、期待を持っているらしい。
リリーシアと親しい王族というのは、この国の第二王女ミリアリーム姫。
あまり社交的ではなく、自身の派閥も形成せずに、王宮から滅多に出ないお姫様で、俺とリリーシアと同い年らしい。
俺達と同い年か──
「という事は、その子も……」
「そう、転生者だったわ。ひょっとしてと思ってアプローチをかけて見たら、ビンゴだったわけ──だから私の社交術って訳じゃないんだけどね」
「いや、それも立派な社交術だと思うぞ。というか、俺じゃなくて、そのお姫様と組んだ方が、良かったんじゃないか?」
俺は疑問を口にする。
「それがね。彼女はあまりこっちの世界に馴染めてないのよ。特に権力闘争とかは苦手みたいで、自前の戦力が無いの──」
確かにそれだと、すぐに潰されそうだ。
「──それで、俺なわけだ」
「ええ、まずは力が無いと話にならないわ」
口には出さなかったが、多分リリーシアは──
そのお姫様の為にも、『戦力』を用意してやりたかったんだろう。
俺たちは北門付近で馬車を下りて、壁外地区へと移動する。
仲間が泊まっている宿屋に向かい、そこでリリーシアたち三人を皆に紹介する。
アカネル達のほうも、俺を待っている時間で、パーティ参加希望の残りの二人に会いに行って、連れて来てくれていた。
──確かに俺が帰還してから行くよりも、時間の節約になって効率的だ。
俺はよくやったと言って、アカネルの頭をなでてやると──
バシッ、と手を払いのけられる。
「ふんっ、子供じゃないんだから、全然ッ、嬉しくないんだからねッ」
──と言って、怒ってきた。
照れ隠しだろう。
可愛い奴め。
仲間候補の二人は『トールル』と『リコリン』という名前で──
二人とも背丈は低い。
一人はドワーフ、もう一人は壁外地区のスラム暮らしの少女だった。
二人ともリーダーの俺を見てから、正式に加わるかどうか決めたいらしい。
「で、どうだ? 俺のパーティに加わるか?」
尋ねてみると──
「まあ、いいでしょう。それでは、これからよろしくお願いします」
目の前の小柄なドワーフ少女は、俺に向かって軽くお辞儀をして挨拶をする。
もう一人の少女は──
「ふーん、けっこういい男じゃん。いいぜ、仲間になってやる。感謝しな!!」
俺よりも、二つくらい年下だろうか──
ショートカットの髪に小柄で貧相な体の少女だ。
特定の住所の無い浮浪児だったらしい。
教会で同じ境遇の子供たちと一緒に、集まって暮らしていたそうだ。
日銭を稼ぐため冒険者ギルドに出入りしていて、その時に俺の出した募集を見て応募することに決めたそうだ。
他のパーティの募集と違って条件が緩く、自分でも入れそうだったというのが応募理由だった。
俺は二人の肩に軽く手を置き、鑑定する。
それから、正式採用を決めた。
二人を冒険者登録して、その日のうちに宿を引き払い、北部のキャンプ場へと拠点を移す。まずは、戦闘訓練からだ。
いや、その前にリコリンが暮らしていたという教会に行って、新しいスキルの習得をしておくことにしよう。
*************************
名前 トールル
職業 盾使いLv03 冒険者Lv01
HP 69/69 MP 07/07 FP 46/46
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名前 リコリン
職業 放浪者Lv10 冒険者Lv01
HP 33/33 MP 09/09 FP 27/27
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