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農場奴隷編
第19話 森の魔物 A
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季節は春。
日中は暖かくなってきたとはいえ、夜はまだ冷える。
俺は農場の、西の森の入り口に来た。
これから、森の探索に入る。
俺は『はがねの剣』を、事前に装備して森を進む。
まずは広域探知を一キロほどの範囲に設定して、森の中へ放つ。
情報収集してから、隠密結界を張り移動を開始する。
森の中に、モンスター反応は二十三あった。
平原に比べるとかなり多い。
その中の十七の反応は、まったく動くことなくその場にとどまっている。
動きのない反応は、女神の結界のある農場周辺の割に強い。
戦闘能力が200前後と、総じて高い。
俺は一番近くの強力な反応を目指して、歩き出した。
「ん? う~ん木だよな、あれ──」
モンスターの魔力反応がある地点には、木が生えているだけだった。
木の後ろに、何かがいる気配もない。
ひょっとして定番の木の魔物、『トレント』かもしれない。
俺は装備しているはがねの剣を腰の鞘に納めて、弓に装備を変更する。
弓はモンスターからドロップした時は普通の弓だったが、モンスター素材との錬成をくり返していると、射程と破壊力が増加した複合弓になった。
俺は装備した弓に矢をつがえて──
「とりあえず、攻撃してみるか」
俺は複合弓で、前方の木に攻撃を加える。
ドッ、ドッ、ドッ、と矢を三回当てたところで──
木に人面が浮かび上る。
やはり木のモンスターだったか。
木に擬態していたのは、知らずに近づいた獲物を奇襲する為だろう。
この手の魔物に対して、探知は有用だ。
魔力反応で、擬態を見破ることが出来る。
攻撃を受けた木の魔物は、怒り狂い──
ぐぉっぉおぉおおお!!
と雄たけびを上げてこっちに向かって走ってきた。
「走れんのかよ!!」
至近距離まで接近してきたトレントは、枝を振り下ろして攻撃してくる。
上からの攻撃を、俺は素早く横に移動して避ける。
移動先に、今度は横から薙ぎ払いの追撃が迫る。
俺は弓を異空間に仕舞い、腰に差している剣を抜く。
唸りを上げて迫りくる枝を、はがねの剣で受け止め──
切り裂いた。
剣を振るう時は、余計な力を籠めず剣の重さで攻撃するようにしている。
敵が枝を振り回してきたので、その重さと移動エネルギーを利用した。
しかし、分厚い木の枝を簡単に切断できるとは──
流石は、はがねの剣だ。
トレントは残る五本の枝を、振り回し、叩き下ろし、突き出して攻撃してくる。
トレントの攻撃は予備動作が大きい。
手数は多いがこっちは一撃で枝を切断できる。
冷静に対処すれば切断するたびに、敵の体積はどんどん小さくなる。
振り回される枝に付随する小枝や葉を、全て捌くことは出来ない。
細かいダメージは喰らってしまうが、防御装備も充実しているので、致命傷以外は無視して戦う。
トレントは攻撃を繰り返すうちに、枝がどんどん短くなり丸裸状態になっている。
俺は止めを刺そうとトレント本体に近づく、危険感知が警鐘を鳴らしてくる。
俺はそれを無視して、敵に接近する。
トレントは浮かび上がっている顔の口部分から、樹液を飛ばしてくるが、それは革の盾で受け止める。
革の盾は籠手の上に装着でき、剣を振るうのに邪魔にならないサイズにしてある。
樹液攻撃で革の盾の耐久値は減少したが、俺はノーダメージだ。
トレントが接近する俺に斬を取られているうちに、後ろに回り込んだスラ太郎が体当たりで攻撃する。
スラ太郎の体当たりはトレントにとって想定外だった。
一瞬だが混乱状態に陥る。
俺はその隙にトレントの本体の幹に向かって、剣で攻撃を加えていく。
枝のように一撃では切断できないが、何度も攻撃を加えるとトレントの生命反応は消えた。
トレントの魔石を取り出して確認する。
*************************
トレントの魔石 (土属性)
所有者 ユージ
魔石値 000204
*************************
今日はまだ、魔力にも闘気にも余力がある。
俺はさらに探索を進めるために、西へと移動する。
魔力反応のあったポイントを、視力を強化して確認する。
そこにいたのは二メートルを超える、巨大な茎に巨大な赤い花。
その周りに無数のツタと、その先端に食虫植物のような頭が付いている。
本体の赤い花には大きな口があり、鋭い牙が並んでいる。
敵がツタを伸ばして、俺を捕獲しようとする。
そのつたを咄嗟に手で掴む。
ついでに魔力を込めて、詳しく敵を鑑定しておく。
魔物の名前はラフレシアン。
戦闘能力は257。
周りに迫ってきたツタを剣で切り裂き、しばらく敵の出方を伺が動きが無い。
トレントのように、走ってこないのか?
日中は暖かくなってきたとはいえ、夜はまだ冷える。
俺は農場の、西の森の入り口に来た。
これから、森の探索に入る。
俺は『はがねの剣』を、事前に装備して森を進む。
まずは広域探知を一キロほどの範囲に設定して、森の中へ放つ。
情報収集してから、隠密結界を張り移動を開始する。
森の中に、モンスター反応は二十三あった。
平原に比べるとかなり多い。
その中の十七の反応は、まったく動くことなくその場にとどまっている。
動きのない反応は、女神の結界のある農場周辺の割に強い。
戦闘能力が200前後と、総じて高い。
俺は一番近くの強力な反応を目指して、歩き出した。
「ん? う~ん木だよな、あれ──」
モンスターの魔力反応がある地点には、木が生えているだけだった。
木の後ろに、何かがいる気配もない。
ひょっとして定番の木の魔物、『トレント』かもしれない。
俺は装備しているはがねの剣を腰の鞘に納めて、弓に装備を変更する。
弓はモンスターからドロップした時は普通の弓だったが、モンスター素材との錬成をくり返していると、射程と破壊力が増加した複合弓になった。
俺は装備した弓に矢をつがえて──
「とりあえず、攻撃してみるか」
俺は複合弓で、前方の木に攻撃を加える。
ドッ、ドッ、ドッ、と矢を三回当てたところで──
木に人面が浮かび上る。
やはり木のモンスターだったか。
木に擬態していたのは、知らずに近づいた獲物を奇襲する為だろう。
この手の魔物に対して、探知は有用だ。
魔力反応で、擬態を見破ることが出来る。
攻撃を受けた木の魔物は、怒り狂い──
ぐぉっぉおぉおおお!!
と雄たけびを上げてこっちに向かって走ってきた。
「走れんのかよ!!」
至近距離まで接近してきたトレントは、枝を振り下ろして攻撃してくる。
上からの攻撃を、俺は素早く横に移動して避ける。
移動先に、今度は横から薙ぎ払いの追撃が迫る。
俺は弓を異空間に仕舞い、腰に差している剣を抜く。
唸りを上げて迫りくる枝を、はがねの剣で受け止め──
切り裂いた。
剣を振るう時は、余計な力を籠めず剣の重さで攻撃するようにしている。
敵が枝を振り回してきたので、その重さと移動エネルギーを利用した。
しかし、分厚い木の枝を簡単に切断できるとは──
流石は、はがねの剣だ。
トレントは残る五本の枝を、振り回し、叩き下ろし、突き出して攻撃してくる。
トレントの攻撃は予備動作が大きい。
手数は多いがこっちは一撃で枝を切断できる。
冷静に対処すれば切断するたびに、敵の体積はどんどん小さくなる。
振り回される枝に付随する小枝や葉を、全て捌くことは出来ない。
細かいダメージは喰らってしまうが、防御装備も充実しているので、致命傷以外は無視して戦う。
トレントは攻撃を繰り返すうちに、枝がどんどん短くなり丸裸状態になっている。
俺は止めを刺そうとトレント本体に近づく、危険感知が警鐘を鳴らしてくる。
俺はそれを無視して、敵に接近する。
トレントは浮かび上がっている顔の口部分から、樹液を飛ばしてくるが、それは革の盾で受け止める。
革の盾は籠手の上に装着でき、剣を振るうのに邪魔にならないサイズにしてある。
樹液攻撃で革の盾の耐久値は減少したが、俺はノーダメージだ。
トレントが接近する俺に斬を取られているうちに、後ろに回り込んだスラ太郎が体当たりで攻撃する。
スラ太郎の体当たりはトレントにとって想定外だった。
一瞬だが混乱状態に陥る。
俺はその隙にトレントの本体の幹に向かって、剣で攻撃を加えていく。
枝のように一撃では切断できないが、何度も攻撃を加えるとトレントの生命反応は消えた。
トレントの魔石を取り出して確認する。
*************************
トレントの魔石 (土属性)
所有者 ユージ
魔石値 000204
*************************
今日はまだ、魔力にも闘気にも余力がある。
俺はさらに探索を進めるために、西へと移動する。
魔力反応のあったポイントを、視力を強化して確認する。
そこにいたのは二メートルを超える、巨大な茎に巨大な赤い花。
その周りに無数のツタと、その先端に食虫植物のような頭が付いている。
本体の赤い花には大きな口があり、鋭い牙が並んでいる。
敵がツタを伸ばして、俺を捕獲しようとする。
そのつたを咄嗟に手で掴む。
ついでに魔力を込めて、詳しく敵を鑑定しておく。
魔物の名前はラフレシアン。
戦闘能力は257。
周りに迫ってきたツタを剣で切り裂き、しばらく敵の出方を伺が動きが無い。
トレントのように、走ってこないのか?
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