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ルシア12歳、今私にできる事

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「ちなみに、弟君とも仲が良いのか?」

いきなり、我が家で避けたい話題ベスト3に入る内容が来たので一瞬固まる。
そう、シルベストリー伯爵家には3人の子どもがいる。
さらりとなびく銀髪に鋭い目つきの緑眼が父にそっくりな、自分にも他人にも厳しく、目的のためには手段を択ばない兄、ダリオ=シルベストリー。
侯爵家から嫁いできた母・アウローラによく似たヘーゼルに近い金髪に、父や兄そっくりの緑の瞳、表情の私、ルシア=シルベストリー。
柔らかで癖のある髪の毛に紫眼たれ目で、私の1歳年下の弟ジョルジオ=シルベストリー。
彼の髪の色は、私や母の茶金色よりもさらに王家の黄金色に近い。
そして、現国王陛下には、母親違いで、言葉は悪いが「女たらし」の弟君が一人いる。
…ジョルジオは、この王弟、エンリオ=リッチオーニ公爵にそっくりなのだ。
「…たまに、お茶を一緒に飲みます。」

前に話したのがいつだったのかすぐには思い出せない程度だが「たまに」の範疇だろう。

「ほう?」

私の間を不自然に思った殿下がにやりと笑う。
実は、前世の記憶によると、ジョルジオの本当の父は本当にリッチオーニ公爵。
陛下と父の間では、私と殿下の結婚によりさらにシルベストリー家の格を上げ、ジョルジオをリッチオーニ公爵家に養子に入れることまで内諾済みなのだ。
王家としては跡取りも作らず遊び歩いている公爵家に比較的縁のあるものを送り込める。
父としては継ぐ跡目もない次男で、血もつながっていない厄介者を家から出せる。
両者にメリットがあるのだ。
殿下はもしかして、わかっていて話を振っている…?

「天真爛漫でかわいらしい弟です。」

あわててフォローを入れるが、これは事実だ。
記憶を取り戻す前、小さなころはついついその笑顔につられてかわいがってしまっていたのだ。
…実母には嫌な顔をされていたが。

「そうか。そんなにかわいらしい弟なら俺も一度話をしてみたい。ぜひ今度一緒に連れてきてくれ。」

「…かしこまりました。」

その今度をいつにするのか、兄とよくよく相談が必要だろう。
あの仲の悪い父と母を丸め込むのは容易ではないから。
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