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捕獲されまして。<大谷視点>
45.誘います。
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その時車がちょうど私のアパートの前に辿り着いた所だった。
私は少し緊張しつつ、口を開く。
「あの……うータンに会って行きますか?」
「そうしたい所は山々だが、車もあるしな」
「ええと、近くにパーキングがあるので、もし良かったらそちらに停めて置けば」
「……じゃあ、お邪魔させて貰うかな」
うーん、チョロい。
私の中に芽生えた邪な思いなど……全く気が付いていないのだろう。亀田課長は半ばウキウキと私の指示に従って車を移動させた。
「そう言えばレンタカーって、いつ返すんですか」
「一日契約だから明日の昼までに返す事になってる」
「へー……」
何と都合の良い。
「ん?何か言ったか?」
「いいええ!何も……!」
両手に荷物を抱えて、私達はうータンの待つ部屋に返って来た。
エアコンをエコモードで点けっぱなしにしつつ、空気清浄機も回しているのでそれ程ではないが、溜めてしまったトイレの匂いが若干強い。ペットボトルのお茶を課長に手渡し、手早く部屋の囲いを設置してうータンを放った。亀田課長にうータンの相手をして貰いつつ、私は腕まくりをしてトイレ掃除に取り掛かる。
粗方掃除を終えて、それからおじいちゃんに貰った野菜を野菜用のカゴや冷蔵庫にしまう。チラリと視線を向けると大きな体で小さなうータンを愛でてデレデレしている課長が目に入る。私はゴクリと唾を飲み込んだ。
人生で初めて……私は自分から男性を誘おうと思っている。
そう、今度こそ課長が初めて私の部屋を訪れた時の勘違いを、本当にしようと決意したのだ。
今日、私は自分の気持ちに気が付いてしまった。
私は亀田課長の事が……好きなのだ。と言うか、いつの間にやら好きになってしまった。おばあさまの話を懐かしそうにする亀田課長を見ていて、胸がキューンと締め付けられてしまい、漸く自分の本当の気持ちに気が付かされたのだった。
子供の頃に両親を失って、肩を寄せ合って暮らしていたおばあさまと行き別れて―――まあ、その後色々女性付き合いはあったのだろうけど……次々と愛想を尽かされ彼女達は去って行き、やっと出会った運命の相手、ミミもお月様へ帰ってしまった。そんな亀田課長が楽しそうに笑っているのを見て……私がこれからも一緒に居てあげたいって思ってしまったのだ。
そう、亀田課長は私と付き合えば良いのだ。
そうすればうータンも自動的に亀田課長の物だ。三好さんにも後ろ昏い思いを抱かなくても良い。だからそれが課長にとっても一番良い事なんだ!そんな考えが頭に閃いたのだ。
これまで付き合って来て思ったのは、経験豊富な割に亀田課長は妙に天然と言うか……恋愛に対してひどく鈍いと思う。亀田課長を好きだと自覚してしまった今では、恋する女の感でもう三好さんの想いに恋愛感情が混じっている事に疑いは無くなってしまった。三好さんに自覚があるかどうか分からないけれど……多分、そうだと思う。でも亀田課長はそう言う方面にポンコツ(失礼!)だから全くピンと来ていないらしい。
付き合って来た女性が離れて行ったのも、その所為かもしれない。だって仕事もバリバリ熟すし、見た目もカッコイイ。だからきっと一見、物凄く女性の気持ちに配慮がありそうに見えるのだ。だけど実際は結構うとい。彼女達は課長が態と意地悪をしているのかもって誤解をしたかもしれない。
でもその勘の鈍さは……もしかすると亀田課長の育ちに関係するのかもしれない。おばあさまと二人暮らしで、お母さまも子供の頃に他界したと言う事は……若い女性と接する機会が少なかったのかも。だから付き合った女性陣は、思っていたのと違う……!とガッカリしてしまったのかもしれない。
でも私はそんな所も何だか好ましく思えてしまうのだ。
だから、決めた。
私が亀田課長を幸せにする!その為に―――私は人生で初めて、自分から男性に誘いを掛けようと決意したのだ……!
私は少し緊張しつつ、口を開く。
「あの……うータンに会って行きますか?」
「そうしたい所は山々だが、車もあるしな」
「ええと、近くにパーキングがあるので、もし良かったらそちらに停めて置けば」
「……じゃあ、お邪魔させて貰うかな」
うーん、チョロい。
私の中に芽生えた邪な思いなど……全く気が付いていないのだろう。亀田課長は半ばウキウキと私の指示に従って車を移動させた。
「そう言えばレンタカーって、いつ返すんですか」
「一日契約だから明日の昼までに返す事になってる」
「へー……」
何と都合の良い。
「ん?何か言ったか?」
「いいええ!何も……!」
両手に荷物を抱えて、私達はうータンの待つ部屋に返って来た。
エアコンをエコモードで点けっぱなしにしつつ、空気清浄機も回しているのでそれ程ではないが、溜めてしまったトイレの匂いが若干強い。ペットボトルのお茶を課長に手渡し、手早く部屋の囲いを設置してうータンを放った。亀田課長にうータンの相手をして貰いつつ、私は腕まくりをしてトイレ掃除に取り掛かる。
粗方掃除を終えて、それからおじいちゃんに貰った野菜を野菜用のカゴや冷蔵庫にしまう。チラリと視線を向けると大きな体で小さなうータンを愛でてデレデレしている課長が目に入る。私はゴクリと唾を飲み込んだ。
人生で初めて……私は自分から男性を誘おうと思っている。
そう、今度こそ課長が初めて私の部屋を訪れた時の勘違いを、本当にしようと決意したのだ。
今日、私は自分の気持ちに気が付いてしまった。
私は亀田課長の事が……好きなのだ。と言うか、いつの間にやら好きになってしまった。おばあさまの話を懐かしそうにする亀田課長を見ていて、胸がキューンと締め付けられてしまい、漸く自分の本当の気持ちに気が付かされたのだった。
子供の頃に両親を失って、肩を寄せ合って暮らしていたおばあさまと行き別れて―――まあ、その後色々女性付き合いはあったのだろうけど……次々と愛想を尽かされ彼女達は去って行き、やっと出会った運命の相手、ミミもお月様へ帰ってしまった。そんな亀田課長が楽しそうに笑っているのを見て……私がこれからも一緒に居てあげたいって思ってしまったのだ。
そう、亀田課長は私と付き合えば良いのだ。
そうすればうータンも自動的に亀田課長の物だ。三好さんにも後ろ昏い思いを抱かなくても良い。だからそれが課長にとっても一番良い事なんだ!そんな考えが頭に閃いたのだ。
これまで付き合って来て思ったのは、経験豊富な割に亀田課長は妙に天然と言うか……恋愛に対してひどく鈍いと思う。亀田課長を好きだと自覚してしまった今では、恋する女の感でもう三好さんの想いに恋愛感情が混じっている事に疑いは無くなってしまった。三好さんに自覚があるかどうか分からないけれど……多分、そうだと思う。でも亀田課長はそう言う方面にポンコツ(失礼!)だから全くピンと来ていないらしい。
付き合って来た女性が離れて行ったのも、その所為かもしれない。だって仕事もバリバリ熟すし、見た目もカッコイイ。だからきっと一見、物凄く女性の気持ちに配慮がありそうに見えるのだ。だけど実際は結構うとい。彼女達は課長が態と意地悪をしているのかもって誤解をしたかもしれない。
でもその勘の鈍さは……もしかすると亀田課長の育ちに関係するのかもしれない。おばあさまと二人暮らしで、お母さまも子供の頃に他界したと言う事は……若い女性と接する機会が少なかったのかも。だから付き合った女性陣は、思っていたのと違う……!とガッカリしてしまったのかもしれない。
でも私はそんな所も何だか好ましく思えてしまうのだ。
だから、決めた。
私が亀田課長を幸せにする!その為に―――私は人生で初めて、自分から男性に誘いを掛けようと決意したのだ……!
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(なろうさんとカクヨムさんなど他のサイトでも掲載しています場合があります。単独の短編としてアップされています)
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