【R18】カトリーナの幸せな転生

カトリーナとマリアンの秘密のお茶会 １

　レース編みのテーブルクロス、グラスに活けたピンクのばら、白地にばら模様のティーカップ。

　今日のマリアンの部屋はかわいいであふれていた。

「す、すてき！」
「でしょでしょ！　学校の前に準備したの！　女の子のお茶会ってかんじでしょ！」


　白いティーポットから、マリアンが紅茶を注いでくれる。

「ありがとう。ふふっお嬢様になったみたい！」

「どういたしましてカトリーナお嬢様！　お菓子もかわいく作ったのよ、どう？」

「マリアンが作ったの？　この断面がすっごくかわいい！」

　マリアンがテーブルにのせたのは、いちごとクリームのサンドイッチだった。
　いちご柄のナプキンを敷いたトレイにセンス良く並べてある。
　そろったいちごの切り口がよく映える。

「断面かわいいわよね！　やっぱりカトリーナはわかってるわね！　パパもフレッドくんも断面がかわいいって意味わからないって言うのよー！」

「男の人ってかわいいわからないよね。うちのパパもね……、」

　マリアンとのお話は弾みまくる。
　いちごサンドとってもおいしい！




　お互いの婚約の話ももちろんした。

　マリアンの婚約者、見習いから職人に昇格したフレッドくんは１６歳。

　日本的に言うと１９歳くらいかな？
　だいぶ年齢の感覚慣れてきた。

　マリアンが市民学校を卒業したらお婿さんにもらうかたちで結婚することに決まったんだって！
　２人でうちのパン屋を支えるわ！　て幸せそうに笑ってた。

　マリアンにはお兄さんがいるから、跡継ぎがいるのにってフレッドくんは婿入りは遠慮したらしい。
　でもお兄さんは文官を目指し上級学校に進んだから店は継がない、店をどうするか悩んでいたからぜひ婿に来て継いでほしいってマリアンのパパが熱心に説得したそうだ。


「フレッドおにいさん、お嫁にもらうつもりがお婿にもらわれるのね。マリアンパン屋さん好きだしいいかたちにまとまってよかったね！」

「そうね！　結婚してもパン屋の仕事ができるの嬉しいわ！　結婚式の準備も少しずつしてるの、カトリーナぜったいに来てね！」

「もう準備してるの？　でもそうか、２年後だもんね。結婚式絶対行く！」

「カトリーナはどうなの？　ヒューとは正式に婚約したんでしょう？結婚の話はしていないの？」


　うーん、とカトリーナはいちごサンドをつまんで考えた。



　カトリーナはヒューが大好きだけど、実は婚約は考えていなかった。

　ヒューとは同じ年だし結婚はまだ先のことだろうから、結婚を意識しはじめたときでいいんじゃない？　と思っていたのだ。

　しかし親たちの強い勧めと、ヒューが片膝をついてプロポーズしてくれたのにうっとりどきどきして婚約をうけた。



「市民学校出てからどうするか考えてないし、結婚は先なんじゃないかなぁ……？」

「そうなのね。話が進んだら教えてね！　結婚式に行きたいから！」


　にこにこしていたマリアンが、ところで、と表情をあらため声をひそめた。


「カトリーナ、ここだけの話……ヒューといろいろしてる？その、男女の……」

　言いながらマリアンはそばかすの頬を赤らめる。



　カトリーナはごくりと紅茶を飲んで喉を湿らせた。
　ますます女子会らしくなってきた！








あとがき

マリアンのパパ「息子上級学校受かったな。めでたいけどパン屋は今後どうすっかな」

フレッドくん「マリアンに婚約を申し込み受けてくれました。いずれ娘さんを妻にいただきたくおねがいに……」

マリアンのパパ「(渡りに船とはこのことだぜ！)だめだ！　婿に来いフレッド！！！」