上 下
101 / 148
冒険者編

第61話 ★転生者ピョウヘイとピュロユキ 3 A

しおりを挟む


 俺はパーティの、さらなる強化を考えている。

 冒険者パーティを強くするには、なんといっても仲間を増やすことだ。

 俺やピュロユキが荷物運びや、飯の準備などの雑用をやっているが、新人を加えてそいつに雑用をして貰えば、俺たちの負担が減って、今より戦闘に専念できる。 


 そこで、パーティ参加希望者の情報を集めようと、掲示板を見に来ていた。




 ──そこで、それを見た。

 ハーレムメンバーを……
 募集、だと?

 ふざけているのか?
 

 俺はジョリーさんに、この張り紙を出した奴のことを聞いた。
 情報通のジョリーさんは、そいつの情報も詳しく知っていた。


 なんでもそいつは、貴族の家のドラ息子で──
 実家を追い出されて、冒険者もどきをやっている糞餓鬼だそうだ。

 家を追い出されるときに、手切れ金として大金を渡されたらしい。
 
 新人のくせに金だけはあるので、馬車を持ち、女を沢山侍らせているそうだ。
 労働奴隷の女を購入して、自分の世話をさせているのだという……。


 ──かわいそうに。

 俺はそいつが連れているという、女の子たちに同情したが──
 金で買われている以上、どうしてやることも出来ない。


 話を聞いてムカつきはしたが、そいつは犯罪をしているわけではない。

 
 俺が痛めつけて、シメてやろうかと思ったが、この町には悪い奴はごまんといる。
 そいつら全員の相手をしていたら切りがない。

 不快だが、無視しておこう。


 それに俺が何かしなくても、どうせそのうち痛い目を見るだろう。

 冒険者は命懸けの職業だ。
 遊び半分で首を突っ込む奴は、すぐに死ぬ。

 俺はそう思い、わざわざそいつを懲らしめる必要はないと判断した。


 だが──
 俺のその判断は、間違っていた。


 パーティメンバーに緊急の召集があった。
 次の魔物退治までには、まだ随分と日にちがある。

 呼び出しとは珍しい。
 ──いったい何の用だろう。




 俺はピュロユキと共に宿を出て、冒険者ギルドのいつもの場所で、仲間と落ちったた。みんなの表情は暗かった。

 どうしたんだと訳を聞くと、例の貴族の家を追い出されたボンボンが、フジインに言い寄っているらしい。



 『俺のパーティに入って、性奴隷になれ』そう言って、迫っているそうだ。

 ──は?

 そんなの無視すればいいだろ!! 

 憤って俺はそう叫んだ。
 しかし、奴は実家の名前を持ち出して、『自分に逆らえば、どうなるか分かっているのか?』と言って、脅してきたそうだ。



「──だが奴は、その実家を追い出されてきたんだろ?」


 俺はそう言ったが、貴族というのはメンツに拘るらしく、自分たちの名前を無視した平民の冒険者に対し、どう出るか分からないらしい。
 
 それで皆、困っているのだそうだ。
 

「……だったら、俺達でそいつを痛い目に遭わせてやれば、良いんじゃないか?」

 俺がそう提案すると、ゲイスケが──
 我が意を得たりと、力強く頷く。

「──やるか」

 といって、乗ってきた。

 俺たちは若手の中で、上位の実力を持ったチームだ。
 これまで無数の魔物と戦い、戦闘経験を積んできた。


 昨日今日この町に現れて、金の力で装備を整えている奴に、負けるわけがない。
 
 それにゲイスケは知恵者で作戦を考えるのが上手いし、ジョリーさんの協力もある。俺達で力を合わせて、ハーレム野郎にお灸を据えてやるんだ。


しおりを挟む
感想 1

あなたにおすすめの小説

特殊部隊の俺が転生すると、目の前で絶世の美人母娘が犯されそうで助けたら、とんでもないヤンデレ貴族だった

なるとし
ファンタジー
 鷹取晴翔(たかとりはると)は陸上自衛隊のとある特殊部隊に所属している。だが、ある日、訓練の途中、不慮の事故に遭い、異世界に転生することとなる。  特殊部隊で使っていた武器や防具などを召喚できる特殊能力を謎の存在から授かり、目を開けたら、絶世の美女とも呼ばれる母娘が男たちによって犯されそうになっていた。  武装状態の鷹取晴翔は、持ち前の優秀な身体能力と武器を使い、その母娘と敷地にいる使用人たちを救う。  だけど、その母と娘二人は、    とおおおおんでもないヤンデレだった…… 第3回次世代ファンタジーカップに出すために一部を修正して投稿したものです。

【ラスト・パラダイス】 一人ぼっちのダンジョン攻略 少年は命がけのゲームを、孤独に戦いぬく

猫野 にくきゅう
ファンタジー
 僕には、友達がいない。  友達を作らないのではなく、作る能力が無い。   学校の教室でも、常に孤立している。  そんな僕がある日、クラスで一番の美少女から声をかけられる。 「田中ってさ、ゲーム得意そうだよね。  手伝って欲しいゲームが、あるんだけど……」    彼女から誘われた僕は────  命がけのゲームに、挑戦することになる。

男女比がおかしい世界の貴族に転生してしまった件

美鈴
ファンタジー
転生したのは男性が少ない世界!?貴族に生まれたのはいいけど、どういう風に生きていこう…? 最新章の第五章も夕方18時に更新予定です! ☆の話は苦手な人は飛ばしても問題無い様に物語を紡いでおります。 ※ホットランキング1位、ファンタジーランキング3位ありがとうございます! ※カクヨム様にも投稿しております。内容が大幅に異なり改稿しております。 ※各種ランキング1位を頂いた事がある作品です!

貞操逆転世界に無職20歳男で転生したので自由に生きます!

やまいし
ファンタジー
自分が書きたいことを詰めこみました。掲示板あり 目覚めると20歳無職だった主人公。 転生したのは男女の貞操観念が逆転&男女比が1:100の可笑しな世界だった。 ”好きなことをしよう”と思ったは良いものの無一文。 これではまともな生活ができない。 ――そうだ!えちえち自撮りでお金を稼ごう! こうして彼の転生生活が幕を開けた。

スライム10,000体討伐から始まるハーレム生活

昼寝部
ファンタジー
 この世界は12歳になったら神からスキルを授かることができ、俺も12歳になった時にスキルを授かった。  しかし、俺のスキルは【@&¥#%】と正しく表記されず、役に立たないスキルということが判明した。  そんな中、両親を亡くした俺は妹に不自由のない生活を送ってもらうため、冒険者として活動を始める。  しかし、【@&¥#%】というスキルでは強いモンスターを討伐することができず、3年間冒険者をしてもスライムしか倒せなかった。  そんなある日、俺がスライムを10,000体討伐した瞬間、スキル【@&¥#%】がチートスキルへと変化して……。  これは、ある日突然、最強の冒険者となった主人公が、今まで『スライムしか倒せないゴミ』とバカにしてきた奴らに“ざまぁ”し、美少女たちと幸せな日々を過ごす物語。

勇者一行から追放された二刀流使い~仲間から捜索願いを出されるが、もう遅い!~新たな仲間と共に魔王を討伐ス

R666
ファンタジー
アマチュアニートの【二龍隆史】こと36歳のおっさんは、ある日を境に実の両親達の手によって包丁で腹部を何度も刺されて地獄のような痛みを味わい死亡。 そして彼の魂はそのまま天界へ向かう筈であったが女神を自称する危ない女に呼び止められると、ギフトと呼ばれる最強の特典を一つだけ選んで、異世界で勇者達が魔王を討伐できるように手助けをして欲しいと頼み込まれた。 最初こそ余り乗り気ではない隆史ではあったが第二の人生を始めるのも悪くないとして、ギフトを一つ選び女神に言われた通りに勇者一行の手助けをするべく異世界へと乗り込む。 そして異世界にて真面目に勇者達の手助けをしていたらチキン野郎の役立たずという烙印を押されてしまい隆史は勇者一行から追放されてしまう。 ※これは勇者一行から追放された最凶の二刀流使いの隆史が新たな仲間を自ら探して、自分達が新たな勇者一行となり魔王を討伐するまでの物語である※

喰らう度強くなるボクと姉属性の女神様と異世界と。〜食べた者のスキルを奪うボクが異世界で自由気ままに冒険する!!〜

田所浩一郎
ファンタジー
中学でいじめられていた少年冥矢は女神のミスによりできた空間の歪みに巻き込まれ命を落としてしまう。 謝罪代わりに与えられたスキル、《喰らう者》は食べた存在のスキルを使い更にレベルアップすることのできるチートスキルだった! 異世界に転生させてもらうはずだったがなんと女神様もついてくる事態に!?  地球にはない自然や生き物に魔物。それにまだ見ぬ珍味達。 冥矢は心を踊らせ好奇心を満たす冒険へと出るのだった。これからずっと側に居ることを約束した女神様と共に……

性的に襲われそうだったので、男であることを隠していたのに、女性の本能か男であることがバレたんですが。

狼狼3
ファンタジー
男女比1:1000という男が極端に少ない魔物や魔法のある異世界に、彼は転生してしまう。 街中を歩くのは女性、女性、女性、女性。街中を歩く男は滅多に居ない。森へ冒険に行こうとしても、襲われるのは魔物ではなく女性。女性は男が居ないか、いつも目を光らせている。 彼はそんな世界な為、男であることを隠して女として生きる。(フラグ)

処理中です...