君への恋は永遠に

りとうゆあ

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5.最後の大会

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 ちょっぴり小悪魔ぎみの野川くんと話しながらバスが学校に到着した。前の席に座っている人から順にバスから降りて行く。

 私は明日提出の課題を教室におき忘れていることを思い出し、昇降口へ向かった。教室へ着き自分の机を漁っていると誰かがこちらへ歩いてくる音がする。
 誰かと思い顔を上げると、教室の入り口で上田くんが立っていた。
「上田くんも忘れ物?」
「あ、いや、加藤さん。お願いがあるんだけど」
 上田くんは急いで走って来た様子だった。私はキョトンと見つめる。

「今週末、俺らサッカー部の最後の大会があるんだけど、暇だったら橋本さんとかと来てくれないかな」
 上田くんが少し照らながら口を開く。
 なるほどなるほど。上田くんは彩に最後の大会を見に来て欲しいのかと納得した。
「私は大丈夫だけど、彩も誘っておくね!」
 上田くん私に任せろ、と言わんばかりに力強く答える。上田くんはとても嬉しそうな顔をする。恋する男の子は可愛いな、なんて思う。
 サッカー部といえばエースの野川くんもいるし、私にとってもこの誘いはメリットしかなかった。


 上田くんと別れ、自転車置き場で待っている彩の元へ行く。
「ごめん、お待たせ~」
「遅かったけど、何かあった?」
 彩はとても察しが良い。
「さっき上田くんと会ってね、今週末サッカー部の最後の大会があるって聞いて。野川くんとか永井くんもいるし応援しに行かない?」
 上田くんが彩に来て欲しそうだったことは言わないことにする。自分で気持ちを伝えなきゃ意味ないからね。
「お、いいね~。私大会とか行ってみたかったんだよね」
 彩も非常に乗り気ですぐに行くことに決定した。


 家に帰って、大会を見に行くことを上田くんに報告した方がいいのか悩んだ末、クラスLINEから上田くんを友達に追加をし、見に行くことを伝えた。

『はじめまして、加藤です。
彩も私も大会見に行くね!』

『まじで?!ありがとう!』

 携帯越しでも上田くんの喜びが伝わってくる返信だった。

******

 週末になり、大会の日がやって来た。彩と一緒に会場に入り椅子に腰掛け、すぐさま野川くんを探した。
「あ!いた!あそこ」
 私は野川くんたちを指差し彩に教える。ほんの数秒で野川くんを見つけることができた。好きな人ってどこにいても見つけられるような気がした。

 野川くんの近くにいた永井くんがこちらに気づいて手を振っている。私たちも手を振り返す。上田くんも気づいて、すごい笑顔で手を振っている。上田くん、彩に来てもらえて嬉しいんだろうな。
 残念ながら、野川くんはこちらに気づいたものの手は振ってはくれなかった。大したことじゃないはずなのに結構へこむ。

 試合の始まりの合図がなった。ユニフォーム姿の野川くんはいつもに増してかっこいい。必死に走る姿、汗を手で拭う仕草、どれも最高すぎる。誘ってくれた上田くんには感謝しかない。
 それから私と彩は、どんどん試合に夢中になって応援した。


 こうして野川くんたちの最後の大会は終了した。
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