253 / 363
後日談 黛家の妊婦さん1
(146)出勤風景
しおりを挟む
妊娠7カ月後期くらいの小話です。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
「よっこらしょっと」
後部座席から降りる時、思わず声が出てしまった。そんな自分に気が付いて七海はつい独り頬を染める。が、直ぐに気を取り直し、鞄を肩に抱え直して言い聞かせるようにこう呟いた。
「じゃあ、行きますか?」
と、すっかりせり出たお腹を一撫でして話し掛ける。それから一歩踏み出した所でその背中をポンと叩かれた。
「おっはよ!」
「う、わぁぁ!」
比較的人目に付かない路地で降ろして貰ったので、まさか声を掛けられるとは思わなかったのだ。七海は思わず肩を竦めて素っ頓狂な声を上げてしまう。
「わ、ゴメン!驚かしちゃった!」
振り向くと川奈が目を丸くして、片手を上げた形で固まったまま七海を見ていた。
「ううん、こっちこそゴメン。おはよう」
照れ隠しにはにかみながら、七海は首を振った。それから二人で並んで歩き始める。
川奈はお腹の大きい七海に歩幅を合わせながら、その顔を覗き込んだ。
「どうしてこんな場所でタクシーを降りたの?会社のエントランスに近い所で降ろして貰えば良かったのに」
「あ、うん。その……」
七海はキョロキョロと視線を彷徨わせたが、躊躇いつつ説明し始めた。
「ハイヤーで通勤しているのを見られるのが、ちょっと恥ずかしくて……」
「え?何で?体調悪い時は仕方がないでしょ、妊婦さんなんだし」
七海は確か三十分ほど掛けて電車通勤していたハズだ、と川奈は記憶を掘り返した。だから身重の体で思うように体調が整わない場合、ちょっと費用は嵩むだろうが自腹でタクシーやハイヤーを利用する事はそれほど悪い事ではないだろう、と。それを恥ずかしがる必要も、ましてや隠す必要もないのではないか……と彼女は素朴に考えたのだ。
「あの、違うの」
七海は頬を染めて俯きがちに視線を落とした。
「その……毎日なの」
「え?」
「ちょっと通勤でトラブルがあってね。それを彼に相談したら……その、休み明けからハイヤーが手配されていて」
「それは……かなりな金額になるのでは」
「うん、しかも月単位で貸し切りなの」
しかも平日の会社の送り迎えだけでなく、土日の移動もそのハイヤーを使うように、黛から厳命されてしまったのだ。さすがにそれは言い辛くて濁してしまう。
「ええ!その代金はもしかして……」
「うん、それももう彼が払っていて……使わないなら有休使って早めに産休取るようにって言われて」
迷った末、七海は頷いたのだった。もう契約してしまった、支払いも済んだと言われては断る方が勿体無い。それにあと二ヵ月もすれば産休に入る予定だ、期間限定だと割り切ればまだ諦めも付いた。
「私もトラブルの時動揺しちゃったのもあって、強く跳ねのけられなくて……愚痴を聞いて貰ってそれで気は済んだから、もう自分の気持ちとしては解決したんだけど……」
電車通勤で近くに立っていた学生が離れ際、悪意のこもった言葉を投げ掛けて来たのだ。有名な進学校の制服だったと思う。たぶん妊婦が目の前にいる事に腹を立てたというより、受験が近づいて来て苛々が溜まっていて、その捌け口としてたまたま目の前にいた弱者(と彼には映ったのだろう)である七海が選ばれたのだ。
妊娠も七ヶ月に入ると体の変化一気に加速した気がする。その分脳が変化に対応しきれていないのか、ちょっとした事に不自由を感じるようになった。そんなとき見も知らない他人の優しさに触れる場面の方が多い。が、このように見も知らない他人から思いがけない悪意を受ける事もある。―――それを身をもって体験した七海はかなりズーンと落ち込んでしまったのだ。それに純粋に怖かった。勿論冷静に考えれば直接その学生が七海に手を出すなんてことにはならないのだと頭では分かっていても、普通の体なら避けられる災難を今の体では避け切れないかもしれない、と言う想像が彼女の恐怖心を煽ってしまったのだ。
しかしそれはちょっと愚痴を聞いて貰えば、解消する心の問題だった。実際黛にギュッと抱き着いて背中を優しく撫でて貰った翌朝はすっかり憑き物が落ちたように昏い感情もクリアになってしまったというのに。
「あーそれは……うーん……確かに会社の前で降りづらいのも分かる。毎日ハイヤーで乗り付けたら目につくだろうしねぇ」
川奈は同情を込めた視線で頷いた。
一度顔を合わせただけだが、あの、七海しか目に入って無さそうな彼女の夫がそのような反応を返してもおかしくないのだと、妙に納得してしまう。
「後悔先に立たずだよ……」
肩を落とす七海を川奈は笑って慰めた。
「でも良い旦那様じゃない?妻の危機に即行動を起こすなんて、なかなか出来る事じゃないわよ」
「うん、その点はもう、感謝しかないんだけど……」
安易に泣きついてしまったことを、七海は大いに反省した。いや、聞いて貰って気持ちは楽になったし、黛が自分の身を案じて手配してくれた事には本当に感謝しているのだが。
「……この貸し切り代が、たぶん私の給料とあまり変わらないのかと思うと―――なんだかなんのために働いているのか分からなくなって来ちゃって」
「げっ……そうか、そうだよね。それぐらいにはなるかもね……」
罪悪感に似たものを感じて切なげに溜息を吐く七海を見て、川奈は思った。
この夫婦は何だかとってもアンバランスだなぁ、と。
七海から聞く控えめな話や久石から聞く驚きのエピソード、一度目にした二人の距離感でお互い好き合っているのも仲が良いのも、伝わって来る。だから夫婦としてはとても似合いの二人だと思う。
その一方で七海は見た目やスペックの格差を気にしているようだが―――どうやらその格差はそう言う所にあるわけじゃ無くて、二人の想いの大きさなのではないか、と言う気がした。そしてその天秤は大きく片一方に傾いている、たぶん。
果たして彼女はそれに気付いているのかな?……と悪戯心が湧いて来て、川奈は揶揄うようにこう言ってみる。
「江島さん、愛されてるねぇ……!」
「うっ……」
すると言われた七海は呻き声を上げて顔を両掌で覆ってしまった。指の間から見える頬と耳が真っ赤に染まるのを見て、川奈は納得した。
川奈の心配は杞憂だったようだ。どうやら彼女の夫の愛情は―――もう十分に彼女に伝わっているらしい。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
<おまけ・その後の通勤風景>
「やっぱ、内緒にしておいた方が良いかも」
と、川奈がポツリと呟いた。そう呟く彼女の視線の先を辿ると……
「え?……あ!」
大きな通りに出た処で人混みの中二人の先を歩く小柄な影を見つけた。それは同じ課の先輩である、幼な顔の岬だった。
狙っていた立川に全く相手にされなかった岬は、結局彼の同僚、営業課の田神と付き合う事になったのだが―――どうやら最近、その付き合いがあまり上手く行っていないらしい。
岬は一刻も早く寿退社したいようだが田神があまり乗り気じゃないようだ。だから七海にとっては躊躇してしまうような夫の厚意も……そんな岬から見たら贅沢な悩みと受け取られかねない。
かつて更衣室で絡まれた出来事が、七海の頭をよぎった。
イライラを抱えた受験生より、イライラを抱えた岬の方がもっとずっと身近で怖い……気がする。うん。
「暫くは……出来れば産休入るまで、やっぱりさっきの所で降りようかな?」
「うん、そうだね。……その方が良いね。私もなるべく他言しないよ」
「波風は避けられるものは避けたいよね」
「うん、避けたい。避けるべき!」
そうして川奈と二人、目を見交わしてしっかりと頷き合ったのだった。
(おまけ・完)
お読みいただき、有難うございました!
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
「よっこらしょっと」
後部座席から降りる時、思わず声が出てしまった。そんな自分に気が付いて七海はつい独り頬を染める。が、直ぐに気を取り直し、鞄を肩に抱え直して言い聞かせるようにこう呟いた。
「じゃあ、行きますか?」
と、すっかりせり出たお腹を一撫でして話し掛ける。それから一歩踏み出した所でその背中をポンと叩かれた。
「おっはよ!」
「う、わぁぁ!」
比較的人目に付かない路地で降ろして貰ったので、まさか声を掛けられるとは思わなかったのだ。七海は思わず肩を竦めて素っ頓狂な声を上げてしまう。
「わ、ゴメン!驚かしちゃった!」
振り向くと川奈が目を丸くして、片手を上げた形で固まったまま七海を見ていた。
「ううん、こっちこそゴメン。おはよう」
照れ隠しにはにかみながら、七海は首を振った。それから二人で並んで歩き始める。
川奈はお腹の大きい七海に歩幅を合わせながら、その顔を覗き込んだ。
「どうしてこんな場所でタクシーを降りたの?会社のエントランスに近い所で降ろして貰えば良かったのに」
「あ、うん。その……」
七海はキョロキョロと視線を彷徨わせたが、躊躇いつつ説明し始めた。
「ハイヤーで通勤しているのを見られるのが、ちょっと恥ずかしくて……」
「え?何で?体調悪い時は仕方がないでしょ、妊婦さんなんだし」
七海は確か三十分ほど掛けて電車通勤していたハズだ、と川奈は記憶を掘り返した。だから身重の体で思うように体調が整わない場合、ちょっと費用は嵩むだろうが自腹でタクシーやハイヤーを利用する事はそれほど悪い事ではないだろう、と。それを恥ずかしがる必要も、ましてや隠す必要もないのではないか……と彼女は素朴に考えたのだ。
「あの、違うの」
七海は頬を染めて俯きがちに視線を落とした。
「その……毎日なの」
「え?」
「ちょっと通勤でトラブルがあってね。それを彼に相談したら……その、休み明けからハイヤーが手配されていて」
「それは……かなりな金額になるのでは」
「うん、しかも月単位で貸し切りなの」
しかも平日の会社の送り迎えだけでなく、土日の移動もそのハイヤーを使うように、黛から厳命されてしまったのだ。さすがにそれは言い辛くて濁してしまう。
「ええ!その代金はもしかして……」
「うん、それももう彼が払っていて……使わないなら有休使って早めに産休取るようにって言われて」
迷った末、七海は頷いたのだった。もう契約してしまった、支払いも済んだと言われては断る方が勿体無い。それにあと二ヵ月もすれば産休に入る予定だ、期間限定だと割り切ればまだ諦めも付いた。
「私もトラブルの時動揺しちゃったのもあって、強く跳ねのけられなくて……愚痴を聞いて貰ってそれで気は済んだから、もう自分の気持ちとしては解決したんだけど……」
電車通勤で近くに立っていた学生が離れ際、悪意のこもった言葉を投げ掛けて来たのだ。有名な進学校の制服だったと思う。たぶん妊婦が目の前にいる事に腹を立てたというより、受験が近づいて来て苛々が溜まっていて、その捌け口としてたまたま目の前にいた弱者(と彼には映ったのだろう)である七海が選ばれたのだ。
妊娠も七ヶ月に入ると体の変化一気に加速した気がする。その分脳が変化に対応しきれていないのか、ちょっとした事に不自由を感じるようになった。そんなとき見も知らない他人の優しさに触れる場面の方が多い。が、このように見も知らない他人から思いがけない悪意を受ける事もある。―――それを身をもって体験した七海はかなりズーンと落ち込んでしまったのだ。それに純粋に怖かった。勿論冷静に考えれば直接その学生が七海に手を出すなんてことにはならないのだと頭では分かっていても、普通の体なら避けられる災難を今の体では避け切れないかもしれない、と言う想像が彼女の恐怖心を煽ってしまったのだ。
しかしそれはちょっと愚痴を聞いて貰えば、解消する心の問題だった。実際黛にギュッと抱き着いて背中を優しく撫でて貰った翌朝はすっかり憑き物が落ちたように昏い感情もクリアになってしまったというのに。
「あーそれは……うーん……確かに会社の前で降りづらいのも分かる。毎日ハイヤーで乗り付けたら目につくだろうしねぇ」
川奈は同情を込めた視線で頷いた。
一度顔を合わせただけだが、あの、七海しか目に入って無さそうな彼女の夫がそのような反応を返してもおかしくないのだと、妙に納得してしまう。
「後悔先に立たずだよ……」
肩を落とす七海を川奈は笑って慰めた。
「でも良い旦那様じゃない?妻の危機に即行動を起こすなんて、なかなか出来る事じゃないわよ」
「うん、その点はもう、感謝しかないんだけど……」
安易に泣きついてしまったことを、七海は大いに反省した。いや、聞いて貰って気持ちは楽になったし、黛が自分の身を案じて手配してくれた事には本当に感謝しているのだが。
「……この貸し切り代が、たぶん私の給料とあまり変わらないのかと思うと―――なんだかなんのために働いているのか分からなくなって来ちゃって」
「げっ……そうか、そうだよね。それぐらいにはなるかもね……」
罪悪感に似たものを感じて切なげに溜息を吐く七海を見て、川奈は思った。
この夫婦は何だかとってもアンバランスだなぁ、と。
七海から聞く控えめな話や久石から聞く驚きのエピソード、一度目にした二人の距離感でお互い好き合っているのも仲が良いのも、伝わって来る。だから夫婦としてはとても似合いの二人だと思う。
その一方で七海は見た目やスペックの格差を気にしているようだが―――どうやらその格差はそう言う所にあるわけじゃ無くて、二人の想いの大きさなのではないか、と言う気がした。そしてその天秤は大きく片一方に傾いている、たぶん。
果たして彼女はそれに気付いているのかな?……と悪戯心が湧いて来て、川奈は揶揄うようにこう言ってみる。
「江島さん、愛されてるねぇ……!」
「うっ……」
すると言われた七海は呻き声を上げて顔を両掌で覆ってしまった。指の間から見える頬と耳が真っ赤に染まるのを見て、川奈は納得した。
川奈の心配は杞憂だったようだ。どうやら彼女の夫の愛情は―――もう十分に彼女に伝わっているらしい。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
<おまけ・その後の通勤風景>
「やっぱ、内緒にしておいた方が良いかも」
と、川奈がポツリと呟いた。そう呟く彼女の視線の先を辿ると……
「え?……あ!」
大きな通りに出た処で人混みの中二人の先を歩く小柄な影を見つけた。それは同じ課の先輩である、幼な顔の岬だった。
狙っていた立川に全く相手にされなかった岬は、結局彼の同僚、営業課の田神と付き合う事になったのだが―――どうやら最近、その付き合いがあまり上手く行っていないらしい。
岬は一刻も早く寿退社したいようだが田神があまり乗り気じゃないようだ。だから七海にとっては躊躇してしまうような夫の厚意も……そんな岬から見たら贅沢な悩みと受け取られかねない。
かつて更衣室で絡まれた出来事が、七海の頭をよぎった。
イライラを抱えた受験生より、イライラを抱えた岬の方がもっとずっと身近で怖い……気がする。うん。
「暫くは……出来れば産休入るまで、やっぱりさっきの所で降りようかな?」
「うん、そうだね。……その方が良いね。私もなるべく他言しないよ」
「波風は避けられるものは避けたいよね」
「うん、避けたい。避けるべき!」
そうして川奈と二人、目を見交わしてしっかりと頷き合ったのだった。
(おまけ・完)
お読みいただき、有難うございました!
10
お気に入りに追加
1,358
あなたにおすすめの小説
溺愛令嬢の学生生活はとことん甘やかされてます。
しろねこ。
恋愛
体の弱いミューズは小さい頃は別邸にて療養していた。
気候が穏やかで自然豊かな場所。
辺境地より少し街よりなだけの田舎町で過ごしていた。
走ったり遊んだりすることができない分ベッドにて本を読んで過ごす事が多かった。
そんな時に家族ぐるみで気さくに付き合うようになった人達が出来た。
夏の暑い時期だけ、こちらで過ごすようになったそうだ。
特に仲良くなったのが、ミューズと同い年のティタン。
藤色の髪をした体の大きな男の子だった。
彼はとても活発で運動大好き。
ミューズと一緒に遊べる訳では無いが、お話はしたい。
ティタンは何かと理由をつけて話をしてるうちに、次第に心惹かれ……。
幼馴染という設定で、書き始めました。
ハピエンと甘々で書いてます。
同名キャラで複数の作品を執筆していますが、アナザーワールド的にお楽しみ頂ければと思います。
設定被ってるところもありますが、少々差異もあります。
お好みの作品が一つでもあれば、幸いです(*´ω`*)
※カクヨムさんでも投稿中
一宿一飯の恩義で竜伯爵様に抱かれたら、なぜか監禁されちゃいました!
当麻月菜
恋愛
宮坂 朱音(みやさか あかね)は、電車に跳ねられる寸前に異世界転移した。そして異世界人を保護する役目を担う竜伯爵の元でお世話になることになった。
しかしある日の晩、竜伯爵当主であり、朱音の保護者であり、ひそかに恋心を抱いているデュアロスが瀕死の状態で屋敷に戻ってきた。
彼は強い媚薬を盛られて苦しんでいたのだ。
このまま一晩ナニをしなければ、死んでしまうと知って、朱音は一宿一飯の恩義と、淡い恋心からデュアロスにその身を捧げた。
しかしそこから、なぜだかわからないけれど監禁生活が始まってしまい……。
好きだからこそ身を捧げた異世界女性と、強い覚悟を持って異世界女性を抱いた男が異世界婚をするまでの、しょーもないアレコレですれ違う二人の恋のおはなし。
※いつもコメントありがとうございます!現在、返信が遅れて申し訳ありません(o*。_。)oペコッ 甘口も辛口もどれもありがたく読ませていただいてます(*´ω`*)
※他のサイトにも重複投稿しています。
チートな幼女に転生しました。【本編完結済み】
Nau
恋愛
道路に飛び出した子供を庇って死んだ北野優子。
でもその庇った子が結構すごい女神が転生した姿だった?!
感謝を込めて別世界で転生することに!
めちゃくちゃ感謝されて…出来上がった新しい私もしかして規格外?
しかも学園に通うことになって行ってみたら、女嫌いの公爵家嫡男に気に入られて?!
どうなる?私の人生!
※R15は保険です。
※しれっと改正することがあります。
夫に離縁が切り出せません
えんどう
恋愛
初めて会った時から無口で無愛想な上に、夫婦となってからもまともな会話は無く身体を重ねてもそれは変わらない。挙げ句の果てに外に女までいるらしい。
妊娠した日にお腹の子供が産まれたら離縁して好きなことをしようと思っていたのだが──。
三年目の離縁、「白い結婚」を申し立てます! 幼な妻のたった一度の反撃
紫月 由良
恋愛
【書籍化】5月30日発行されました。イラストは天城望先生です。
【本編】十三歳で政略のために婚姻を結んだエミリアは、夫に顧みられない日々を過ごす。夫の好みは肉感的で色香漂う大人の女性。子供のエミリアはお呼びではなかった。ある日、参加した夜会で、夫が愛人に対して、妻を襲わせた上でそれを浮気とし家から追い出すと、楽しそうに言ってるのを聞いてしまう。エミリアは孤児院への慰問や教会への寄付で培った人脈を味方に、婚姻無効を申し立て、夫の非を詳らかにする。従順(見かけだけ)妻の、夫への最初で最後の反撃に出る。
魔力無しの私に何の御用ですか?〜戦場から命懸けで帰ってきたけど妹に婚約者を取られたのでサポートはもう辞めます〜
まつおいおり
恋愛
妹が嫌がったので代わりに戦場へと駆り出された私、コヨミ・ヴァーミリオン………何年も家族や婚約者に仕送りを続けて、やっと戦争が終わって家に帰ったら、妹と婚約者が男女の営みをしていた、開き直った婚約者と妹は主人公を散々煽り散らした後に婚約破棄をする…………ああ、そうか、ならこっちも貴女のサポートなんかやめてやる、彼女は呟く……今まで義妹が順風満帆に来れたのは主人公のおかげだった、義父母に頼まれ、彼女のサポートをして、学院での授業や実技の評価を底上げしていたが、ここまで鬼畜な義妹のために動くなんてなんて冗談じゃない……後々そのことに気づく義妹と婚約者だが、時すでに遅い、彼女達を許すことはない………徐々に落ちぶれていく義妹と元婚約者………主人公は
主人公で王子様、獣人、様々な男はおろか女も惚れていく………ひょんな事から一度は魔力がない事で落されたグランフィリア学院に入学し、自分と同じような境遇の人達と出会い、助けていき、ざまぁしていく、やられっぱなしはされるのもみるのも嫌だ、最強女軍人の無自覚逆ハーレムドタバタラブコメディここに開幕。
敗戦して嫁ぎましたが、存在を忘れ去られてしまったので自給自足で頑張ります!
桗梛葉 (たなは)
恋愛
タイトルを変更しました。
※※※※※※※※※※※※※
魔族 vs 人間。
冷戦を経ながらくすぶり続けた長い戦いは、人間側の敗戦に近い状況で、ついに終止符が打たれた。
名ばかりの王族リュシェラは、和平の証として、魔王イヴァシグスに第7王妃として嫁ぐ事になる。だけど、嫁いだ夫には魔人の妻との間に、すでに皇子も皇女も何人も居るのだ。
人間のリュシェラが、ここで王妃として求められる事は何もない。和平とは名ばかりの、敗戦国の隷妃として、リュシェラはただ静かに命が潰えていくのを待つばかり……なんて、殊勝な性格でもなく、与えられた宮でのんびり自給自足の生活を楽しんでいく。
そんなリュシェラには、実は誰にも言えない秘密があった。
※※※※※※※※※※※※※
短編は難しいな…と痛感したので、慣れた文字数、文体で書いてみました。
お付き合い頂けたら嬉しいです!
処刑直前ですが得意の転移魔法で離脱します~私に罪を被せた公爵令嬢は絶対許しませんので~
インバーターエアコン
恋愛
王宮で働く少女ナナ。王様の誕生日パーティーに普段通りに給仕をしていた彼女だったが、突然第一王子の暗殺未遂事件が起きる。
ナナは最初、それを他人事のように見ていたが……。
「この女よ! 王子を殺そうと毒を盛ったのは!」
「はい?」
叫んだのは第二王子の婚約者であるビリアだった。
王位を巡る争いに巻き込まれ、王子暗殺未遂の罪を着せられるナナだったが、相手が貴族でも、彼女はやられたままで終わる女ではなかった。
(私をドロドロした内争に巻き込んだ罪は贖ってもらいますので……)
得意の転移魔法でその場を離脱し反撃を始める。
相手が悪かったことに、ビリアは間もなく気付くこととなる。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる