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で、だ。
会場内の指定された区画に国ごとに集まり、保護者もそこに混じる。
イルマリネン出身の新入生はぱっと見200-300人というところだろうか。
濃淡様々な赤が周りにあふれている。
覚えがあるのは、母が婚約者候補として名前を出していた、ティレスタム公爵家の次男、クロンクビスト伯爵家の長男、エクルンド侯爵の三男。
母も私の好みを把握して言っていたらしく、いい感じにしっかりとした体躯の強そうな男子たちだ。
というか、うすぼんやりとした記憶をたどると、彼らとは手合わせしたことがあるはず…
簡易見合い代わりの戦闘訓練と言いますか…セシリアの脳筋具合に両親(というか母親)が妥協した結果だと思われる。
他にも、ベーヴェルシュタムとヴェステルベリの両公爵家の当主たちがいるからきっとそこの令嬢たちもいるんだろう。
もちろん、アーネの親御さんたちである侯爵の顔も見える。
あと、多分さっき挨拶してくれた子たちもたくさんいる…気がする。
…令嬢たちの顔が「見たことある」レベルにとどまっている原因はおそらくセシリアが強いやつにしか興味がないという極振りだったからだと推測。
もうちょっとアーネ以外とも交友関係を広くしておかないと、足元をすくわれそうだ。
気を付けよう。

「ドレスを着れば随分おしとやかな令嬢に見えるんだね。」

保護者同士、子ども同士どんどんあいさつを交わしていくと、イェルハルド=ティレスタムに話しかけられた。
彼の家は我が家と同じく真っ赤な髪、真っ赤な目ではあるが、明るい赤色で光の加減によっては朱色がかって見える我が家と比べると、深い緋色というか血液のような赤色に近い。
深みのある色から大人の魅力が出ているというか…正直イケメン。
公爵家という家柄も十分だし、乙女ゲームに出てくる一般的な王子様タイプだ。

「もう15ですから。手合わせをしたのは3年も前でしょう?」

「言葉遣いまで令嬢みたいじゃないか。」

「一応は。崩してもよろしくて?」

「構わないよ。僕と君の仲だし。」

「…誤解されるようなことは勘弁してよ。」

「僕は大歓迎だけど?」

そう言ってにやりと笑う。
家格・年齢ともに釣り合いが取れ、向こうは次男で婿に入るのも全く問題なし。
まぁ、そうなるよね~。

「とはいえ、騎士になるのも悪くはないからね。別に無理にとは言わないよ。」

「…まぁ、えーと、3年間よろしくお願いします?」

「どこのクラスになるかはまだわからないけどね。同じクラスになれば良いけれど。」

「あーそっか。うん、クラス。そうだねぇ」

クラス分け。
すっぽり頭から抜けてた。
そりゃあこの人数だもの、あるわよなぁ…。

アーネと離れたらどうしよう。
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