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動乱
王都潜入
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王都に近づくにつれ、まばらだった行き交う人の数も少しずつ増えてきた
その中で魔物の一団である私達は否応無く目立つ
通過するだけの小さな町でも、住人からの通報でその地を守る兵士や、時には冒険者までが私達に対峙してくる
私達は出来るだけ被害を最小限におさえたいと思っている
なので殺しではなく無力化する事に決めたんだ
魔物になった首謀者以外、誰一人として罪を被る必要はないのだから
そう、私達に対峙する兵士や冒険者も悪くない
ただ魔物の脅威に怯えているだけだ
だから、ここは私の出番である
「お願いだから、明日の夜まで眠っていてね」
そう、対峙してくる者達にスリープをかけまくっているのだ
ハイネ様の愛し子である私の強力なスリープは、どんなレベルの冒険者でも、抗う事はできなかった
そうそう、私はずっと自分がハイネ様の愛し子だなんて知らなかったんだけど、ルイが笑いながら
「ひろ、自分のステータスを一度見てみろ!普通にハイネ神の愛し子と書いてあるぞ」
なんて言うから、試しにステータスって言ってみたら、あったよあった!ありました!
私はハイネ神の愛し子でハイネ神の加護を持っているって載ってた
まあ、普通の人はいくらお願いしたって神様がいるところに行って話なんてできないよね
つい、うっかりしてました
実はルイも私と同じく、ハイネ神の愛し子でハイネ神の加護を持っているらしい
だから神獣なんて普通じゃ従魔にできない魔物も、簡単に従魔にできちゃったんだね
なのにずっと気づかなかったんだ
私とルイの普通と私達以外の人の普通の違いに
私とルイが規格外だって、そんな簡単な事に
だから、私はスリープで眠らせた人の事を遠巻きに見ている人達に、声をかける
「あの~~、周りで見ている人~!この人眠ってるから後をお願いね~!このままにしてたら、危ないよ~!」
私達は自分達が危険な一団だとは露ほども思っていないが、周りから見れば、巨体のウロボロスに乗った女に言われても、恐怖しかなかったかもしれない
ウロボロスに、グリフィン、フェンリルにコカトリス、それからグアンナの群れ、何も危害を加えられないとわかっていても、見ているだけで恐怖の対象になるなんて、私達には思いもよらなかった
フローレンスをたってから丸二日
王都の城壁が見えてきた
相変わらず、私はボスの肩の上で歌を歌っている
ボスの肩はいったいどこだろうといつも思うけど、本人が頭を持ち上げてクッと曲げたあたりに何時も乗せてくれるから、多分そこが肩かなぁと思っているだけで、そこは黙っていますよ、大人ですから
王都に近づくにつれて、何故か行き交う人の数が減ってきた
私達は原因が分からず頭を傾げる
「ねえ、ルイ!なんか人が少なくない?私達が担当した王都が一番人が多いんじゃなかったの?」
「俺も気になっていた。王都に入る城壁の門に居るはずの兵士もいない。一体中で何が起こっているんだ」
「ジャック!ちょっと王都の中に入って様子を見てきて欲しいな」
「わかった」
黒い霧と共にグリフィンの姿が消える
ジャックが戻って来る間にも私達は王都に向けて歩いている
本来ならこの辺りで兵士に囲まれているはずだった
それが全くいないのだ
ーー 王都はお休みだったりして ーー
私達はマジョールが戦線布告をしたのに合わせて戦争をしにきているはずが、この緊張感のなさ。マジョールからフローレンスへ一家で旅行に来ている、そんな感覚だった
直ぐにジャックが戻って来た
「王都には、人は殆どのこっていない。オレがマジョールに戻った数日のうちに、王都から脱出したようだ。王都の主要道路や王城内は、魔物で溢れている。それも、御貴族様が着るような豪華な服を着た魔物がな。数日前までは、まだ屋敷の中に居たんだが、それがみんな外に出て徘徊している」
「わぁ~!なにそれ!?」
「これは急がねば、母上が危ない!北の塔まで突っ切るぞ!」
私達は王都のメイン通りを突っ切り王城の門まで一気に駆け抜けた
途中、ジャックの報告にあったように元は貴族であったと思われる豪華な服を着たオークやゴブリンが何度も襲って来たが、私達のこの面子で立ち止まるはずもなく、それぞれがただの一撃で仕留めていった
王城の入り口に近づくと、城の壁に色々な魔物の彫刻が左右対称に施されているのがわかる
それはなかなか見事な出来栄えのものだった
すると、急にそれらの彫刻がぼうっと淡い光に包まれ、その彫刻から少しずつ立体化したそれが浮かび上がり、光が消えた時には、目の前に実体化した魔物達が現れた
そこにはミノタウルスが2体、キマイラが2体、氷龍が2体私達と対峙していた
ボスは私をグアンナの背に乗せると
「ひろ様を頼む」
と言い残し、2体のミノタウルスに向かっていった
「いざ、参らん!!」
メシアは2体のキマイラの相手をするようだ、そして
「ジャックは右を頼む、私は左へ行く」
ジャックは右の氷龍へ、バーストは左の氷龍に向かっていく
「これは………王城を守るために、フローレンス城の正面の壁には守護する魔物が封じ込まれている。日頃は作動しないように魔法で封じられているが、王城に危機が迫った時にその封印をとく事になっている。封印をとく鍵は王族と宰相のみが知る機密事項だ。これは恐らく俺の報復を恐れた宰相が死の森へゴーレムを放ったと同時に封印を解いたのだろう。すまん!ここは頼んだぞ!」
ルイが、従魔達に声をかける。多分もう聞こえてないだろうけど
私は走るグアンナの背に乗ってルイを追いかける
目の前に北の塔が見えてきた
その入り口を守るのは2体のアラクネ
そして、地響きと共に地震が起こって、地面の中から龍の尻尾のような物が見え隠れする
土龍だ
ここは魔物に守られた塔なんだと思った
「これじゃぁ普通逃げられないよね」
思わず口にしていた
自慢じゃないが、私は戦闘能力は皆無だ
だから私は戦力外である
と言うことは、これら全てをルイが一人で対峙しなきゃいけないってことだよね
とりあえず私はルイに最大限の補助魔法をかけていく
一応ルイも使えるんだけど、私がかけた方が効果が格段に良かったんだ。だからそれからは必要な時には私がルイに補助魔法をかけるようにしている
「身体強化、重力操作、全毒物無効、物理攻撃耐性、探索能力上昇、これくらいで大丈夫かな?」
「ひろ、すまないな、助かる。ここで結界張って大人しく見とけ」
「うん、ルイ、頑張って」
私は離れたところに、魔狼の子達とコカトリスとグアンナ達を連れて非難して結界を張った
一応、外からこの結界に触れたら離れなくなって雷が落ちて来るって言う罠をかけて置く
この間マジョール城で、この罠がいい仕事したからちょっとだけ自信が出ました
名付けてGホイホイ作戦
じわじわと頑張ります
********************
ウロボロスの肩はどこにあるんだろなって、馬鹿なこと考えたりしませんか?(//∇//)
その中で魔物の一団である私達は否応無く目立つ
通過するだけの小さな町でも、住人からの通報でその地を守る兵士や、時には冒険者までが私達に対峙してくる
私達は出来るだけ被害を最小限におさえたいと思っている
なので殺しではなく無力化する事に決めたんだ
魔物になった首謀者以外、誰一人として罪を被る必要はないのだから
そう、私達に対峙する兵士や冒険者も悪くない
ただ魔物の脅威に怯えているだけだ
だから、ここは私の出番である
「お願いだから、明日の夜まで眠っていてね」
そう、対峙してくる者達にスリープをかけまくっているのだ
ハイネ様の愛し子である私の強力なスリープは、どんなレベルの冒険者でも、抗う事はできなかった
そうそう、私はずっと自分がハイネ様の愛し子だなんて知らなかったんだけど、ルイが笑いながら
「ひろ、自分のステータスを一度見てみろ!普通にハイネ神の愛し子と書いてあるぞ」
なんて言うから、試しにステータスって言ってみたら、あったよあった!ありました!
私はハイネ神の愛し子でハイネ神の加護を持っているって載ってた
まあ、普通の人はいくらお願いしたって神様がいるところに行って話なんてできないよね
つい、うっかりしてました
実はルイも私と同じく、ハイネ神の愛し子でハイネ神の加護を持っているらしい
だから神獣なんて普通じゃ従魔にできない魔物も、簡単に従魔にできちゃったんだね
なのにずっと気づかなかったんだ
私とルイの普通と私達以外の人の普通の違いに
私とルイが規格外だって、そんな簡単な事に
だから、私はスリープで眠らせた人の事を遠巻きに見ている人達に、声をかける
「あの~~、周りで見ている人~!この人眠ってるから後をお願いね~!このままにしてたら、危ないよ~!」
私達は自分達が危険な一団だとは露ほども思っていないが、周りから見れば、巨体のウロボロスに乗った女に言われても、恐怖しかなかったかもしれない
ウロボロスに、グリフィン、フェンリルにコカトリス、それからグアンナの群れ、何も危害を加えられないとわかっていても、見ているだけで恐怖の対象になるなんて、私達には思いもよらなかった
フローレンスをたってから丸二日
王都の城壁が見えてきた
相変わらず、私はボスの肩の上で歌を歌っている
ボスの肩はいったいどこだろうといつも思うけど、本人が頭を持ち上げてクッと曲げたあたりに何時も乗せてくれるから、多分そこが肩かなぁと思っているだけで、そこは黙っていますよ、大人ですから
王都に近づくにつれて、何故か行き交う人の数が減ってきた
私達は原因が分からず頭を傾げる
「ねえ、ルイ!なんか人が少なくない?私達が担当した王都が一番人が多いんじゃなかったの?」
「俺も気になっていた。王都に入る城壁の門に居るはずの兵士もいない。一体中で何が起こっているんだ」
「ジャック!ちょっと王都の中に入って様子を見てきて欲しいな」
「わかった」
黒い霧と共にグリフィンの姿が消える
ジャックが戻って来る間にも私達は王都に向けて歩いている
本来ならこの辺りで兵士に囲まれているはずだった
それが全くいないのだ
ーー 王都はお休みだったりして ーー
私達はマジョールが戦線布告をしたのに合わせて戦争をしにきているはずが、この緊張感のなさ。マジョールからフローレンスへ一家で旅行に来ている、そんな感覚だった
直ぐにジャックが戻って来た
「王都には、人は殆どのこっていない。オレがマジョールに戻った数日のうちに、王都から脱出したようだ。王都の主要道路や王城内は、魔物で溢れている。それも、御貴族様が着るような豪華な服を着た魔物がな。数日前までは、まだ屋敷の中に居たんだが、それがみんな外に出て徘徊している」
「わぁ~!なにそれ!?」
「これは急がねば、母上が危ない!北の塔まで突っ切るぞ!」
私達は王都のメイン通りを突っ切り王城の門まで一気に駆け抜けた
途中、ジャックの報告にあったように元は貴族であったと思われる豪華な服を着たオークやゴブリンが何度も襲って来たが、私達のこの面子で立ち止まるはずもなく、それぞれがただの一撃で仕留めていった
王城の入り口に近づくと、城の壁に色々な魔物の彫刻が左右対称に施されているのがわかる
それはなかなか見事な出来栄えのものだった
すると、急にそれらの彫刻がぼうっと淡い光に包まれ、その彫刻から少しずつ立体化したそれが浮かび上がり、光が消えた時には、目の前に実体化した魔物達が現れた
そこにはミノタウルスが2体、キマイラが2体、氷龍が2体私達と対峙していた
ボスは私をグアンナの背に乗せると
「ひろ様を頼む」
と言い残し、2体のミノタウルスに向かっていった
「いざ、参らん!!」
メシアは2体のキマイラの相手をするようだ、そして
「ジャックは右を頼む、私は左へ行く」
ジャックは右の氷龍へ、バーストは左の氷龍に向かっていく
「これは………王城を守るために、フローレンス城の正面の壁には守護する魔物が封じ込まれている。日頃は作動しないように魔法で封じられているが、王城に危機が迫った時にその封印をとく事になっている。封印をとく鍵は王族と宰相のみが知る機密事項だ。これは恐らく俺の報復を恐れた宰相が死の森へゴーレムを放ったと同時に封印を解いたのだろう。すまん!ここは頼んだぞ!」
ルイが、従魔達に声をかける。多分もう聞こえてないだろうけど
私は走るグアンナの背に乗ってルイを追いかける
目の前に北の塔が見えてきた
その入り口を守るのは2体のアラクネ
そして、地響きと共に地震が起こって、地面の中から龍の尻尾のような物が見え隠れする
土龍だ
ここは魔物に守られた塔なんだと思った
「これじゃぁ普通逃げられないよね」
思わず口にしていた
自慢じゃないが、私は戦闘能力は皆無だ
だから私は戦力外である
と言うことは、これら全てをルイが一人で対峙しなきゃいけないってことだよね
とりあえず私はルイに最大限の補助魔法をかけていく
一応ルイも使えるんだけど、私がかけた方が効果が格段に良かったんだ。だからそれからは必要な時には私がルイに補助魔法をかけるようにしている
「身体強化、重力操作、全毒物無効、物理攻撃耐性、探索能力上昇、これくらいで大丈夫かな?」
「ひろ、すまないな、助かる。ここで結界張って大人しく見とけ」
「うん、ルイ、頑張って」
私は離れたところに、魔狼の子達とコカトリスとグアンナ達を連れて非難して結界を張った
一応、外からこの結界に触れたら離れなくなって雷が落ちて来るって言う罠をかけて置く
この間マジョール城で、この罠がいい仕事したからちょっとだけ自信が出ました
名付けてGホイホイ作戦
じわじわと頑張ります
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