捕獲されました。

ねがえり太郎

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新妻・卯月の仙台暮らし

41.反省しています。

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卯月視点に戻ります。


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 酔っぱらってたけしさんに八つ当たりした翌朝、見送る私に彼はハッキリと自分の無実を訴えてくれた。
 後から聞いた所では、会社でトラブルがあってその件で職場の女性に社外で話を聞かなきゃならない状況だったそうだ。その女性はその時かなりストレスを感じていて、貧血でよろけて咄嗟に丈さんに掴まってしまったのだと言う。社外秘で詳しくは説明できない、と謝られて思う。何となく隠し事をされているって感じたのは、ある意味合っていたんだなぁって。

 やっぱりね! そうだと思ってった……!
 予想通りでしたね、うん!
 あの丈さんが浮気なんてね、ある訳ないよね!

 散々彼を『浮気だ』のなんだのと罵っておいて、どの口が言う……って、もし私の独り言を聞いている人がいたら突っ込まれるだろうな。でも、それは仕方がないよね。だって私、丈さんが大好きなんだもん。丈さんや相手の女性がどう思おうと、他の女性と親し気にしてたら面白くない!

……と言う気持ちを、ぶちまけたお陰で、こんなにスッキリしてしまったのです。うん。

 無実なのに、酔っ払いな私に理不尽にも絡まれてしまった丈さんには、本当に申し訳ないと今更ながらに思う。なのに、怒ったりしないんだものなぁ。そう言えば、丈さんって仕事に関してはあんなに厳しい人なのに、自分に対してちょっと失礼なことを言われたくらいじゃ、腹を立てたりしないんだよね。つまりそれだけ、仕事に真面目だってことなんだろうな。
……なのに、私はそんな彼を疑って……って。反省はもう終わり! うじうじしていても、仕方がない。

 そんなこんなで、丈さんは暫くそのトラブルの処理に関わるので、色々と忙しいらしい。
 でもこの忙しさが一段落したら、ずっとお預け状態になっていた新婚旅行に行こうと言ってくれた。有休がたっぷり溜まっているんだって。確かに仙台支店に異動が決まる頃から、丈さんの忙しさったら無かったもんね。

 そんな風に夫婦間のモヤモヤもすっきりして気持ちが落ち着いた頃、俄かに心配になった。

 私……伊都さんと仁さんに……物凄く、迷惑掛けちゃったよね。

 何故か土下座までしていた伊都さん。当の本人は、電話で話した時も全然怒っていなかったみたいだけど……仁さんは、さすがに怒っている気がする。
 だって、仕事があるのにギリギリまでウチに伊都さんを引き留めてしまったし……そもそも、伊都さんにウチに泊まる予定は無かった。だからあまりに帰りの遅い彼女を心配して、仁さんが電話を掛けて来たのだ。なのに、酔っぱらった私達はふざけた返答をして、無視してしまった……!

 つまり―――とっても、気まずいです。

 あの居酒屋の顛末だって、そうだ。
 予約も支払いも仁さん任せ。なのに、私は丈さんと会社の女性の関係を誤解して動転し―――送って貰ったのに、お礼も心ここにあらずで適当に済ませ。更には伊都さんを引き留めて、結果仁さんの仕事を邪魔してしまった。

 これからうータンの食事から何から、『うさぎひろば』でお世話にならなければならない。それにそう! 新婚旅行! 旅行に行くなら『うさぎひろば』に預かって貰うのが一番良い。伊都さんも、その時の為に本格的にうさぎホテルを企画しようって言ってくれていたし。つまり……店長である仁さんと気まずいまま、って言うのは……大変心苦しい。



 私は意を決して、『うさぎひろば』に謝罪に出向くことにした。
 以前うさんぽの時に訪れた創業百四十年の老舗餅屋さんで、づんだ餅、くるみ餅のテイクアウトを手に入れる。それからちょっと迷って、焼き団子も追加した。
 美味しいもので許して貰おうって言う魂胆が見え見えだけど……これくらいしか、手段が思いつかないので、仕方がない。
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