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街へ
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城下街へ着くと、お祭りでもあるのか賑わっていた。馬車から降りた僕が戸惑っていると、宰相閣下は僕の手を引いて人混みの中へと入っていった。
「今日は、お祭りでもあるのでしょうか?」
「最近は、いつもこれくらい賑わっているのですよ。ここ数年で、国外からの観光客が増えましたからね‥‥‥。はぐれないように、私の手をしっかりと握っていてください」
「‥‥‥はい」
振り返りながら喋る彼の姿にドキドキしていた。身体の体温が1℃くらい上がった気がする‥‥‥。手を繋いで歩くうちに、手のひらが汗ばんできたが、離さずに彼の手をギュッと握っていた。
大通りを抜けて噴水の前まで来ると人の波は落ち着き、代わりに噴水を取り囲むように屋台が出ていた。テーブルやベンチがある場所には、屋台で買ったものを食べる人達が座って食事をしている。
宰相閣下は、近くの屋台で買った串焼きを持って来ると「食べますか?」と聞いてきた。人混みで目が回っていた僕は、頷くと目の前に差し出された串焼きに一口かぶりついた。
「何これ? んまっ‥‥‥」
「気に入っていただけたようで、良かったです」
そう言うと、彼は僕の食べかけの串焼きを頬張っていた。1つのものを2人で食べるという慣れない行為に、僕は恥ずかしくなって頬に熱が集まるのを感じていた。
「大丈夫ですか? 熱かったですか? ひとまずベンチに座りましょう」
僕たちはベンチに座ると、午後の気持ち良い風に吹かれていた。今日が晴れていて、本当に良かったと思う。
「アレクシスは、甘いものが好きだと聞いております‥‥‥。合っていますか?」
名前を呼ばれただけなのに、ギクリとしてしまった僕は曖昧に微笑んだ。
「‥‥‥はい」
「向こうの通りに、フルーツと生クリーム、アイスを載せたパフェが出る喫茶店があるんです。行ってみませんか?」
「はい」
もはや断る理由など、どこにもなかった。再び恥ずかしくなってきた僕は、俯いてしまう。
「行きましょうか」
僕は頷くと再び差し出された手を掴み、喫茶店へと向かったのだった。
「今日は、お祭りでもあるのでしょうか?」
「最近は、いつもこれくらい賑わっているのですよ。ここ数年で、国外からの観光客が増えましたからね‥‥‥。はぐれないように、私の手をしっかりと握っていてください」
「‥‥‥はい」
振り返りながら喋る彼の姿にドキドキしていた。身体の体温が1℃くらい上がった気がする‥‥‥。手を繋いで歩くうちに、手のひらが汗ばんできたが、離さずに彼の手をギュッと握っていた。
大通りを抜けて噴水の前まで来ると人の波は落ち着き、代わりに噴水を取り囲むように屋台が出ていた。テーブルやベンチがある場所には、屋台で買ったものを食べる人達が座って食事をしている。
宰相閣下は、近くの屋台で買った串焼きを持って来ると「食べますか?」と聞いてきた。人混みで目が回っていた僕は、頷くと目の前に差し出された串焼きに一口かぶりついた。
「何これ? んまっ‥‥‥」
「気に入っていただけたようで、良かったです」
そう言うと、彼は僕の食べかけの串焼きを頬張っていた。1つのものを2人で食べるという慣れない行為に、僕は恥ずかしくなって頬に熱が集まるのを感じていた。
「大丈夫ですか? 熱かったですか? ひとまずベンチに座りましょう」
僕たちはベンチに座ると、午後の気持ち良い風に吹かれていた。今日が晴れていて、本当に良かったと思う。
「アレクシスは、甘いものが好きだと聞いております‥‥‥。合っていますか?」
名前を呼ばれただけなのに、ギクリとしてしまった僕は曖昧に微笑んだ。
「‥‥‥はい」
「向こうの通りに、フルーツと生クリーム、アイスを載せたパフェが出る喫茶店があるんです。行ってみませんか?」
「はい」
もはや断る理由など、どこにもなかった。再び恥ずかしくなってきた僕は、俯いてしまう。
「行きましょうか」
僕は頷くと再び差し出された手を掴み、喫茶店へと向かったのだった。
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