79 / 148
冒険者編
第47話 小鬼族の集落 2 A
しおりを挟む
さて、食事も食べ終わった。
本日の宴の、メインイベントが始まろうとしている。
捕まえた山賊の処刑である。
俺達が食事をしていたのは、小鬼族の村の広場だ。
その広場の中央で、処刑は行われる。
山賊は柱のような太い木に、括られて放置されていた。
山賊の足元には、木の枝を乾燥させた薪が山盛りに置かれている。
小鬼族の族長が、キャンプファイヤーの焚火から火のついた枝を取り出して、山賊の方へと歩いていく。
そして、山賊の罪状を言い立ててから、足元の薪へと火をつける。
それと同時に、小鬼族たちの歓声が、広場に溢れかえった。
山賊という脅威が消え去った喜びの歓声と、自分たちを苦しめてきた山賊への罵声。
大盛り上がりだった。
これで、この小鬼族の村の、山賊事件は終わりを迎えた。
その夜は、小鬼族の村に泊まらせて貰うことになった。
今日の寝床は、ラズとリズが暮らしていた家だ。
全員が寝るには少し狭かったが、屋根のある所で横になれるだけありがたい。
俺は念のために回復薬を摂取して夜は寝ずに過ごす、明け方に他を起こしてから、少し眠ることにした。
俺が寝ずの番をしていると、レイレルが話があると言って声をかけてきた。
「……あの、ユージ。私のこと正式にパーティに入れて欲しいの……」
「ああ、いいぞ。こっちとしても助かるし、歓迎するよ」
「本当!! 良かった」
俺が彼女の申し出を承諾すると、心底ほっとしている。
レイレルと一緒に冒険者をしていた幼馴染の男の子は、山賊に殺されている。
彼女は、山賊から解放されても一人きりだ。
実家に帰ろうにも、家出同然で冒険者になったので、今更帰れない。
山賊のアジトを出発して、山道を登っている間は──
この先、どうやって生きていこうかと悩み続けていた。
そんな時に、俺の戦いぶりを見た。
ウォー・ウルフの群れとの戦闘だ。
群れのボスは進化個体で、しかも魔法を身に纏う特殊タイプだった。
あんなのはシルバーランクの冒険者だって、全滅覚悟で戦う相手だ。
あの魔物を見た瞬間に、自分はここで死ぬと思ったそうだ。
それをあんなに、あっさり倒した。
その時に、自分の身を俺に預けたいと思ったそうだ。
強いパーティは、正式メンバーを選りすぐる。
弱い奴や、女をパーティに加入させる目的は、弾避けや使い捨て、もしくは身体目当て──
強いパーティを避けて、弱小パーティに入った場合──
基本は、雑用任務。
そこでも、使い捨てに利用されたり、身体を要求される場合もある。
どうにも暗い未来しか想像できない。
「俺も身体目当てというか、エッチな目で見ることはあるぞ──」
そこは隠さずに正直に言う。
「ああ、それは、アカネル達に聞いてるから、なんとなく覚悟はしてる。見てもいいよ。──それに、男の子ってそういうものだって分かってるし……」
レイレルは顔を赤らめながら、そう言った。
だったら何も問題はない。
レイレルは、俺のパーティ『白銀の竜の翼』の正式なメンバーだ。
本日の宴の、メインイベントが始まろうとしている。
捕まえた山賊の処刑である。
俺達が食事をしていたのは、小鬼族の村の広場だ。
その広場の中央で、処刑は行われる。
山賊は柱のような太い木に、括られて放置されていた。
山賊の足元には、木の枝を乾燥させた薪が山盛りに置かれている。
小鬼族の族長が、キャンプファイヤーの焚火から火のついた枝を取り出して、山賊の方へと歩いていく。
そして、山賊の罪状を言い立ててから、足元の薪へと火をつける。
それと同時に、小鬼族たちの歓声が、広場に溢れかえった。
山賊という脅威が消え去った喜びの歓声と、自分たちを苦しめてきた山賊への罵声。
大盛り上がりだった。
これで、この小鬼族の村の、山賊事件は終わりを迎えた。
その夜は、小鬼族の村に泊まらせて貰うことになった。
今日の寝床は、ラズとリズが暮らしていた家だ。
全員が寝るには少し狭かったが、屋根のある所で横になれるだけありがたい。
俺は念のために回復薬を摂取して夜は寝ずに過ごす、明け方に他を起こしてから、少し眠ることにした。
俺が寝ずの番をしていると、レイレルが話があると言って声をかけてきた。
「……あの、ユージ。私のこと正式にパーティに入れて欲しいの……」
「ああ、いいぞ。こっちとしても助かるし、歓迎するよ」
「本当!! 良かった」
俺が彼女の申し出を承諾すると、心底ほっとしている。
レイレルと一緒に冒険者をしていた幼馴染の男の子は、山賊に殺されている。
彼女は、山賊から解放されても一人きりだ。
実家に帰ろうにも、家出同然で冒険者になったので、今更帰れない。
山賊のアジトを出発して、山道を登っている間は──
この先、どうやって生きていこうかと悩み続けていた。
そんな時に、俺の戦いぶりを見た。
ウォー・ウルフの群れとの戦闘だ。
群れのボスは進化個体で、しかも魔法を身に纏う特殊タイプだった。
あんなのはシルバーランクの冒険者だって、全滅覚悟で戦う相手だ。
あの魔物を見た瞬間に、自分はここで死ぬと思ったそうだ。
それをあんなに、あっさり倒した。
その時に、自分の身を俺に預けたいと思ったそうだ。
強いパーティは、正式メンバーを選りすぐる。
弱い奴や、女をパーティに加入させる目的は、弾避けや使い捨て、もしくは身体目当て──
強いパーティを避けて、弱小パーティに入った場合──
基本は、雑用任務。
そこでも、使い捨てに利用されたり、身体を要求される場合もある。
どうにも暗い未来しか想像できない。
「俺も身体目当てというか、エッチな目で見ることはあるぞ──」
そこは隠さずに正直に言う。
「ああ、それは、アカネル達に聞いてるから、なんとなく覚悟はしてる。見てもいいよ。──それに、男の子ってそういうものだって分かってるし……」
レイレルは顔を赤らめながら、そう言った。
だったら何も問題はない。
レイレルは、俺のパーティ『白銀の竜の翼』の正式なメンバーだ。
31
お気に入りに追加
105
あなたにおすすめの小説
特殊部隊の俺が転生すると、目の前で絶世の美人母娘が犯されそうで助けたら、とんでもないヤンデレ貴族だった
なるとし
ファンタジー
鷹取晴翔(たかとりはると)は陸上自衛隊のとある特殊部隊に所属している。だが、ある日、訓練の途中、不慮の事故に遭い、異世界に転生することとなる。
特殊部隊で使っていた武器や防具などを召喚できる特殊能力を謎の存在から授かり、目を開けたら、絶世の美女とも呼ばれる母娘が男たちによって犯されそうになっていた。
武装状態の鷹取晴翔は、持ち前の優秀な身体能力と武器を使い、その母娘と敷地にいる使用人たちを救う。
だけど、その母と娘二人は、
とおおおおんでもないヤンデレだった……
第3回次世代ファンタジーカップに出すために一部を修正して投稿したものです。
【ラスト・パラダイス】 一人ぼっちのダンジョン攻略 少年は命がけのゲームを、孤独に戦いぬく
猫野 にくきゅう
ファンタジー
僕には、友達がいない。
友達を作らないのではなく、作る能力が無い。
学校の教室でも、常に孤立している。
そんな僕がある日、クラスで一番の美少女から声をかけられる。
「田中ってさ、ゲーム得意そうだよね。
手伝って欲しいゲームが、あるんだけど……」
彼女から誘われた僕は────
命がけのゲームに、挑戦することになる。
男女比がおかしい世界の貴族に転生してしまった件
美鈴
ファンタジー
転生したのは男性が少ない世界!?貴族に生まれたのはいいけど、どういう風に生きていこう…?
最新章の第五章も夕方18時に更新予定です!
☆の話は苦手な人は飛ばしても問題無い様に物語を紡いでおります。
※ホットランキング1位、ファンタジーランキング3位ありがとうございます!
※カクヨム様にも投稿しております。内容が大幅に異なり改稿しております。
※各種ランキング1位を頂いた事がある作品です!
貞操逆転世界に無職20歳男で転生したので自由に生きます!
やまいし
ファンタジー
自分が書きたいことを詰めこみました。掲示板あり
目覚めると20歳無職だった主人公。
転生したのは男女の貞操観念が逆転&男女比が1:100の可笑しな世界だった。
”好きなことをしよう”と思ったは良いものの無一文。
これではまともな生活ができない。
――そうだ!えちえち自撮りでお金を稼ごう!
こうして彼の転生生活が幕を開けた。
玲子さんは自重しない~これもある種の異世界転生~
やみのよからす
ファンタジー
病院で病死したはずの月島玲子二十五歳大学研究職。目を覚ますと、そこに広がるは広大な森林原野、後ろに控えるは赤いドラゴン(ニヤニヤ)、そんな自分は十歳の体に(材料が足りませんでした?!)。
時は、自分が死んでからなんと三千万年。舞台は太陽系から離れて二百二十五光年の一惑星。新しく作られた超科学なミラクルボディーに生前の記憶を再生され、地球で言うところの中世後半くらいの王国で生きていくことになりました。
べつに、言ってはいけないこと、やってはいけないことは決まっていません。ドラゴンからは、好きに生きて良いよとお墨付き。実現するのは、はたは理想の社会かデストピアか?。
月島玲子、自重はしません!。…とは思いつつ、小市民な私では、そんな世界でも暮らしていく内に周囲にいろいろ絆されていくわけで。スーパー玲子の明日はどっちだ?
カクヨムにて一週間ほど先行投稿しています。
書き溜めは100話越えてます…
スライム10,000体討伐から始まるハーレム生活
昼寝部
ファンタジー
この世界は12歳になったら神からスキルを授かることができ、俺も12歳になった時にスキルを授かった。
しかし、俺のスキルは【@&¥#%】と正しく表記されず、役に立たないスキルということが判明した。
そんな中、両親を亡くした俺は妹に不自由のない生活を送ってもらうため、冒険者として活動を始める。
しかし、【@&¥#%】というスキルでは強いモンスターを討伐することができず、3年間冒険者をしてもスライムしか倒せなかった。
そんなある日、俺がスライムを10,000体討伐した瞬間、スキル【@&¥#%】がチートスキルへと変化して……。
これは、ある日突然、最強の冒険者となった主人公が、今まで『スライムしか倒せないゴミ』とバカにしてきた奴らに“ざまぁ”し、美少女たちと幸せな日々を過ごす物語。
勇者一行から追放された二刀流使い~仲間から捜索願いを出されるが、もう遅い!~新たな仲間と共に魔王を討伐ス
R666
ファンタジー
アマチュアニートの【二龍隆史】こと36歳のおっさんは、ある日を境に実の両親達の手によって包丁で腹部を何度も刺されて地獄のような痛みを味わい死亡。
そして彼の魂はそのまま天界へ向かう筈であったが女神を自称する危ない女に呼び止められると、ギフトと呼ばれる最強の特典を一つだけ選んで、異世界で勇者達が魔王を討伐できるように手助けをして欲しいと頼み込まれた。
最初こそ余り乗り気ではない隆史ではあったが第二の人生を始めるのも悪くないとして、ギフトを一つ選び女神に言われた通りに勇者一行の手助けをするべく異世界へと乗り込む。
そして異世界にて真面目に勇者達の手助けをしていたらチキン野郎の役立たずという烙印を押されてしまい隆史は勇者一行から追放されてしまう。
※これは勇者一行から追放された最凶の二刀流使いの隆史が新たな仲間を自ら探して、自分達が新たな勇者一行となり魔王を討伐するまでの物語である※
喰らう度強くなるボクと姉属性の女神様と異世界と。〜食べた者のスキルを奪うボクが異世界で自由気ままに冒険する!!〜
田所浩一郎
ファンタジー
中学でいじめられていた少年冥矢は女神のミスによりできた空間の歪みに巻き込まれ命を落としてしまう。
謝罪代わりに与えられたスキル、《喰らう者》は食べた存在のスキルを使い更にレベルアップすることのできるチートスキルだった!
異世界に転生させてもらうはずだったがなんと女神様もついてくる事態に!?
地球にはない自然や生き物に魔物。それにまだ見ぬ珍味達。
冥矢は心を踊らせ好奇心を満たす冒険へと出るのだった。これからずっと側に居ることを約束した女神様と共に……
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる