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聖女カトリーナのとある一日 4
しおりを挟む「じいちゃん、いってきます!」
(『げんきになあれ』)
じいちゃんのほっぺにキスをして、パパにぎゅっと抱きつく。
(『おでかけ』ヒューのとこ!)
聖女になって町に帰ったカトリーナは、魔法通学を始めた。
そして市民学校を出た今、町まで魔法通勤している。
聖女だから魔法がバレたっていいのだ!
聖女になってよかった!
「ヒュー、おはよう!」
「おはようカトリーナ」
ヒューは毎朝、カトリーナの目印になるために門で待っていてくれる。
町役場に魔法通学の許可を求めたら、出入りは知りたいからなるべく門に来て欲しいと言われたのだ。
パパからヒューに飛びつくとくるくると回してくれる。
ヒュー、とっても力が強くなった!
「ヒュー、おはよう。カトリーナをよろしくね。今日は森に行ってから出勤するね」
パパは出勤前に狩りに行くようになった。
カトリーナが学校に入る前はよく行っていたが、授業時間に間に合わないからやめていたそうだ。
パパは狩りが好きみたいだしなによりお金になるし、魔法通勤できるようになってよかった!
「いってらっしゃい! 気をつけてね!」
(『げんきになあれ』)
パパのほっぺにキスをして、厩舎に向かう背を見送った。
門の厩舎でポーラを預かってもらっているのだ。
「僕らも行こうか」
ヒューと手を繋いで、教会へ向かう。
町中を歩くと、たくさんの人に声をかけられる。
「あっ女神カトリーナ様! おはよう!」
「女神カトリーナ様! うちのお菓子にもアドバイスくれないかい」
「女神カトリーナ様、今日のワンピースかわいいわね! 似合うわよ!」
聖女になったと言ったのに、町では女神カトリーナ様と呼ばれている。
聖女より女神のほうが呼称の格が高いしいいだろう、と粉屋のおじさんが言っていた。
神様に不敬じゃない?と聞いたがなにも気にしていなかったので、あだ名だと思うことにした。
「おはよう、愛しい子!」
教会の事務室に足を踏み入れると、ポメちゃんが胸に飛び込んできた。
「ポメちゃん!おはよう!」
ポメちゃんは町の教会にいたり、カトリーナのうちについてきたり、教会本部でアルトゥール様にくっついたりと自由に過ごしている。
カトリーナにくっつけば一緒に移動できるらしく、あちこちでかわいがられて楽しそうだ。
「カトリーナ、これ教会本部にお願い。あ、行く前に採寸だって」
ヒューが机に置かれた書類をパラパラとめくって、本部に持っていくものを選り分ける。
ヒューは市民学校を卒業して、町の教会に就職した。
事務員兼カトリーナのマネージャーだ。
敏腕である。
「採寸……。まったく変わってないから、いいのに……」
カトリーナはつるぺたなままの胸部を見下ろしため息をついた。
何回採寸したって変わらない。
太りも痩せもしないし、背も伸びていない。
なぜなら前回の採寸は5日前だ。
「まぁ……明日が本番だからね。ハーラン先生張り切ってるから万全にしたいんだろうね。楽しみにしてるね」
「私も完成形知らないんだ。ふふ、楽しみだよね!」
「我も! 我も明日が楽しみだぞ!」
市民学校を出て3ヶ月。
明日は、待ちに待ったカトリーナとヒューの結婚式なのである!
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