異世界王女に転生したけど、貧乏生活から脱出できるのか

アリスティア、王都に帰る

9

明日からは美味しい「ごはん」が食べられるかも…！
私の気分はウキウキだ。
侍女に手伝ってもらって眠りに落ちると、そこは真っ白な世界だった。

「異世界生活、楽しんでる？」

真っ白な世界にいたのはやはり真っ白な女神、ロミア様。
相変わらず美しい。
各地の神殿では割と忠実に再現された石像が飾られているが、やはり本物は段違いだ。

「おかげさまで、少しずつ馴染んでいます。家族もいい人そうですし…」

初めて会った家族たちは、とても優しそうに見えた。
今後この世界で暮らすとなると、家族とあとは食だ。

「大きくチート、となるとまだしばらくかかるかもしれませんが、食生活はどうにかなりそうです。」

思ったままを報告する。

「そう？それなら良かった。露骨な手助けはあまりできないけど、どうしても困ってるようだったら検討してあげるから強く念じるといいわ。」

あんまり期待してなかったけど助けてもらえそう…！ありがたい…！
あ、この機会にせっかくなので、疑問も解決しておきたい。

「ちなみに、みんな割と使徒の使命について気にするのですが、私は好きに生きていて良いのでしょうか？」


「ええ、あなたなら、自分の周りの環境を良くしようとするでしょう？ファルメディアには徐々に善き人が増えているわ。だからそろそろ日の目を見ても良いかなって。だいぶ苦労したみたいだし…以前みたいなことはもう起こらないでしょう。」

そういえば、我が国は大審判で罰を受けているとは聞いているが、以前がどういう国だったか聞いていない。

「以前？それはもう酷かったわよ？」

そうだ、女神様は頭の中が読めるんだった。

「王宮内では賄賂も汚職が広がるわ、民草には重税が課せられるわ、重税に苦しみ賊になるものも激増するわ。あれ、多分私が大審判でやらなかった、国の中から崩壊して大量の死者が出てたと思うわよ。」

そんなに酷かったのか…
今の王様たちからは想像できない。

「あなたのひいひい祖父さんが酷かったのよ。疑り深いし嫉妬深いし。有能な部下は全部処刑しちゃって、自分におもねるものばかり残して。それでいて国が荒れたのを自分のせいだと思ってないんだから。迷わず地獄行きにしてやったわ。」

そうか、ひいひい爺さんは地獄行きだったのか……
私たちは今、そのとばっちりを食らってるというわけね。