落ちこぼれ子女の奮闘記

木島廉

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リゾルタへの再訪5

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賢者デルフィの国外退去。

理不尽な処遇を受けるデルフィにリリスは同情するばかりだった。

「デルフィ様って政治的にはノータッチじゃないですか。どうして国外退去になっちゃったんですか?」

リリスの言葉にデルフィはふうっと大きくため息をついた。

「ウバイド国王の統治に若干なりとも貢献したと言う事なのだろう。」

「それって私が修復した魔剣の事も含めて・・・ですか?」

「まあ、それもあるかもな。」

そんな事って・・・・・。

リリスはあくまでも善意で何度も魔剣の修復を行なった。それがウバイド国王の統治の正当性を保証する要素の一つとなった事は理解出来る。
だがそれがデルフィの立場を複雑にしてしまったとは考えたくない。

「まあ、気にするな、リリス。ウバイド国王のように軟禁されてしまうのではないからな。国外に拠点を移せば良いだけの話だ。」

デルフィは達観したような表情で淡々と答えた。
その表情を見て逆にリリスの心が痛む。

「それでデルフィ様は何処に行くのですか?」

リリスの問い掛けにデルフィは遠くを見るような目をした。

「うむ。リゾルタの統治圏内にあるアゴラと言うオアシス都市に移転する事になった。それで今、移転作業をしているところだよ。」

「ありがたい事にユリアス殿やラダム殿も手伝ってくれているのだ。この研究施設の機器類は単に移動させるだけではなく、データの保存や再起動の処理を施さなければならない物が大半なのでな。常人では難しい作業もあの二人はいとも簡単にこなしてくれる。」

えっ!
ラダム様ってまだユリアス様の元に居たの?
確かにユリアス様は超越者のロキからラダム様の後見役を頼まれたけど・・・・・。

リリスはがらんとした研究施設を見回しながら、人気のない事を確認した上で、デルフィに小声で尋ねた。

「それで・・・ウバイド国王様を軟禁しているのはどう言う勢力なんですか?」

「それはなあ・・・」

デルフィは少し口ごもってしまった。

若干の沈黙が続く。

周りを見回した後、真剣な表情でデルフィは口を開いた。

「・・・・・ウバイド国王の異母兄でメンフィス様と言う方がおられるのだ。この方が多くの王族を扇動して、ウバイド国王を軟禁状態に追い込んだのだよ。ウバイド国王の軽率な発言や行動に、心底嫌気が差していた王族も少なくなかったからのう。」

まあ、それはあの国王の発言や行動を考えると止むを得ないところね。

「でもそれでデルフィ様にまでとばっちりが来るなんて・・・・・」

不満げな表情のリリスを宥める様に、デルフィはポンポンとリリスの肩を軽く叩いた。

「儂の事でお前が気に病む事は無い。むしろ心配なのはお前自身の事だ。」

「私自身の事ですか?」

「そうだ。リゾルタのバトルメイドから事の顛末は聞いたぞ。酷い目に遭ったそうじゃないか。」

バトルメイド?
ああ、チラさんやべリアさんの事ね。

それにしても・・・バトルメイドって中二病をそそられる呼び名だわねえ。

「闇魔法で構成された監獄空間に転送されてしまったそうだな。しかも大量の呪詛や禁呪まで施されていたそうじゃないか。」

「あらっ? 良く知っていますね。それってチラさんから聞いたんですか?」

リリスの疑問にデルフィはハハハと笑った。

「べリアとチラはアゴラの移転先で周辺の警備や移転の手伝いをしてくれているのだ。」

デルフィの言葉に今一つリリスは合点がいかない。
デルフィとべリア達の繋がりって何だろうか?

リリスの疑問を察して、デルフィは口を開いた。

「儂らの国とリゾルタは同盟関係にある。べリアとチラは元々属性魔法の潜在能力の高い軍人だった。それでリゾルタからの依頼で儂の研究施設にしばらく滞在し、特殊な訓練と医療措置を受けたのだ。」

医療措置?

リリスは再び疑問に包まれた。

「特殊な訓練は分かりますが医療措置って?」

リリスの言葉にデルフィはニヤッと笑った。

「お前が依然受けたものと同じだよ。勿論お前の様な人外の者と同じレベルではない。ほとんど外形に影響の出ない低レベルでの措置だ。」

人外って余計だわね!

でも私が受けた措置って・・・・・。

リリスは思いを巡らせながら、ハッとある事を思いついた。

「もしかして・・・・・竜の血を受けたんですか?」

リリスの言葉にデルフィは黙ってコクリと頷いた。

「ほんの少しの量だよ。それでもドラゴニュートの血を巫女が人族用に精製しながら輸血する工程は同じだ。それによって彼女達の持つスキルや能力は格段にレベルアップ出来た。」

「気になるのなら彼女達の背中を見せて貰えば良い。僅かながら皮膚に鱗状の変異が見られるはずだ。」

そんなものをわざわざ見せて貰わなくても良いわよ。

そう思いながらも、一方では職業軍人としての彼女達の覚悟と使命感を感じてしまったリリスである。
リリスの思いを感じ取って、デルフィは闇魔法の監獄空間に話を振った。

「チラの話では、リリスが無双したと聞いたぞ。大量の呪詛や禁呪を解呪してしまったのだな。」

「無双は大袈裟ですよ。解呪したのは事実ですけど。」

リリスの言葉にデルフィはう~んと唸った。

「実は・・・・・とあるドラゴニュートの王族の元に仕えていた呪術師が3名、突然死んでしまったのだ。それも全身から血を噴き出して、非業な姿で亡くなってしまったと聞く。おそらくその3名の呪術師は、闇魔法の監獄空間に大量の呪詛や禁呪を施した首謀者なのだろう。」

「逆に考えると、3人掛かりでなければ施せないほどの物量の呪詛や禁呪だったと言う事だ。まさかそれを全て解呪されるとは思ってもみなかっただろうな。」

デルフィはそう言うとリリスの目をじっと見つめた。

「リリス。闇魔法の監獄空間だけならまだ分かるのだが、大量の呪詛や禁呪まで施したのは何故だと思う? 晩餐会に参席した他国の王族を監禁してしまうだけなら、あまりにも過剰な仕掛けだよな。」

リリスにはピンとこない。
その様子を見ながらデルフィは静かに口を開いた。

「奴らの目的は最初からお前を封じ込めてしまう事だったのではないか? お前が闇魔法にあまり習熟していない事を見抜いた上で、更に過剰なまでの呪詛と禁呪を施した。そうとしか儂には思いつかんのだよ。」

デルフィの言葉にリリスはうっと唸って黙り込んでしまった。
そのリリスの脳裏に、ケント王子のお披露目の式典で感じた、ドラゴニュートの参席者からの絡みつく様な視線が思い浮かぶ。

「理由は分からないけど、逆恨みされているんでしょうか?」

「うむ。単にお前の存在が目障りだと言う事も考えられる。だが、ウバイド国王に反旗を翻した王族の中には、エドムに好意的だった者も居るので、エドム絡みの謀略かも知れん。」

エドムの名を聞いてリリスは愕然とした。
一方的に喧嘩を吹っかけられ、ブレスまで吐かれ、その上にリリスが勝てば逆恨みされてしまう。
あまりにも理不尽だ。

やりきれない表情のリリスにデルフィは同情した。

「まあ、そんなに案ずるな、リリス。今回の件でお前に無闇に手を出せば、それ相応の損失を被る事が良く分かった筈だ。しばらくの間はお前に手を出さんだろうよ。」

「しばらくの間・・・・・ですよね。ほとぼりの覚めた頃にどう出て来るのか、安心出来ませんよ。いっその事、本気でタミアを焚付けて、ドラゴニュートの国を焼き尽くしてやろうかしら。」

そう呟いたリリスの肩をデルフィはポンポンと叩いた。

「今回の件は仮想空間を介してリンにも伝えたよ。あまりに酷ければ竜族が介在してくる事になる。それで勘弁してくれ。」

「デルフィ様が勘弁してくれなんて言わなくて良いですよ。私個人の問題ですから。」

そう言ってリリスは気持ちを切り替えた。
何時までもこの件に拘っていても意味が無いと思ったからだ。

「それにしても、リゾルタの王城の傍で騒動を起こすなんて、ドラゴニュートだけの画策とは思えませんね。」

「うむ。そこが根の深いところなんだよ。先日お前に伝えたように、ウバイド国王を軟禁した連中と連携している連中がリゾルタにも居る。リゾルタはオアシス都市の連合王国だ。現王家の統治に不満を持つオアシス都市もあると聞くからな。」

「不満分子同士の連携ですね。」

リリスの言葉にデルフィは手を横に振った。

「ドラゴニュート側の不満分子は既に主流派になってしまったがな。」

デルフィの言葉にリリスはうんうんと頷くしかなかった。

デルフィはリリスの様子を見ながら、闇魔法の魔力を漲らせた。

「これからアゴラの新しい研究施設に向かうのだが、お前も一緒に来てくれ。チラとべリアがお前に話があるといっておった。」

チラさん達が?
何の用だろう?

良く分からないままに了承すると、デルフィは闇魔法の転移を発動させ、アゴラの新しい施設にリリスと共に転移した。





転移の後に周囲を見回すと、真新しい施設の内部で多くの人達が作業をしていた。
その奥の方からメイド服姿のチラとべリアが近付いて来た。

「リリス様、お疲れさまでした。」

チラの言葉にリリスは笑顔で頷いた。

「チラさん達もフットワークが軽いですね。さっきまでリゾルタの王都で戦闘していたのに、今はデルフィ様の引越しの手伝いですものね。」

そう言いながらリリスはデルフィの顔を見つめた。
デルフィは少しバツの悪そうな表情を見せた。

「儂がまるでチラ達を酷使しているような言い草だな。」

「いえいえ。そんな事は思っていませんよ。」

そう言って笑うリリスにべリアが口を開いた。

「私達がここに来た目的は王家を守るための情報収集です。デルフィ様側からの情報提供もありますので。」

べリアの言葉にチラが捕捉する。

「引越しの手伝いはそのついで・・・ですからね。」

若干歯切れが悪いが、そう言う事なのだろう。

「それでゲストルームの片づけは済んだのか?」

デルフィの言葉にべリアとチラはハイと答えた。

「それなら早速ゲストルームにリリスを案内してくれ。儂は幾つかの機器の設置状況を確認しながらそちらに向かうからな。」

デルフィはそう言うとその場を離れた。
べリア達の案内でリリスは新しい研究施設の通路を歩いた。
幅の広い通路の両側にはまだ片付けられていない荷物が散在している。
それを横目で見ながらリリスはべリア達と共にゲストルームの中に入った。

幅の広い大きなテーブルの周囲に豪華なソファが幾つも用意されている。
そのうちの一つにリリスが座り、隣接するソファにべリアが座った。
チラはゲスト用の紅茶を用意するために、直接ゲストルームの奥のブースに向かった。

ゲストルーム自体は簡素だが、置かれている家具や調度品はどれも豪華なものばかりだ。
デルフィも一応王族の一員なので、それなりの身分のゲストと応対する事もあったのだろう。

しばらくしてチラが紅茶を給仕し始めると、デルフィがゲストルームに入ってきて、リリスの対面のソファに座った。

高級な紅茶を啜り、少し和んだところで、デルフィが話を切り出した。

「べリアからリリスに話があるそうだ。今回の騒動にも関わっているので聞いてやってくれ。」

その言葉に応じてべリアは話を始めた。

「リリス様は晩餐会の後、宮殿前の広場に敷き詰めるように展開された闇をどう思われますか?」

「そうねえ。少し油断していたわ。でも危険な気配を全く感じなかったのも変よね。」

リリスの言葉にべリアは頷いた。

「そうなんですよね。気配を消して闇を展開させる技量は相当なものです。あのレベルで闇魔法を扱える者は限られていて、術者もある程度特定出来るのですが・・・・・」

べリアの言葉の歯切れが悪い。
その様子を見てリリスは少し勘繰ってみた。

「それって王族の一員だったりするの?」

「いいえ、王族の一員ではありません。」

そう言ってべリアは一息入れた。

「リゾルタの支配地域の端の方に、イスファと言う名の小さなオアシス都市があるのです。そこを治めているのがオーグスト家で、私の実家の分家に当たる叔母のスーラが領主を務めているのですが、この叔母が稀有な闇魔法の使い手でして・・・・・」

ええっ!
何となく嫌な話の流れね。

真剣な表情で話すべリアに、リリスは新たな騒動の予感を感じていたのだった。



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