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捕獲されまして。<大谷視点>
33.ギクシャクしてます。
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翌日の職場です。はい、明らかにギクシャクしています……。
三好さんのテンションが低過ぎる。ちゃんとやる事はやっているんだろうけど―――亀田課長に対峙する時にそこはかとなく存在していたウキウキ感が掻き消えている。実際は『ちょっと三好さん調子よくないのかな?』と思える程度かもしれないけれども。昨日あんな事があったからこそ、私はうがった見方をしてしまうのだろう。
亀田課長は相変わらず『コワモテ冷徹銀縁眼鏡』そのもので、遠目に見た感じあまり変化は見られない。だけどなぁ……これまで信頼関係を築いて来た部下に軽蔑されて……あ、そこまで言って無いか『幻滅』だっけ。あれ?もっと悪い?―――コホン。つまり何が言いたいのかっていうと―――あんな風に職場では一見ノーダメージに見える亀田も、かなり内心辛いんじゃないかって事。
じゃなかったら、ウサギに癒されたいなんてそもそも考えないだろうし。それに結構『気にしい』かもしれないなぁ、三好さんと目黒さんが着けた渾名を随分気にしているみたいだった。私が察するに、二人は親しみを込めて付けたんだろうけど。
私が悪いんじゃない……断じて私の所為なんかじゃないぞ……。
亀田を目にする度、そう心の中で唱える私の中には、確実に罪悪感が育っている。ちょっとだけ同情心も……混じっているかもしれない。
三好さんが立ち去った後『女扱いホンッとーに、へったくそですね!!』と罵倒する私に肩を落として『スマン』と応えた亀田の、力の無い様子を思い出す。
私の対応だってきっとマズかった。なのに亀田は全面的に三好さんの前で私を庇ってくれたんだ。それを私ったら自分の事は棚上げで、亀田ばっかり心の中で責めて……あんまりそう言うの、よくないよね。つーか、何様って感じ。
確かに亀田課長からグイグイ押して来て、私とうータンの生活に自分を捻じ込んできた。三好さんに対する対応もどうかと思う。亀田課長が悪いと言えば悪い。
でも最初はどうあれ……私だって楽しんでいたんだ。亀田課長の訪問を。
カツサンドもオムライスもチョコレートも美味しかった。何より彼がうータンにメロメロの所を目にして呆れつつも嬉しかった。『そうでしょう?うちのうータン最高だよね!わかる人にはやっぱわかるか~』なんて心の中で頷いていた。すっかり彼を『ウサトモ』だって認識してもいたのに。亀田課長が私の四畳しかない小さなお城にその大きな体を押し込め楽しそうにしているの、全然嫌じゃ無かった。一緒にいる時間を……楽しんでいたのに。
罪滅ぼし……じゃないけれど。
何か出来ないかなぁ。
亀田課長を元気づけてやりたい。
私は初めて、そんな感情を抱いたのだった。
三好さんのテンションが低過ぎる。ちゃんとやる事はやっているんだろうけど―――亀田課長に対峙する時にそこはかとなく存在していたウキウキ感が掻き消えている。実際は『ちょっと三好さん調子よくないのかな?』と思える程度かもしれないけれども。昨日あんな事があったからこそ、私はうがった見方をしてしまうのだろう。
亀田課長は相変わらず『コワモテ冷徹銀縁眼鏡』そのもので、遠目に見た感じあまり変化は見られない。だけどなぁ……これまで信頼関係を築いて来た部下に軽蔑されて……あ、そこまで言って無いか『幻滅』だっけ。あれ?もっと悪い?―――コホン。つまり何が言いたいのかっていうと―――あんな風に職場では一見ノーダメージに見える亀田も、かなり内心辛いんじゃないかって事。
じゃなかったら、ウサギに癒されたいなんてそもそも考えないだろうし。それに結構『気にしい』かもしれないなぁ、三好さんと目黒さんが着けた渾名を随分気にしているみたいだった。私が察するに、二人は親しみを込めて付けたんだろうけど。
私が悪いんじゃない……断じて私の所為なんかじゃないぞ……。
亀田を目にする度、そう心の中で唱える私の中には、確実に罪悪感が育っている。ちょっとだけ同情心も……混じっているかもしれない。
三好さんが立ち去った後『女扱いホンッとーに、へったくそですね!!』と罵倒する私に肩を落として『スマン』と応えた亀田の、力の無い様子を思い出す。
私の対応だってきっとマズかった。なのに亀田は全面的に三好さんの前で私を庇ってくれたんだ。それを私ったら自分の事は棚上げで、亀田ばっかり心の中で責めて……あんまりそう言うの、よくないよね。つーか、何様って感じ。
確かに亀田課長からグイグイ押して来て、私とうータンの生活に自分を捻じ込んできた。三好さんに対する対応もどうかと思う。亀田課長が悪いと言えば悪い。
でも最初はどうあれ……私だって楽しんでいたんだ。亀田課長の訪問を。
カツサンドもオムライスもチョコレートも美味しかった。何より彼がうータンにメロメロの所を目にして呆れつつも嬉しかった。『そうでしょう?うちのうータン最高だよね!わかる人にはやっぱわかるか~』なんて心の中で頷いていた。すっかり彼を『ウサトモ』だって認識してもいたのに。亀田課長が私の四畳しかない小さなお城にその大きな体を押し込め楽しそうにしているの、全然嫌じゃ無かった。一緒にいる時間を……楽しんでいたのに。
罪滅ぼし……じゃないけれど。
何か出来ないかなぁ。
亀田課長を元気づけてやりたい。
私は初めて、そんな感情を抱いたのだった。
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