上 下
24 / 148
農場奴隷編

第20話 傀儡の魔術師 A

しおりを挟む


 季節は夏の手前の雨期に入った。
 西の森の探索は随分と進み、第一領域にいた植物型の強敵はあらかた倒してある。

 今日からは天候次第で、第二領域の探索を開始しようと思う。




 朝から降っていた雨は昼に上がっていて、その後の空は晴れたり曇ったりをくり返している。雨が降りそうで降らないくらいの雲だ。

「これなら行けそうかな──」


 雨が激しい日には不測の事態を避けるために探索は休んでいるが、小雨程度なら問題なく戦闘できる。

 俺は農場を出て西の森に入り、一キロ先の森の奥まで広域探知を行い、敵の数と位置を把握する。

 探知範囲には戦闘能力100以下のモンスターしかいなかった。
 しかし今日は余計な戦闘は避けて進みたい。
 俺は隠密結界を張り、一キロ先の地点まで移動する。



「さて、ここからが未知の領域だ」

 俺が西の森を探索しだしてから、二か月ほど経過している。
 順調に強くなっている。
 自信を持って行こう──

*************************
名前  ユージ
HP 95/97  MP 88/91  FP 102/102

幸運力 
058~-011×2

スキル
空間移動 危険感知

所持品
魔石値   0027329
回復薬     6個

所有奴隷
アカネル モミジリ

借金 金貨74枚 銀貨4枚 銅貨50枚

才能
大魔導士の卵 戦神の欠片 強欲な器

職業  
労働奴隷Lv15(従順-13) 農夫Lv11 薬草採取者Lv11
戦士Lv17 剣士Lv15 武闘家Lv13 弓使いLv10 槍使いLv08
魔法使いLv15 魔物使いLv14
探索者Lv17 斥候Lv15 隠密Lv17 暗殺者Lv16
遊び人Lv21 ギャンブラーLv16 ハーレムマスターLv13
薬師Lv16 錬金術師Lv18 鍛冶師Lv17
*************************





 俺は森の西方向へ、五百メートルの範囲に探知用の魔力を飛ばす。

 探知範囲にいた魔物は四匹で、戦闘能力は289、580、と269、372。
 それぞれ二匹連れで一方は動かない。
 恐らく植物タイプのモンスターだろう。  
 
 残りの二匹は、至近距離を移動している。
 俺は移動している方を狙うことにする。

「植物型は仲間を呼ぶタイプもいるからな──」


 鑑定も使い続けた結果か、魔法使いのレベルが上がったからかは分からないが、精度が向上している。
 広域探知で、敵の戦闘能力だけでなく、名前も解るようになった。

 鑑定で得た二匹のモンスターの名前は『ウッドマン』そして『傀儡の魔術師』。
 傀儡の魔術師からは、強力な魔力を感じる。
 ウッドマンはパワータイプ。

 名前からしてウッドマンを、傀儡の魔術師が操っているのだろう。




 俺は隠密結界を張って、慎重に敵へと近づていく。

 森を歩き進めると、敵の姿を捉えることが出来た。
 ウッドマンは身長三メートルくらいの、細長い木を人型にした魔物。
 もう一匹は杖を持ちローブを纏った、身長七十センチほどの老人顔の魔物。

 まずは魔術師を狙うべきだよな。
 けど──

「できれば、魔法を使うところを見たいんだよな──」


 油断している敵に、弓矢で奇襲が出来るのは最初だけだ。
 一撃で殺さない様に魔術師の肩を狙うか──

 ヤバくなればすぐに逃げる。



 俺はこれからの戦闘方針を決めると、闘気を込めて弓で矢を放った。

 ヒュォオオオオ!! 

 魔術師を狙った攻撃は、敵に当たる寸前でウッドマンに妨害される。
 それでも闘気を込めた矢は、ウッドマンの腕を貫き傀儡の魔術師に刺さった。

「グッ? グガッ……ぅうオオッ、オノレ、ニンゲンメガ!!」

 喋った。
 なんだあいつ──

 知能があるのか?
 それとも口から、それっぽい音を発しているだけなのか?

 まあどっちでもいいか、これから殺すことに変わりは無い。

「オモイ、シラセテクレル──」

 傀儡の魔術師はそう言うと、自身の纏う半透明な魔力を赤色へと変化させる。
 そして杖の先端に赤い魔力を集めると、こちらにかざし──

 ごぉおおおぅぅう!! 

 燃え盛る球形の炎が俺に──
 ドッ、ゴォオオオオオオオオ!!!




 敵が杖を振りかざすと同時に、炎は俺に着弾していた。

しおりを挟む
感想 1

あなたにおすすめの小説

特殊部隊の俺が転生すると、目の前で絶世の美人母娘が犯されそうで助けたら、とんでもないヤンデレ貴族だった

なるとし
ファンタジー
 鷹取晴翔(たかとりはると)は陸上自衛隊のとある特殊部隊に所属している。だが、ある日、訓練の途中、不慮の事故に遭い、異世界に転生することとなる。  特殊部隊で使っていた武器や防具などを召喚できる特殊能力を謎の存在から授かり、目を開けたら、絶世の美女とも呼ばれる母娘が男たちによって犯されそうになっていた。  武装状態の鷹取晴翔は、持ち前の優秀な身体能力と武器を使い、その母娘と敷地にいる使用人たちを救う。  だけど、その母と娘二人は、    とおおおおんでもないヤンデレだった…… 第3回次世代ファンタジーカップに出すために一部を修正して投稿したものです。

【ラスト・パラダイス】 一人ぼっちのダンジョン攻略 少年は命がけのゲームを、孤独に戦いぬく

猫野 にくきゅう
ファンタジー
 僕には、友達がいない。  友達を作らないのではなく、作る能力が無い。   学校の教室でも、常に孤立している。  そんな僕がある日、クラスで一番の美少女から声をかけられる。 「田中ってさ、ゲーム得意そうだよね。  手伝って欲しいゲームが、あるんだけど……」    彼女から誘われた僕は────  命がけのゲームに、挑戦することになる。

男女比がおかしい世界の貴族に転生してしまった件

美鈴
ファンタジー
転生したのは男性が少ない世界!?貴族に生まれたのはいいけど、どういう風に生きていこう…? 最新章の第五章も夕方18時に更新予定です! ☆の話は苦手な人は飛ばしても問題無い様に物語を紡いでおります。 ※ホットランキング1位、ファンタジーランキング3位ありがとうございます! ※カクヨム様にも投稿しております。内容が大幅に異なり改稿しております。 ※各種ランキング1位を頂いた事がある作品です!

貞操逆転世界に無職20歳男で転生したので自由に生きます!

やまいし
ファンタジー
自分が書きたいことを詰めこみました。掲示板あり 目覚めると20歳無職だった主人公。 転生したのは男女の貞操観念が逆転&男女比が1:100の可笑しな世界だった。 ”好きなことをしよう”と思ったは良いものの無一文。 これではまともな生活ができない。 ――そうだ!えちえち自撮りでお金を稼ごう! こうして彼の転生生活が幕を開けた。

スライム10,000体討伐から始まるハーレム生活

昼寝部
ファンタジー
 この世界は12歳になったら神からスキルを授かることができ、俺も12歳になった時にスキルを授かった。  しかし、俺のスキルは【@&¥#%】と正しく表記されず、役に立たないスキルということが判明した。  そんな中、両親を亡くした俺は妹に不自由のない生活を送ってもらうため、冒険者として活動を始める。  しかし、【@&¥#%】というスキルでは強いモンスターを討伐することができず、3年間冒険者をしてもスライムしか倒せなかった。  そんなある日、俺がスライムを10,000体討伐した瞬間、スキル【@&¥#%】がチートスキルへと変化して……。  これは、ある日突然、最強の冒険者となった主人公が、今まで『スライムしか倒せないゴミ』とバカにしてきた奴らに“ざまぁ”し、美少女たちと幸せな日々を過ごす物語。

勇者一行から追放された二刀流使い~仲間から捜索願いを出されるが、もう遅い!~新たな仲間と共に魔王を討伐ス

R666
ファンタジー
アマチュアニートの【二龍隆史】こと36歳のおっさんは、ある日を境に実の両親達の手によって包丁で腹部を何度も刺されて地獄のような痛みを味わい死亡。 そして彼の魂はそのまま天界へ向かう筈であったが女神を自称する危ない女に呼び止められると、ギフトと呼ばれる最強の特典を一つだけ選んで、異世界で勇者達が魔王を討伐できるように手助けをして欲しいと頼み込まれた。 最初こそ余り乗り気ではない隆史ではあったが第二の人生を始めるのも悪くないとして、ギフトを一つ選び女神に言われた通りに勇者一行の手助けをするべく異世界へと乗り込む。 そして異世界にて真面目に勇者達の手助けをしていたらチキン野郎の役立たずという烙印を押されてしまい隆史は勇者一行から追放されてしまう。 ※これは勇者一行から追放された最凶の二刀流使いの隆史が新たな仲間を自ら探して、自分達が新たな勇者一行となり魔王を討伐するまでの物語である※

喰らう度強くなるボクと姉属性の女神様と異世界と。〜食べた者のスキルを奪うボクが異世界で自由気ままに冒険する!!〜

田所浩一郎
ファンタジー
中学でいじめられていた少年冥矢は女神のミスによりできた空間の歪みに巻き込まれ命を落としてしまう。 謝罪代わりに与えられたスキル、《喰らう者》は食べた存在のスキルを使い更にレベルアップすることのできるチートスキルだった! 異世界に転生させてもらうはずだったがなんと女神様もついてくる事態に!?  地球にはない自然や生き物に魔物。それにまだ見ぬ珍味達。 冥矢は心を踊らせ好奇心を満たす冒険へと出るのだった。これからずっと側に居ることを約束した女神様と共に……

性的に襲われそうだったので、男であることを隠していたのに、女性の本能か男であることがバレたんですが。

狼狼3
ファンタジー
男女比1:1000という男が極端に少ない魔物や魔法のある異世界に、彼は転生してしまう。 街中を歩くのは女性、女性、女性、女性。街中を歩く男は滅多に居ない。森へ冒険に行こうとしても、襲われるのは魔物ではなく女性。女性は男が居ないか、いつも目を光らせている。 彼はそんな世界な為、男であることを隠して女として生きる。(フラグ)

処理中です...