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もう、俺は絶望していた。
本当に飛び降りるしかないと思ってここに来た。

ここは待人岬。
有名な詩人が眠っているという市営墓地が見える細い通りを抜けると、眼前に大きく広がる海と空。
昼間はキラキラと輝くその海と空が美しく、風光明媚な観光地となっている。

しかし、夜の顔は「自殺の名所」。
潮の流れが早くて、死体が浮かんでこないって話だ。
人気が少なくちょっと怖い雰囲気のことから肝試し場所とか、吊り橋効果を利用したナンパの名所ともいわれていたが、ナンパ待ちでマワされた女性が崖から落とされたとか、親子連れの車が心中のためにバックで崖に突っ込んでいったとか、最近も色々あったからやっぱり自殺の名所で定着している。

もうこんな世の中とはおさらばしたい。
二度とあいつらの顔も見たくないと思った俺にはぴったりの場所だ。

「おーい」

人を呼ぶ声がする。
もしかして俺を止めようとしてるんだろうか。

「おーーい」

止められる前に飛び降りるべきなのか?
でも落ちてすぐ通報されたらもしかして…助かってしまったり…

「おーーーーーい」

仕方がない…


「止めないでください。」

俺は相手と対話することにした。
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