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使い魔達の喧騒2
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保健室のベッドの中でニーナは自分の事を語り出した。
ニーナの実家は王家につながりの深い大商人で、彼女は小さい頃から魔法にはあまり精通しなくても良いと教えられてきたそうだ。商人だから商売に精通せよと言う事なのか。だがニーナは寡黙な子供ではあったが魔法に深く関心を持ち、魔法学院に通う事を両親に幾度も懇願した。それで両親も渋々魔法学院への入学を許可したそうだ。ちなみにエレンはニーナと親戚関係にあり、エレンと一緒ならと言う両家のやり取りもあって入寮も許可されている。
とりあえず鑑定してみようかしら。
そう思ってリリスはニーナの話を聞きながら鑑定スキルを発動させた。
**************
ニーナ・メル・ハーネスト
種族:人族 レベル10
年齢:13
体力:500
魔力:1000
属性:火・水
魔法:ファイヤーボール レベル1
ウォータースプラッシュ レベル2
ウォーターカッター レベル2
秘匿領域
スキル:探知 レベル1(発動不可)
隠形 レベル1(発動不可)
罠解除 レベル1(発動不可)
暗視 レベル1(発動不可)
千里眼 レベル1(発動不可)
魔力吸引 レベル1(発動不可)
呪縛要素:商人の枷 ステージ1
商人の枷 ステージ2
商人の枷 ステージ3
**************
これって何?
あまりにも謎が多いわね。
ニーナのステータスに秘匿領域がある事自体が謎だ。
これって分析できる?
リリスは思わず鑑定スキルに問い掛けた。
『人為的にスキルや魔法の発動を制限されていますね。』
それってこの<商人の枷>の事?
『そうです。これは呪いに近いものですね。その為に魔力の回路そのものが閉塞気味です。』
商人の娘としての道を歩ませるためにこんな制限を掛けたのかしら?
そうだとしたら理不尽よねえ。
元々の魔力量もあるし、特殊なスキルを幾つも持っている。
覚醒すればそれなりの魔法の使い手になりそうだわ。
外せるものなら外してあげようかしら。でもそれってお節介なのかしら?
『いえ。お節介では無さそうです。』
それってどう言う意味?
『本人の持つ素養と枷の呪縛との間での軋轢が極度に高まっています。本人の元々の素養が高い上に呪縛の掛け方に無理があるようですね。』
『このまま放置するといずれ魔力の回路が絶たれてしまいます。』
それじゃあ放置できないじゃない。
何とかならないの?
『そもそも同じ呪縛を三重に掛けること自体が異常ですね。おそらく魔力誘導である程度まで枷を外せますよ。』
それなら外してあげようかしら。だって魔力の回路が絶たれちゃったら魔法学院に居られないわよ。
お節介な事とは思いながらリリスは行動に出た。ニーナの目を見つめて邪眼を発動させると、ニーナは視点が定まらなくなってしまった。
即座にリリスは魔力誘導を発動させ、朦朧としているニーナの身体に魔力の触手を撃ち込んだ。魔力の回路を辿っていくと、その流れを制限するような多数の障害物の存在を感じる。これが枷なのか? そうに違いない。
魔力の触手の先にヒールの波動を流しながら、魔力の回路を押し広げるように進んでいく。障害物を感じなくなるまで幾度となく繰り返す。邪眼の制限時間は5分間だ。その間に出来るだけ多くの障害物を取り除こう。
4分以上の間、リリスは魔力誘導を駆使した。その上で魔力の触手を解除して再度ニーナのステータスを鑑定すると、
**************
ニーナ・メル・ハーネスト
種族:人族 レベル10
年齢:13
体力:500
魔力:1000+
属性:火・水
魔法:ファイヤーボール レベル1
ウォータースプラッシュ レベル2
ウォーターカッター レベル2
スキル:探知 レベル1
隠形 レベル1
罠解除 レベル1
暗視 レベル1
千里眼 レベル1
秘匿領域
スキル:魔力吸引 レベル1
(阻害要素により発動不可)
呪縛要素:
商人の枷 ステージ1(残余20%)
商人の枷 ステージ2(無効化処置完了)
商人の枷 ステージ3(無効化処置完了)
**************
完全には枷を外せなかったものの、大半は取り除いたようだ。
これでどう?
『上出来ですね。まだ若干阻害要素として残っていますが、魔力回路に支障をきたすような枷は全て無効化されました。』
それなら良いわと思っているうちに、ニーナの意識が戻ってきた。それと共に顔色が良くなっている。魔力の流れが良くなったからだろう。
「あれっ? 私、今寝てたの?」
リリスに向けられたニーナの目にも力を感じる。
「疲れていたんじゃないの? それで体調はどうなの?」
「それが・・・・・」
ニーナは急にベッドから上半身を起こした。
「身体が熱くなってきたように感じるの。力が漲ってきたような・・・」
身体のあちらこちらを摩りながら、ニーナはリリスに笑顔を向けた。
「まだしばらく横になっていたら良いわよ。念のために保健の先生にも声を掛けておくから。」
そう言ってニーナを再びベッドに寝かしつけると、リリスは手を振って保健室を出て行こうとした。
「リリス、ありがとう。でも保健の先生が来なくても、次の授業には出るわね。何だかじっとして居られなくて・・・・・」
ニーナは満面の笑みでリリスを送り出した。
何時になく饒舌なニーナだ。枷が外れたからなのだろうか?
まあ、結果オーライよね。
そう思ってリリスは教室に戻っていった。
その後、放課後の多忙な生徒会の雑務を終えてリリスが学生寮に戻ると、何故かドアの向こうから複数の人の声が聞こえてくる。
また、殿下の使い魔が来ているのかしら?
そう思いながらドアを開けると、リリスの目の前には異様な光景が広がっていた。
ソファの上で幾つもの使い魔が絡み合いながら蠢いている。
2体のピクシーはユリアとタミアだ。小人はフィリップ王子の使い魔だが、ピクシーの下で踏みつけられている使い魔が居る。よく見るとノームだ。
農事を司る精霊・・・・・と言う事は、土魔法の絡みでチャーリーか?
「「「「リリス。お帰り!」」」」
一斉に4体の使い魔が言葉を発した。
「お帰りじゃないわよ。この状況は何事なの?」
リリスの言葉に真っ先に反応したのは赤い服装のピクシーだ。
「ストーカーを捕まえたのよ!」
そう言いながらタミアの使い魔のピクシーがノームを強く踏みつけた。
「痛いな! 誰がストーカーやねん!」
あっ、やっぱりチャーリーだ。
「だってあんた、いつも私達を付け回しているじゃないの。」
「それは君たちの監視が僕の使命やからね。」
ノームの言葉にブルーの衣装のピクシーが反応して大声をあげた。
「誰が監視対象なのよ!冗談じゃないわ!適当な理由を造って付きまとうのは止めなさいよ!」
ユリアもお怒りの様子だ。
「そんな事言うても、僕に使命を授けたのは創造神やからね。文句があったらそっちに言って。」
「あんた、創造神に会った事があるの?」
「・・・・・いや、無いけどね・・・」
「適当な事を言うんじゃないわよ!」
ピクシーとノームの諍いの傍らで小人が腕組みをして考え込んでいる。
「それで殿下はどうしたんですか?」
「ああ。」
そう言ってフィリップ王子の使い魔の小人が顔をあげた。
「僕はリースの地下神殿のダンジョンの事を君に話そうと思って来たんだ。それで部屋に入るとサラ君が倒れていて、ピクシーとノームが争っていて、しかもそれがすべて亜神の使い魔で・・・・・」
殿下も唖然としているのね。
うん?
サラ?
「そう言えばサラは?」
「ああ、亜神の使い魔が眠らせてしまったようだ。ピクシー達が器用にベッドに運び込んでいたよ。話の邪魔だからと言って・・・」
酷いわね。
サラも病み上がりなのに。
「そうそう。」
ノームを足蹴にしながらブルーの衣装のピクシーがこちらに顔を向けた。
「私達はリースの地下神殿のダンジョンの様子と感想をリリスに聞きに来たのよね。そうしたらこいつが居て・・・」
「あんたは何をしに来たのよ。私達よりも先にこの部屋に入っていたわよね。」
「僕はリリスに授けたスキルの感想を聞きに来ただけやないか。そしたら監視対象の君らが入ってきて・・・」
「「だから誰が監視対象なのよ!」」
「痛いって!」
2体のピクシーに踏みつけられたノームが悲鳴をあげて悶絶している。
だが踏みつけられて喜んでいるようにも見えるのは何故だろうか?
変態性が高そうな亜神だ。
「でも私はまだリースのダンジョンには行ったことが無いわよ。」
「そう言うと思って、映像を用意してきたのよ。今から見せてあげるわ。フィリップ!あんたも見るのよ!」
あっ、王子を呼び捨てにしちゃったわ。まあ、亜神だから人族の身分なんて気にしないでしょうけど。
ブルーの衣装のピクシーが手をかざすと、部屋の壁に映像が映し出された。
「映像の大きさは50インチ程度で良いかしらね。」
この世界にインチなんてない筈よ。私の記憶領域から吸い取った知識で話さないで欲しいわね。
そう思いつつもリリスは壁に鮮明に映し出された映像を見つめた。
ふと横を見るとフィリップ王子の使い魔の小人がソファの上で正座して眺めている。
何故に正座?
テレビの開局当時、モノクロのテレビの前で子供達が正座してテレビを見ている画像が思い出されたリリスである。
「フィリップ。あんたこの前このダンジョンの調査の為に冒険者を送り込んだでしょ?」
「ええ。腕利きの冒険者を雇って調査させましたね。Aランクの冒険者達です。」
「これはその時の映像よ。よく見ておきなさい。彼等の調査報告は聞いているだろうけど、映像で見るなんて滅多に無いでしょうからね。」
「はい!ありがたく見せていただきます!」
あらあら。
亜神の前では王子の立場も何も無いわね。
フィリップ王子とリリスが見つめる中、地下神殿のダンジョンの映像が始まった。
ニーナの実家は王家につながりの深い大商人で、彼女は小さい頃から魔法にはあまり精通しなくても良いと教えられてきたそうだ。商人だから商売に精通せよと言う事なのか。だがニーナは寡黙な子供ではあったが魔法に深く関心を持ち、魔法学院に通う事を両親に幾度も懇願した。それで両親も渋々魔法学院への入学を許可したそうだ。ちなみにエレンはニーナと親戚関係にあり、エレンと一緒ならと言う両家のやり取りもあって入寮も許可されている。
とりあえず鑑定してみようかしら。
そう思ってリリスはニーナの話を聞きながら鑑定スキルを発動させた。
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ニーナ・メル・ハーネスト
種族:人族 レベル10
年齢:13
体力:500
魔力:1000
属性:火・水
魔法:ファイヤーボール レベル1
ウォータースプラッシュ レベル2
ウォーターカッター レベル2
秘匿領域
スキル:探知 レベル1(発動不可)
隠形 レベル1(発動不可)
罠解除 レベル1(発動不可)
暗視 レベル1(発動不可)
千里眼 レベル1(発動不可)
魔力吸引 レベル1(発動不可)
呪縛要素:商人の枷 ステージ1
商人の枷 ステージ2
商人の枷 ステージ3
**************
これって何?
あまりにも謎が多いわね。
ニーナのステータスに秘匿領域がある事自体が謎だ。
これって分析できる?
リリスは思わず鑑定スキルに問い掛けた。
『人為的にスキルや魔法の発動を制限されていますね。』
それってこの<商人の枷>の事?
『そうです。これは呪いに近いものですね。その為に魔力の回路そのものが閉塞気味です。』
商人の娘としての道を歩ませるためにこんな制限を掛けたのかしら?
そうだとしたら理不尽よねえ。
元々の魔力量もあるし、特殊なスキルを幾つも持っている。
覚醒すればそれなりの魔法の使い手になりそうだわ。
外せるものなら外してあげようかしら。でもそれってお節介なのかしら?
『いえ。お節介では無さそうです。』
それってどう言う意味?
『本人の持つ素養と枷の呪縛との間での軋轢が極度に高まっています。本人の元々の素養が高い上に呪縛の掛け方に無理があるようですね。』
『このまま放置するといずれ魔力の回路が絶たれてしまいます。』
それじゃあ放置できないじゃない。
何とかならないの?
『そもそも同じ呪縛を三重に掛けること自体が異常ですね。おそらく魔力誘導である程度まで枷を外せますよ。』
それなら外してあげようかしら。だって魔力の回路が絶たれちゃったら魔法学院に居られないわよ。
お節介な事とは思いながらリリスは行動に出た。ニーナの目を見つめて邪眼を発動させると、ニーナは視点が定まらなくなってしまった。
即座にリリスは魔力誘導を発動させ、朦朧としているニーナの身体に魔力の触手を撃ち込んだ。魔力の回路を辿っていくと、その流れを制限するような多数の障害物の存在を感じる。これが枷なのか? そうに違いない。
魔力の触手の先にヒールの波動を流しながら、魔力の回路を押し広げるように進んでいく。障害物を感じなくなるまで幾度となく繰り返す。邪眼の制限時間は5分間だ。その間に出来るだけ多くの障害物を取り除こう。
4分以上の間、リリスは魔力誘導を駆使した。その上で魔力の触手を解除して再度ニーナのステータスを鑑定すると、
**************
ニーナ・メル・ハーネスト
種族:人族 レベル10
年齢:13
体力:500
魔力:1000+
属性:火・水
魔法:ファイヤーボール レベル1
ウォータースプラッシュ レベル2
ウォーターカッター レベル2
スキル:探知 レベル1
隠形 レベル1
罠解除 レベル1
暗視 レベル1
千里眼 レベル1
秘匿領域
スキル:魔力吸引 レベル1
(阻害要素により発動不可)
呪縛要素:
商人の枷 ステージ1(残余20%)
商人の枷 ステージ2(無効化処置完了)
商人の枷 ステージ3(無効化処置完了)
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完全には枷を外せなかったものの、大半は取り除いたようだ。
これでどう?
『上出来ですね。まだ若干阻害要素として残っていますが、魔力回路に支障をきたすような枷は全て無効化されました。』
それなら良いわと思っているうちに、ニーナの意識が戻ってきた。それと共に顔色が良くなっている。魔力の流れが良くなったからだろう。
「あれっ? 私、今寝てたの?」
リリスに向けられたニーナの目にも力を感じる。
「疲れていたんじゃないの? それで体調はどうなの?」
「それが・・・・・」
ニーナは急にベッドから上半身を起こした。
「身体が熱くなってきたように感じるの。力が漲ってきたような・・・」
身体のあちらこちらを摩りながら、ニーナはリリスに笑顔を向けた。
「まだしばらく横になっていたら良いわよ。念のために保健の先生にも声を掛けておくから。」
そう言ってニーナを再びベッドに寝かしつけると、リリスは手を振って保健室を出て行こうとした。
「リリス、ありがとう。でも保健の先生が来なくても、次の授業には出るわね。何だかじっとして居られなくて・・・・・」
ニーナは満面の笑みでリリスを送り出した。
何時になく饒舌なニーナだ。枷が外れたからなのだろうか?
まあ、結果オーライよね。
そう思ってリリスは教室に戻っていった。
その後、放課後の多忙な生徒会の雑務を終えてリリスが学生寮に戻ると、何故かドアの向こうから複数の人の声が聞こえてくる。
また、殿下の使い魔が来ているのかしら?
そう思いながらドアを開けると、リリスの目の前には異様な光景が広がっていた。
ソファの上で幾つもの使い魔が絡み合いながら蠢いている。
2体のピクシーはユリアとタミアだ。小人はフィリップ王子の使い魔だが、ピクシーの下で踏みつけられている使い魔が居る。よく見るとノームだ。
農事を司る精霊・・・・・と言う事は、土魔法の絡みでチャーリーか?
「「「「リリス。お帰り!」」」」
一斉に4体の使い魔が言葉を発した。
「お帰りじゃないわよ。この状況は何事なの?」
リリスの言葉に真っ先に反応したのは赤い服装のピクシーだ。
「ストーカーを捕まえたのよ!」
そう言いながらタミアの使い魔のピクシーがノームを強く踏みつけた。
「痛いな! 誰がストーカーやねん!」
あっ、やっぱりチャーリーだ。
「だってあんた、いつも私達を付け回しているじゃないの。」
「それは君たちの監視が僕の使命やからね。」
ノームの言葉にブルーの衣装のピクシーが反応して大声をあげた。
「誰が監視対象なのよ!冗談じゃないわ!適当な理由を造って付きまとうのは止めなさいよ!」
ユリアもお怒りの様子だ。
「そんな事言うても、僕に使命を授けたのは創造神やからね。文句があったらそっちに言って。」
「あんた、創造神に会った事があるの?」
「・・・・・いや、無いけどね・・・」
「適当な事を言うんじゃないわよ!」
ピクシーとノームの諍いの傍らで小人が腕組みをして考え込んでいる。
「それで殿下はどうしたんですか?」
「ああ。」
そう言ってフィリップ王子の使い魔の小人が顔をあげた。
「僕はリースの地下神殿のダンジョンの事を君に話そうと思って来たんだ。それで部屋に入るとサラ君が倒れていて、ピクシーとノームが争っていて、しかもそれがすべて亜神の使い魔で・・・・・」
殿下も唖然としているのね。
うん?
サラ?
「そう言えばサラは?」
「ああ、亜神の使い魔が眠らせてしまったようだ。ピクシー達が器用にベッドに運び込んでいたよ。話の邪魔だからと言って・・・」
酷いわね。
サラも病み上がりなのに。
「そうそう。」
ノームを足蹴にしながらブルーの衣装のピクシーがこちらに顔を向けた。
「私達はリースの地下神殿のダンジョンの様子と感想をリリスに聞きに来たのよね。そうしたらこいつが居て・・・」
「あんたは何をしに来たのよ。私達よりも先にこの部屋に入っていたわよね。」
「僕はリリスに授けたスキルの感想を聞きに来ただけやないか。そしたら監視対象の君らが入ってきて・・・」
「「だから誰が監視対象なのよ!」」
「痛いって!」
2体のピクシーに踏みつけられたノームが悲鳴をあげて悶絶している。
だが踏みつけられて喜んでいるようにも見えるのは何故だろうか?
変態性が高そうな亜神だ。
「でも私はまだリースのダンジョンには行ったことが無いわよ。」
「そう言うと思って、映像を用意してきたのよ。今から見せてあげるわ。フィリップ!あんたも見るのよ!」
あっ、王子を呼び捨てにしちゃったわ。まあ、亜神だから人族の身分なんて気にしないでしょうけど。
ブルーの衣装のピクシーが手をかざすと、部屋の壁に映像が映し出された。
「映像の大きさは50インチ程度で良いかしらね。」
この世界にインチなんてない筈よ。私の記憶領域から吸い取った知識で話さないで欲しいわね。
そう思いつつもリリスは壁に鮮明に映し出された映像を見つめた。
ふと横を見るとフィリップ王子の使い魔の小人がソファの上で正座して眺めている。
何故に正座?
テレビの開局当時、モノクロのテレビの前で子供達が正座してテレビを見ている画像が思い出されたリリスである。
「フィリップ。あんたこの前このダンジョンの調査の為に冒険者を送り込んだでしょ?」
「ええ。腕利きの冒険者を雇って調査させましたね。Aランクの冒険者達です。」
「これはその時の映像よ。よく見ておきなさい。彼等の調査報告は聞いているだろうけど、映像で見るなんて滅多に無いでしょうからね。」
「はい!ありがたく見せていただきます!」
あらあら。
亜神の前では王子の立場も何も無いわね。
フィリップ王子とリリスが見つめる中、地下神殿のダンジョンの映像が始まった。
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