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ルシア12歳、今私にできる事

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2時間。
ただの伯爵令息でしかないダリオお兄様が、公爵かつ王弟を相手取る状態であることを考えると、早い。
ジョルジオも名前が出ていたということはおそらく一緒に動いているのだろう。
当主であるお父様含め、他の血族が不在ともなるとあの兄弟の合意でシルベストリー家が動くのは何の不思議もない。
とはいえ、リッチオーニ公爵を問いただせるだけの要素はそろっているのだろうか。
気になることは多い。

ただ、そんなことより今は自分の身の安全を第一に考えるべきだ。
可能であればお父様も助け出したいが、最初から害するつもりで綿密に計画を練ったうえで招いていたのであれば既に亡き者にされている可能性もある。
違うのであれば、おそらくは私を手籠めにして社交界に出せない状態にしたうえで再度交渉をする気なのではないだろうか。
忘れがちだがお父様は私とダリオお兄様の父親にふさわしい冷酷な悪役顔。
打算で娘ぐらい切り捨てると思われていてもおかしくない。
…そんなことは無いのだが。

そしてちょっと疑問に思うのだが、いい年齢のおじ様が、12歳の女の子に欲情するのだろうか?
はなはだ疑問である。
とはいえ、自分好みの女性に囲って育てるための青田買いの意味合いもあるのだろう。

今世の知識だと閨についての知識はないが、前世は大人と呼ばれる年齢まで生きていただけあり、経験はなくとも知識はある。
今時点ですでに公爵が去ってから20分以上は経ってしまったとすると、残り時間はどのぐらいあるのだろうか。
看板では2-3時間の「休憩」料金、という表示を見たことがある。
…リッチオーニ公爵の「急ぐ」はどのぐらいなのだろうか。
お母様に粘ってほしいと願いながら、もう一度窓の外を探る。
屋敷の中を通り成功すればいいが、失敗した時に早々見つかって拘束されるような危険を冒すよりは、いざとなったときに窓から逃げられる準備を入念にしておいたほうが良い。
そもそもこの世界には魔法がある。
工夫すれば12歳である今時点で覚えている魔法でも、軽傷ですますことができるのではないだろうか。
まずは試しに届く範囲にある蔦にゆっくり魔力を流し、木魔法で強化してみる。
多少は丈夫そうになったが、私の体重を支えるにはちょっと心もとない。
引っ張ってみるとかなりの弾力はあるが、一定の力を入れると切れてしまった。
…ある程度束ねればロープの代わりにならないだろうか?
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