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農場奴隷編
第20話 傀儡の魔術師 A
しおりを挟む季節は夏の手前の雨期に入った。
西の森の探索は随分と進み、第一領域にいた植物型の強敵はあらかた倒してある。
今日からは天候次第で、第二領域の探索を開始しようと思う。
朝から降っていた雨は昼に上がっていて、その後の空は晴れたり曇ったりをくり返している。雨が降りそうで降らないくらいの雲だ。
「これなら行けそうかな──」
雨が激しい日には不測の事態を避けるために探索は休んでいるが、小雨程度なら問題なく戦闘できる。
俺は農場を出て西の森に入り、一キロ先の森の奥まで広域探知を行い、敵の数と位置を把握する。
探知範囲には戦闘能力100以下のモンスターしかいなかった。
しかし今日は余計な戦闘は避けて進みたい。
俺は隠密結界を張り、一キロ先の地点まで移動する。
「さて、ここからが未知の領域だ」
俺が西の森を探索しだしてから、二か月ほど経過している。
順調に強くなっている。
自信を持って行こう──
*************************
名前 ユージ
HP 95/97 MP 88/91 FP 102/102
幸運力
058~-011×2
スキル
空間移動 危険感知
所持品
魔石値 0027329
回復薬 6個
所有奴隷
アカネル モミジリ
借金 金貨74枚 銀貨4枚 銅貨50枚
才能
大魔導士の卵 戦神の欠片 強欲な器
職業
労働奴隷Lv15(従順-13) 農夫Lv11 薬草採取者Lv11
戦士Lv17 剣士Lv15 武闘家Lv13 弓使いLv10 槍使いLv08
魔法使いLv15 魔物使いLv14
探索者Lv17 斥候Lv15 隠密Lv17 暗殺者Lv16
遊び人Lv21 ギャンブラーLv16 ハーレムマスターLv13
薬師Lv16 錬金術師Lv18 鍛冶師Lv17
*************************
俺は森の西方向へ、五百メートルの範囲に探知用の魔力を飛ばす。
探知範囲にいた魔物は四匹で、戦闘能力は289、580、と269、372。
それぞれ二匹連れで一方は動かない。
恐らく植物タイプのモンスターだろう。
残りの二匹は、至近距離を移動している。
俺は移動している方を狙うことにする。
「植物型は仲間を呼ぶタイプもいるからな──」
鑑定も使い続けた結果か、魔法使いのレベルが上がったからかは分からないが、精度が向上している。
広域探知で、敵の戦闘能力だけでなく、名前も解るようになった。
鑑定で得た二匹のモンスターの名前は『ウッドマン』そして『傀儡の魔術師』。
傀儡の魔術師からは、強力な魔力を感じる。
ウッドマンはパワータイプ。
名前からしてウッドマンを、傀儡の魔術師が操っているのだろう。
俺は隠密結界を張って、慎重に敵へと近づていく。
森を歩き進めると、敵の姿を捉えることが出来た。
ウッドマンは身長三メートルくらいの、細長い木を人型にした魔物。
もう一匹は杖を持ちローブを纏った、身長七十センチほどの老人顔の魔物。
まずは魔術師を狙うべきだよな。
けど──
「できれば、魔法を使うところを見たいんだよな──」
油断している敵に、弓矢で奇襲が出来るのは最初だけだ。
一撃で殺さない様に魔術師の肩を狙うか──
ヤバくなればすぐに逃げる。
俺はこれからの戦闘方針を決めると、闘気を込めて弓で矢を放った。
ヒュォオオオオ!!
魔術師を狙った攻撃は、敵に当たる寸前でウッドマンに妨害される。
それでも闘気を込めた矢は、ウッドマンの腕を貫き傀儡の魔術師に刺さった。
「グッ? グガッ……ぅうオオッ、オノレ、ニンゲンメガ!!」
喋った。
なんだあいつ──
知能があるのか?
それとも口から、それっぽい音を発しているだけなのか?
まあどっちでもいいか、これから殺すことに変わりは無い。
「オモイ、シラセテクレル──」
傀儡の魔術師はそう言うと、自身の纏う半透明な魔力を赤色へと変化させる。
そして杖の先端に赤い魔力を集めると、こちらにかざし──
ごぉおおおぅぅう!!
燃え盛る球形の炎が俺に──
ドッ、ゴォオオオオオオオオ!!!
敵が杖を振りかざすと同時に、炎は俺に着弾していた。
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