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農場奴隷編
第31話 ★外伝 その他の転生者 トモミール・ドモンド B
しおりを挟むトモミールの元に奴隷のタクヤンとマザヒコ、トモヤンが送られてきた。
タクヤンとマザヒコは褒美の労働奴隷──
トモヤンはこれから魔物使いとして、トモミールが育成することになった。
トモミールはトモヤンのスキルを使い、自分たちの意のままに動くモンスター軍団を作るように任されたのだ。
面倒な仕事を押し付けられたともいう。
この世界には『罪科ポイント』というシステムがある。
犯罪に該当する行為を行うと、ポイントが上昇する。
何がどの程度の犯罪かは、女神によって判定される。
残虐な行為ほど、数値が高くなる。
そのため地位の高い貴族は、汚れ仕事の指示を直接は出さない。
婉曲な言い回しで何重にも人を介し、配下の者にやらせる。
汚れ仕事はリスクは大きいが、そのぶん軍資金や必要物資は潤沢に用意される。
派閥内での貢献度も稼ぎやすい。
トモミールは、兄二人にも仕事を手伝って貰うことにした。
彼女の兄は二人とも、第三王子ケントケルの派閥に属している。
ケントケル王子はリヒルリーヒ王女と母親が同じなのもあって仲が良いので、同じ勢力に属していると言える。
頼めば力を貸して貰えた。
兄二人の助力を得たトモミールは、闇市でゴブリンを買うことを提案される。
トモヤンを魔物使いとして育てるに、まずはモンスターを手に入れる。
購入したゴブリンを、トモヤンの従魔にするのである。
トモミールはもっと強い魔物を従魔にした方がいいと主張したが、トモヤンのスキルは相手の身体に手を触れなければ使用できないタイプの能力だったため、ゴブリンで妥協せざるを得なかった。
闇市で売っているモンスターは、どれもゴブリンと同程度の強さしかいないし、城壁の外の、強力なモンスターを捕獲できるような戦力は無い。
ゴブリンを購入してトモヤンと従魔契約をさせようとした段階で、想定外のトラブルが発生する。
トモミールの労働奴隷二人とトモヤンの三人が、揃って屋敷から脱走したのだ。
彼らは労働奴隷としては、従順度が低かった。
それでも奴隷主から逃げるような馬鹿は中々いないのだが、前世の記憶を持った転生者の三人は、奴隷にされた理不尽に対する反発が強かった。
土地勘も逃亡資金もない三人は、すぐに捕まることになったのだが──
トモミールは、兄たちから怒られた。
「ダメじゃないか。ああいう反抗的な奴隷は、ちゃんと躾ておかないと」
トモミールは兄のアドバイスに従い、奴隷を罠にはめることにした。
貴重品を無造作に、部屋に置いておく。
奴隷三人は罠だとは知らずに、それを盗んで再び脱走した。
今度は見張りも付けておいたので、屋敷の外ですぐに捕まえることが出来た。
「これはもう、お仕置きが必要よね」
トモミールは奴隷三人に、きつい罰を与えることにした。
まずは全員の服をはぎ取る。
そのあと一人ずつ罰を与えると宣言し、全員に冷水をぶっかけて凍えさせる。
そして手始めにマザヒコの首を、兄に頼んで剣で斬り落として貰った。
次はタクヤンを動けない様に固定して、体中を金槌で打ち据える。
その凄惨な光景を見て恐れおののいたトモヤンは、トモミールに土下座して許しを乞うた。
トモミールはトモヤンの土下座を、暗く冷たい目で見下ろす。
「そんなことで、この私の留飲が下がると思っているのかしら?」
トモミールは、泣きながら土下座するトモヤンの頭を蹴り飛ばす。
土下座程度で怒りが収まる、トモミールではなかった。
しかし、コイツを利用して魔物を育てるという、大事な任務がある。
勢いあまって、殺してしまうわけにはいかない──
湧き上がる怒りを、理性でなんとか抑えた。
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