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紳士淑女の皆様へ
虫童
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「虫童の居所を突き止めた、準備をしておけ。」
ドワイト・D・アイゼンハウアー最高司令は特上級騎士の面々にそう告げた。
「虫童が最初のターゲットとは、、、。
願ったり叶ったりですな。」
ヨシフ・スターリン特別強襲部隊長は拳をバキバキと鳴らした。
「虫童は黒馬倶楽部ではナンバーフォーと呼ばれています。第2地区の貧民街の旧病院が根城であり、そこで実験もしている可能性は極めて高いです。侵入経路、作戦の立案は完了しました。準備が出来次第すぐ出発できるかと。」
ヴァイス・アードラー参謀責任者は表紙に害虫駆除作戦と書かれた紙の束を持っている。
「なるべく見つからずに敵のお膝元に行きたいのだがね、グレイ情報統括長官。人間昆虫などという悪趣味なモノは見たくない。」
「少なくとも暗部の報告では人間昆虫の存在は侵入経路付近では確認されていません。今回の目標は虫童の可能ならば確保或いは殺害と黒馬倶楽部の情報の入手です。」
「ではこれより害虫駆除作戦を開始する。」
アイゼンハウアー最高司令の宣言と共に全員が立ち上がる。
それは憲兵団が先手を打つ形になる最初の作戦であった。
「お前にも出てもらうぞ、亮介。」
最上位狩人のヘレナ・イェーガーは鎧をガチャガチャと鳴らしながら歩く。
「無論だ、何の為に憲兵団にいると思っているんだ。」
「そうだな、だが今回のお前らの任務は人間昆虫の始末だ。
あんななりとは言え元は人間だ、余計な傷は付けるなよ。」
人間昆虫は虫童が作る生命体だ。人の体に昆虫の性質を繋げることで超人を作ることが目的らしい。だが実際は人と昆虫の合成によって様々な超人的な効果を持つ化け物を量産しているのみである。
理性をカケラも持たぬソレは生きることにのみ執着する獣の類と同等であり、人の尊厳を踏みにじる創作物である。
「わ、私達がアレを殺すんですか?」
今にも吐き出しそうな顔で新兵の1人、アルラがそう聞く。
他の4人の新兵も彼女と同じ心持ちのように見えた。
彼らが戦ってきたのは猪や犬などの獣の類である。当然人を殺したことなどないのだろう。
「今やらなくてもいずれやらなければならない日が来る、お前らが生きている限りな。」
「でも、、、人ですよ。」
「忘れてはならないが」
ヘレナ最上位狩人はアルラに詰め寄る。
アルラの息を飲む音が聞こえた。
「この国を崩壊させたのも人であり、件の人間昆虫を作っているのも人だ、人だから無条件に尊いと思うな。この場所では人の価値はもうゼロに等しい。」
ヘレナは更にアルラの鼻先に指を突きつける。
「いいか、我々には今や正義も、大義も無い。我々がしているのは組織ぐるみの復讐だ。高尚な考えは捨てろ。ここにはかつての戦友を忘れられず女々しく踊っている馬鹿どもしか残っていない、分かるか?」
「はい、、、ヘレナ最上位狩人殿。」
「ヘレナ最上位狩人殿の言う通りだ、出来ないなら消えろ。」
そう言い放つと亮介は部屋へ戻る為に長い廊下を歩き始める。1人、また1人と新兵らは後に続く。
これはチャンスだ。奴に近づく絶好の機会じゃないか。
黒い炎が激しく燃える。
「亮介最上級狩人殿、突入はいつですか?」
「明後日の1200だ、各々遺書なり準備なりしておくように。」
「了解であります。」
彼らが去った後、亮介は自分の剣を見て、研いでおこうとボンヤリと思った。
ドワイト・D・アイゼンハウアー最高司令は特上級騎士の面々にそう告げた。
「虫童が最初のターゲットとは、、、。
願ったり叶ったりですな。」
ヨシフ・スターリン特別強襲部隊長は拳をバキバキと鳴らした。
「虫童は黒馬倶楽部ではナンバーフォーと呼ばれています。第2地区の貧民街の旧病院が根城であり、そこで実験もしている可能性は極めて高いです。侵入経路、作戦の立案は完了しました。準備が出来次第すぐ出発できるかと。」
ヴァイス・アードラー参謀責任者は表紙に害虫駆除作戦と書かれた紙の束を持っている。
「なるべく見つからずに敵のお膝元に行きたいのだがね、グレイ情報統括長官。人間昆虫などという悪趣味なモノは見たくない。」
「少なくとも暗部の報告では人間昆虫の存在は侵入経路付近では確認されていません。今回の目標は虫童の可能ならば確保或いは殺害と黒馬倶楽部の情報の入手です。」
「ではこれより害虫駆除作戦を開始する。」
アイゼンハウアー最高司令の宣言と共に全員が立ち上がる。
それは憲兵団が先手を打つ形になる最初の作戦であった。
「お前にも出てもらうぞ、亮介。」
最上位狩人のヘレナ・イェーガーは鎧をガチャガチャと鳴らしながら歩く。
「無論だ、何の為に憲兵団にいると思っているんだ。」
「そうだな、だが今回のお前らの任務は人間昆虫の始末だ。
あんななりとは言え元は人間だ、余計な傷は付けるなよ。」
人間昆虫は虫童が作る生命体だ。人の体に昆虫の性質を繋げることで超人を作ることが目的らしい。だが実際は人と昆虫の合成によって様々な超人的な効果を持つ化け物を量産しているのみである。
理性をカケラも持たぬソレは生きることにのみ執着する獣の類と同等であり、人の尊厳を踏みにじる創作物である。
「わ、私達がアレを殺すんですか?」
今にも吐き出しそうな顔で新兵の1人、アルラがそう聞く。
他の4人の新兵も彼女と同じ心持ちのように見えた。
彼らが戦ってきたのは猪や犬などの獣の類である。当然人を殺したことなどないのだろう。
「今やらなくてもいずれやらなければならない日が来る、お前らが生きている限りな。」
「でも、、、人ですよ。」
「忘れてはならないが」
ヘレナ最上位狩人はアルラに詰め寄る。
アルラの息を飲む音が聞こえた。
「この国を崩壊させたのも人であり、件の人間昆虫を作っているのも人だ、人だから無条件に尊いと思うな。この場所では人の価値はもうゼロに等しい。」
ヘレナは更にアルラの鼻先に指を突きつける。
「いいか、我々には今や正義も、大義も無い。我々がしているのは組織ぐるみの復讐だ。高尚な考えは捨てろ。ここにはかつての戦友を忘れられず女々しく踊っている馬鹿どもしか残っていない、分かるか?」
「はい、、、ヘレナ最上位狩人殿。」
「ヘレナ最上位狩人殿の言う通りだ、出来ないなら消えろ。」
そう言い放つと亮介は部屋へ戻る為に長い廊下を歩き始める。1人、また1人と新兵らは後に続く。
これはチャンスだ。奴に近づく絶好の機会じゃないか。
黒い炎が激しく燃える。
「亮介最上級狩人殿、突入はいつですか?」
「明後日の1200だ、各々遺書なり準備なりしておくように。」
「了解であります。」
彼らが去った後、亮介は自分の剣を見て、研いでおこうとボンヤリと思った。
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