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「君がカイラ君かー、ぱっと見は普通だね」

「そうですが貴方は?」

何か違和感を感じる。もしかしたら....。

「そんな警戒しなくても何もしないよ。ちょっと有名人に挨拶しに来ただけだから。俺は君の先輩だよ」

「へー、僕そんなに有名なんですね」

「ところでさ、いつも一緒にいる使い魔今日は一緒じゃないの?」

「さっきまでそこにいたんですけどね、貴方が来て何処かに行っちゃいました」

「ふーん、俺が悪いみたいな言い方だね」

「誰もそんなこと言ってないですよ?」

なんだこの空気、今から喧嘩でもするのか?

「なんてね、後輩相手に大人が....うわっ!なんだ!」

突然先輩が独り言を言い始めた。

「どうしました?」

「いやこっちの事情、痛たたた、噛むな!」

俺の予想は正しかった

「アース兄さんだよね?わざわざ使い魔を学生に化けさせて、後ろで声当てなくても」

「な、何のことかな?アース?今学校に居ないはずだけど」

騙せると思ってるのかな?

「コン、兄さんを連れてきて」

すると草むらから勢いよく兄が飛び出してきた。

「カイラ!止めて!この狐を止めて!俺を見るなり噛んできた!」

やっぱり兄だった。なぜこんなことを。

「コン、ありがとうもういいよ。じゃないと、兄さんの足に消えない傷ができちゃう」

「やぁ、カイラ久しぶり」

「お久しぶりです兄さん」

「相変わらずだねあの狐」

「すいません....」

コンもコンで兄の気配を感じたら襲うのはやめてほしい。

(あの男、私嫌いやねん)

だからって噛まないであげて、可哀想だから。

(主人様が言うんやったら出来るだけ噛まんようにするけど)

「それで?兄さんは何してるんです?」

「カイラを驚かそうと思って隠れてたんだがな、狐に直ぐバレてこの有様だよ」

「一体コンに何をしたらこんなに嫌われるんですか?」

「こっちが知りたいよ!会うたび噛みつきにきやがって!カイラ、躾が足りないんじゃないか?」

「コンはペットじゃないんですよ?」

「まぁ、アホそうだし躾したところで意味ないか」

兄よ多分コンに嫌われてる理由はそう言うとこだぞ....

(は?誰がアホやって?主人様、あいつ2度と立てへん体にしてええか)

コン、落ち着いて、怒らないで。悪気はないと思うから。

コンの騒ぎが一段落したところで、話を再開した。

「まさかカイラがこの学校に来るとはなー。どうやって試験合格したんだ?筆記だけじゃ合格できないだろ」

「模擬戦の先生?と模擬戦で勝てば合格って言われて勝っただけだよ?」

「え!?あの人に勝ったのか?この学校で結構強い人だったはずだけど。それに、どうやって勝ったんだよ、魔力なかったよな?」

「うん、勝ったよ。何故かできる召喚で先生を圧倒したんだ」

いくら兄とは言えど妖力の話はしていない。

「へー、不思議なこともあるもんだなぁ」

兄は戦闘が強くても、馬鹿で助かった。

「そんなことよりアース兄さん、リウム兄さんはいないの?」

「ん?あぁ、リウムか。リウムならまだ王都にいるぞ。俺は校長に用事があって帰ってきただけ」

「兄さんたちも大変なんだね」

「最初は大変だったけど、今じゃ慣れたもんだよ。なんたって俺とリウムの実力は校内1、2番だからな」

本当にうちの家系って優秀だったんだな。

「校長の用事って聞いてもいいやつ?」

「んーまぁどっちみち知ることになるからいいか。実は最近魔物の動きが王国が対処できないくらい活発になっていてな、教師と生徒の援軍要請をしてこいって言われたんだよ」

「もしかして全員ですか?」

「人数差は全員で引き分けってとこかな」

「かなりの量ですね」

「魔物は数だけだからそこまで強くはないと思うぞ。ただ、こんな事は前例がないから国王も慎重になってるんだと思うぞ」

「それにしてもやり過ぎな気がしますけど」

「国王にもそれなりの考えがあるんだろう。それより、今日ニアはいないのか?」

「ニアなら母様の手伝いをしに行ってくれてますよ」

「母様に何かあったのか?」

「実は....」

今の家の状況を兄に話した。

「全く、父様はまだそんなことを。カイラも大変だったな」

「それ、母様も言ってましたよ」

「もう少しいたいが俺はそろそろ王都に戻るよ」

「また直ぐに会うと思いますが、お気をつけて。あと、たまには家に帰ってきてくださいよ」

「この仕事が終わったら帰るつもりだよ。なんなら3人で帰るか?」

「それはいい考えですね。そうしましょう母様と父様もきっと喜びますよ!」

そうして兄は王都へ戻って行った。数日後兄の言った通りの内容が校長から伝えられた。


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