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太っちょのポンちゃん 社会人編9
唯ちゃんと、シェアハウスの住人(10)
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時間設定を間違えて、推敲前の粗原稿を公開してしまいました!
申し訳ありません<(_ _)>
以下、修正後のお話です。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
赤い唇から覗く歯が、まるで外敵を威嚇するトラを思わせる。
「不動産屋が住人に色目使うなんて、何考えてるのよ!」
「いや、あれはどう見ても三島の方が……」
確かに俺も二人の仲が気になっていて、問い質したい衝動に駆られている。だが明らかに三島が主導している状況で、本田さんを悪く言うのは許容できない。
すると、都合の悪い事実から目を逸らすようにプイッと横を向き、佳奈とか言う女は眉を寄せて身を固くしている土屋さんに駆け寄り身を寄せた。
「ね! ツッチーもそう思うよね?」
生真面目に、キッパリとこう言い切った。
挙動不審な動きが目立つ土屋さんに対して、これまでそれほど良い印象を抱いていなかった俺だが、この明白な態度表明には胸がスッとした。俺も大きく頷いて、同意を示す。
すると期待していた加勢を得られなかった女は、むくれて目を眇めた。
「いえ。本田さんは色目なんか、使っていません。今のは三島君の方が強引に本田さんを引っ張って行ったんです」
生真面目に、キッパリとこう言い切った。
挙動不審な動きが目立つ土屋さんに対して、これまでそれほど良い印象を抱いていなかった俺だが、この明白な態度表明には胸がスッとした。俺も大きく頷いて、同意を表明する。
すると加勢を得られなかった女、むくれて目を眇めた。
「何よ」
プライドをいたく傷つけられたらしい彼女は、赤い唇を歪めて土屋さんを睨みつける。
「いい子ぶっちゃって! ホントは悔しいくせに!」
「え……?」
彼女は突然、牙をむき出しにした。
態度がクルクルと変わるのが、目まぐるしい。
ああ、こういうのが苦手なんだ。女ってヤツは―――勿論全部が全部、そうだとは思っていないが―――たびたび状況把握をすっ飛ばして、感情に身を任せがちになる生き物だと思う。目の前の相手を『自分の味方か、それ以外』その二つに分類してしまうのだ。
「あのね、勘違いしてるらしいから、わざわざ言ってあげるけど。タクミが貴方を構うのは、ちょっと毛色の違う野良猫を構うみたいなもなの! ほら、優しいでしょ? 彼。如何にも堅物でボッチな人をほっとけ無かっただけなんだから。それを―――まるで『私は彼に好かれてます』って、上から目線の態度とるのは、どうかと思うわ」
女は一転して、いかにも優し気に声を落とす。まるで可哀想な物を見るような目で、目の前の彼女を見た。土屋さんは瞬間、顔を蒼くして声を震わせる。
「わ、私っ……そんなつもりは……」
「あるでしょ? タクミが親切で話し掛けても、いっつも素っ気なくしてさ。ああ、それともそれで、気を引いてるつもりだったとか?」
女は腕を組み軽く背を逸らして、鼻で笑うようにそう言い放った。
「おい、言い過ぎ―――」
流石に女が苦手だのなんだのと、黙ってられなくなって割って入ろうとした。
しかし俺が口を開いた所で土屋さんは顔を伏せ俯き、手に持っていたカレー皿をテーブルに素早く置くと、クルリと背を向けて足早に廊下に続く扉へと歩き去ってしまった。
「土屋さん……」
その後ろ姿を並んで見送りながら、残った女は不遜にも鼻を鳴らした。
「なぁに、アレ? あーらら、図星だったのね?」
他人に八つ当たりした事で溜飲を下げたのか、女はニンマリと如何にも楽しそうに笑う。しかしその毒は、それで底をついた訳では無かった。次の標的は、俺らしい。こちらに向き直るとやおら顎を上げて腰に手を当て、胸を張った。
「貴方もさー。地味同士お似合いなんだから、とっととくっついちゃってくれない? あの地味子を野放しにしているから、変にタクミが気にしちゃうでしょ?」
反撃しないことを、その男の優しさと捉えず、弱さだと断じて何を言っても良い相手だと勘違いする女がいる。こちらが手を出せないと思って、高を括っているのだ。
自分はあくまで守られるべき側、弱い性だということを逆手にとって―――相手を言葉で貶めることに何ら罪悪感を抱かない。
だが、時には殴られるより痛い言葉だって、ある。彼女はそれを想像する力を持たない、いや想像することを放棄しているのだろう。
けど俺自身に限って言えば、実はどうでも良い相手からの口撃なんて、ムカッと来るくらいでそれほどダメージのあるものではない。だが彼女は……土屋さんは、確実に傷ついていたと思う。
ひょっとすると図星を突かれた部分も、本当にあったのかもしれない。
けれども彼女が多少三島君に対して、上から目線になっても致し仕方ないことだと思う。実際、三島君は本気で彼女にアプローチしているのだ。しかもあれだけガンガン遠慮なくアピールしていれば、彼女も彼の気持ちを察せずにはいられないだろう。
しかしその事実をヒシヒシと感じているからこそ、目の前の女も土屋さんに攻撃的な態度を取るのかもしれない。
分かり切っていることから目を逸らして―――目を逸らす為に誰かを貶めて溜飲を下げる。だけど結局、それは自分に何の成長も利益ももたらさない。呆れるほど、あまりに無駄な行為だと思う。
「……」
俺は無言を返した。こんな相手と口をきくのも馬鹿らしい、と感じたからだ。
そこに妙に間延びした声が、響いた。
「あれ? ツッチーは?」
思いっきりシリアスで不穏な空間に―――呑気な顔で、割って入る男がいた。
「……」
呆れて物も言えずに俺が三島君を睨んでいると、佳奈とか言う女がニッコリ笑顔を作って首を傾げる。
「知らなーい。何か、急に出てちゃった。部屋に戻ったんじゃない?」
「ええ?! そっかぁ……」
ガックリとあからさまに肩を落とす、三島君。やはり彼は土屋さんを好き……だよな。本人もそう言っていたし。 じゃあ、何だったんだ? さっきの本田さんに対する親し気で、強引な行動は。それに本田さんは、どうした。見渡しても帰ってきている様子はない。
「本田さんは?」
俺が尋ねると、三島君は途端に挙動不審になって視線を彷徨わせた。なんだ? 一体、さっきから彼は何に動揺しているのだろう。まるで何かを隠しているみたいだ。
「え?……あっ、用事できたみたいで。戻るって言ってた」
「そうなんだ」
今度は俺がガックリと肩を落とす番だ。結局、今回彼女とはほとんど満足に話せなかった。ゴミ箱の件に関するお礼も、言えないままだ。
全て三島君の所為のような気がして、思わず顔を背けてしまった。すると慌てたように俺の顔を覗き込んで来て、媚びるように彼は至近距離で小さく手を振って来る。
「カケル~……おーい! 聞いてる? あのさ、俺何も……」
「ねぇ、さっきの! 一体、何なの?」
そこへ不機嫌そうな声で、佳奈とか言う女が三島君を問い詰め始めた。
「え? 『さっきの』って?」
三島君はキョトンとした顔で、聞き返す。
少し苛立ちを含んだ声で、女は再び質問を言いかえた。
「さっきさ! タクミ、不動産屋と一緒に出て行ったでしょ? あの人に、何か言われたから? 何かあったの?」
「え? あ~……いや。その、ちょっと昔からの知合いで。久しぶりに再会したから、近況の確認を、ね……」
口籠る彼の態度を不審に思ったのか、グイッと体を寄せて女の口調も強くなる。
「ひょっとして。彼女、タクミの元カノ?」
「へ?」
三島君は目を丸くして、ビックリしたような顔をした。
その表情を目にして、冷や水を掛けられたような気分になる。……え? そうなの? 確かに可能性としては低いが、あり得ないことじゃない、と気が付かされた。
しかし最初から、それは俺の頭に無かった想定だ。本田さんは、最初三島君が知合いだと気が付かなかった。仮にも付き合っていた相手の顔を忘れる、なんてことあるだろうか。それに三島君が主張する彼の好きなタイプと、本田さんは傾向が違う。黒髪でもないし、化粧っ気が無い真面目ちゃんでもない。
けれども、もし……そう例えば子供の頃、中学生の時付き合っていたとしたら? 見た目が変わると言うのも、あり得るかもしれない。そんな可能性を突き付けられた俺の胸に、突如モヤモヤした物が湧き上がって来た。
「やっぱり、そうなんだ! あの人と、付き合ってたんでしょ?!」
まるで今カノのような強い口調で、女は詰問した。
「えぇえ?! いやいやいや、まさか!!」
しかしそれを咎めることもなく、顔の前に上げた手をかなりブンブンと振り回して三島君は否定する。その時、疑いの目を向け始めた俺と、彼の視線がカチリと合った。
「違うし! 誤解だから!!」
「……」
無言の俺に対して、三島君は更に強い口調で首を振った。
そこで俺の心情を代弁するように、佳奈とか言う女が三島君を見上げて腕を組んだ。
「怪しい……!」
「ぜんっぜん、怪しくないよ!」
三島君はそう否定するが―――その後、嫉妬する女の更なる追及を受けても、彼女との関係をそれ以上詳しく語ることは無かった。
ひょっとして俺に遠慮して、付き合っていた事実を隠しているのか。それとも……?
具体的な事が何も分からないので、依然俺の胸の中の靄は晴れないままだ。
とにかく気持ちがスッキリしないまま、そして本田さんもやはり帰らないまま―――その日のパーティはお開きとなった。
こんなことだったらパーティなんか欠席して勉強していりゃあ、良かったと、その日俺は深く後悔したのだった。
申し訳ありません<(_ _)>
以下、修正後のお話です。
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赤い唇から覗く歯が、まるで外敵を威嚇するトラを思わせる。
「不動産屋が住人に色目使うなんて、何考えてるのよ!」
「いや、あれはどう見ても三島の方が……」
確かに俺も二人の仲が気になっていて、問い質したい衝動に駆られている。だが明らかに三島が主導している状況で、本田さんを悪く言うのは許容できない。
すると、都合の悪い事実から目を逸らすようにプイッと横を向き、佳奈とか言う女は眉を寄せて身を固くしている土屋さんに駆け寄り身を寄せた。
「ね! ツッチーもそう思うよね?」
生真面目に、キッパリとこう言い切った。
挙動不審な動きが目立つ土屋さんに対して、これまでそれほど良い印象を抱いていなかった俺だが、この明白な態度表明には胸がスッとした。俺も大きく頷いて、同意を示す。
すると期待していた加勢を得られなかった女は、むくれて目を眇めた。
「いえ。本田さんは色目なんか、使っていません。今のは三島君の方が強引に本田さんを引っ張って行ったんです」
生真面目に、キッパリとこう言い切った。
挙動不審な動きが目立つ土屋さんに対して、これまでそれほど良い印象を抱いていなかった俺だが、この明白な態度表明には胸がスッとした。俺も大きく頷いて、同意を表明する。
すると加勢を得られなかった女、むくれて目を眇めた。
「何よ」
プライドをいたく傷つけられたらしい彼女は、赤い唇を歪めて土屋さんを睨みつける。
「いい子ぶっちゃって! ホントは悔しいくせに!」
「え……?」
彼女は突然、牙をむき出しにした。
態度がクルクルと変わるのが、目まぐるしい。
ああ、こういうのが苦手なんだ。女ってヤツは―――勿論全部が全部、そうだとは思っていないが―――たびたび状況把握をすっ飛ばして、感情に身を任せがちになる生き物だと思う。目の前の相手を『自分の味方か、それ以外』その二つに分類してしまうのだ。
「あのね、勘違いしてるらしいから、わざわざ言ってあげるけど。タクミが貴方を構うのは、ちょっと毛色の違う野良猫を構うみたいなもなの! ほら、優しいでしょ? 彼。如何にも堅物でボッチな人をほっとけ無かっただけなんだから。それを―――まるで『私は彼に好かれてます』って、上から目線の態度とるのは、どうかと思うわ」
女は一転して、いかにも優し気に声を落とす。まるで可哀想な物を見るような目で、目の前の彼女を見た。土屋さんは瞬間、顔を蒼くして声を震わせる。
「わ、私っ……そんなつもりは……」
「あるでしょ? タクミが親切で話し掛けても、いっつも素っ気なくしてさ。ああ、それともそれで、気を引いてるつもりだったとか?」
女は腕を組み軽く背を逸らして、鼻で笑うようにそう言い放った。
「おい、言い過ぎ―――」
流石に女が苦手だのなんだのと、黙ってられなくなって割って入ろうとした。
しかし俺が口を開いた所で土屋さんは顔を伏せ俯き、手に持っていたカレー皿をテーブルに素早く置くと、クルリと背を向けて足早に廊下に続く扉へと歩き去ってしまった。
「土屋さん……」
その後ろ姿を並んで見送りながら、残った女は不遜にも鼻を鳴らした。
「なぁに、アレ? あーらら、図星だったのね?」
他人に八つ当たりした事で溜飲を下げたのか、女はニンマリと如何にも楽しそうに笑う。しかしその毒は、それで底をついた訳では無かった。次の標的は、俺らしい。こちらに向き直るとやおら顎を上げて腰に手を当て、胸を張った。
「貴方もさー。地味同士お似合いなんだから、とっととくっついちゃってくれない? あの地味子を野放しにしているから、変にタクミが気にしちゃうでしょ?」
反撃しないことを、その男の優しさと捉えず、弱さだと断じて何を言っても良い相手だと勘違いする女がいる。こちらが手を出せないと思って、高を括っているのだ。
自分はあくまで守られるべき側、弱い性だということを逆手にとって―――相手を言葉で貶めることに何ら罪悪感を抱かない。
だが、時には殴られるより痛い言葉だって、ある。彼女はそれを想像する力を持たない、いや想像することを放棄しているのだろう。
けど俺自身に限って言えば、実はどうでも良い相手からの口撃なんて、ムカッと来るくらいでそれほどダメージのあるものではない。だが彼女は……土屋さんは、確実に傷ついていたと思う。
ひょっとすると図星を突かれた部分も、本当にあったのかもしれない。
けれども彼女が多少三島君に対して、上から目線になっても致し仕方ないことだと思う。実際、三島君は本気で彼女にアプローチしているのだ。しかもあれだけガンガン遠慮なくアピールしていれば、彼女も彼の気持ちを察せずにはいられないだろう。
しかしその事実をヒシヒシと感じているからこそ、目の前の女も土屋さんに攻撃的な態度を取るのかもしれない。
分かり切っていることから目を逸らして―――目を逸らす為に誰かを貶めて溜飲を下げる。だけど結局、それは自分に何の成長も利益ももたらさない。呆れるほど、あまりに無駄な行為だと思う。
「……」
俺は無言を返した。こんな相手と口をきくのも馬鹿らしい、と感じたからだ。
そこに妙に間延びした声が、響いた。
「あれ? ツッチーは?」
思いっきりシリアスで不穏な空間に―――呑気な顔で、割って入る男がいた。
「……」
呆れて物も言えずに俺が三島君を睨んでいると、佳奈とか言う女がニッコリ笑顔を作って首を傾げる。
「知らなーい。何か、急に出てちゃった。部屋に戻ったんじゃない?」
「ええ?! そっかぁ……」
ガックリとあからさまに肩を落とす、三島君。やはり彼は土屋さんを好き……だよな。本人もそう言っていたし。 じゃあ、何だったんだ? さっきの本田さんに対する親し気で、強引な行動は。それに本田さんは、どうした。見渡しても帰ってきている様子はない。
「本田さんは?」
俺が尋ねると、三島君は途端に挙動不審になって視線を彷徨わせた。なんだ? 一体、さっきから彼は何に動揺しているのだろう。まるで何かを隠しているみたいだ。
「え?……あっ、用事できたみたいで。戻るって言ってた」
「そうなんだ」
今度は俺がガックリと肩を落とす番だ。結局、今回彼女とはほとんど満足に話せなかった。ゴミ箱の件に関するお礼も、言えないままだ。
全て三島君の所為のような気がして、思わず顔を背けてしまった。すると慌てたように俺の顔を覗き込んで来て、媚びるように彼は至近距離で小さく手を振って来る。
「カケル~……おーい! 聞いてる? あのさ、俺何も……」
「ねぇ、さっきの! 一体、何なの?」
そこへ不機嫌そうな声で、佳奈とか言う女が三島君を問い詰め始めた。
「え? 『さっきの』って?」
三島君はキョトンとした顔で、聞き返す。
少し苛立ちを含んだ声で、女は再び質問を言いかえた。
「さっきさ! タクミ、不動産屋と一緒に出て行ったでしょ? あの人に、何か言われたから? 何かあったの?」
「え? あ~……いや。その、ちょっと昔からの知合いで。久しぶりに再会したから、近況の確認を、ね……」
口籠る彼の態度を不審に思ったのか、グイッと体を寄せて女の口調も強くなる。
「ひょっとして。彼女、タクミの元カノ?」
「へ?」
三島君は目を丸くして、ビックリしたような顔をした。
その表情を目にして、冷や水を掛けられたような気分になる。……え? そうなの? 確かに可能性としては低いが、あり得ないことじゃない、と気が付かされた。
しかし最初から、それは俺の頭に無かった想定だ。本田さんは、最初三島君が知合いだと気が付かなかった。仮にも付き合っていた相手の顔を忘れる、なんてことあるだろうか。それに三島君が主張する彼の好きなタイプと、本田さんは傾向が違う。黒髪でもないし、化粧っ気が無い真面目ちゃんでもない。
けれども、もし……そう例えば子供の頃、中学生の時付き合っていたとしたら? 見た目が変わると言うのも、あり得るかもしれない。そんな可能性を突き付けられた俺の胸に、突如モヤモヤした物が湧き上がって来た。
「やっぱり、そうなんだ! あの人と、付き合ってたんでしょ?!」
まるで今カノのような強い口調で、女は詰問した。
「えぇえ?! いやいやいや、まさか!!」
しかしそれを咎めることもなく、顔の前に上げた手をかなりブンブンと振り回して三島君は否定する。その時、疑いの目を向け始めた俺と、彼の視線がカチリと合った。
「違うし! 誤解だから!!」
「……」
無言の俺に対して、三島君は更に強い口調で首を振った。
そこで俺の心情を代弁するように、佳奈とか言う女が三島君を見上げて腕を組んだ。
「怪しい……!」
「ぜんっぜん、怪しくないよ!」
三島君はそう否定するが―――その後、嫉妬する女の更なる追及を受けても、彼女との関係をそれ以上詳しく語ることは無かった。
ひょっとして俺に遠慮して、付き合っていた事実を隠しているのか。それとも……?
具体的な事が何も分からないので、依然俺の胸の中の靄は晴れないままだ。
とにかく気持ちがスッキリしないまま、そして本田さんもやはり帰らないまま―――その日のパーティはお開きとなった。
こんなことだったらパーティなんか欠席して勉強していりゃあ、良かったと、その日俺は深く後悔したのだった。
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