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新作1
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クロヴィスが住むお屋敷は、近衛騎士団長の家とは思えないほどメルヒェンチックでファンシーで、屋敷の中はとってもロマンティックでガーリーだった。
パープルを基調とした内装はゴージャスかつデコラティブなのに、それらがバランスよく組み合わされている。
「うわぁ……! 内装もお母様が決められたのですか? とてもセンスがいいですね! 素晴らしいです!」
私はまだ見ぬクロヴィスのお母さんを褒めちぎった。この独自のセンスは真似しようと思ってもかなり難しいと思う。
「お、おう、そうか。母上が喜ぶかもな。……また後で伝えとく」
自分の母親が褒められたからか、何故かクロヴィスまで照れている。
私はクロヴィスに案内されながら、時々立ち止まっては装飾を眺めた。
美しい曲線を描く、艶やかなブラックカラーのアンティーク調の家具が所々に配置され、私の目を楽しませてくれる。
こんな素晴らしいセンスを持つクロヴィスのお母さんはどんな人なのだろう……めちゃくちゃ興味がある。いつか会う機会はあるのだろうか。
そうこうしているうちに、お茶会会場に到着した。
「はわぁ……! 飾り付けがとても素敵です!」
会場内はシックな色合いの花で装飾されていて、とても大人っぽい雰囲気だ。ソファなどのクッションに使われているファブリックも華やかで、どこかのテーマパークに紛れ込んだのでは、と錯覚してしまいそうになる。
「ミシュリーヌ様! お待ちしておりましたわ!」
非現実的な世界に、この世のものとは思えない非現実的な美少女がいた。
「……っ?! ベ、ベアトリス様……っ!!」
ベアトリス様を見た私はだばーっと感動の涙を流した。こんなに尊い存在が降臨なされてこの世界は大丈夫なのだろうか……。尊さで世界が滅びそう。
汚れ切った私に祝福を授け賜う天使の如く美しいベアトリス様が……! いつもは明るめの衣装をお召しになっている光の天使様が、なんと今日は黒を基調としたドレス──ゴシックでロリータな衣装を身に纏っている!!
その姿はまさに小悪魔!!
天使のようだと常日頃思っていたけれど、小悪魔なベアトリス様もこれまた背徳的でサイコーだった。全世界に有難うございますと100万回は言いたい。
……っていうか小悪魔なんかじゃ全然ベアトリス様と格が合わないから訂正させてもらおう。
大悪魔? いや魔王? いやいや、ベアトリス様の美しさはそんなもんじゃ敵わない!
皇帝ルシファーが悪魔の軍団を引き連れて来ても、ベアトリス様の圧倒的勝利だろう。
もしベアトリス様が本当に悪魔だとしても、私は喜んで魂を差し出すと思う。むしろ私を地獄に連れてって! と願うだろう。
「あらあら。ミシュリーヌ様はお会いする時いつも泣いていらっしゃいますのね」
まさかベアトリス様のゴスロリ姿を拝めるとは思わなかった私の目から、今だに感動の涙が流れ続けている。このままだとクロヴィスんちにナイル川が出来てしまう。
ベアトリス様はそんな私の近くまで来ると、ハンカチで私の涙を拭ってくれ──「何泣いてんだよ!! ほら、拭け!!」──ようとしたのに、クロヴィスが私の顔を自分のハンカチでごしごしとこすった。力が強くて地味に痛い。
「まぁ……! クロヴィス様! わたくしがミシュリーヌ様の涙を拭って差し上げようと思っていましたのに! 邪魔なさらないで!」
「はぁ?! 今日は俺がホストだろっ?! ゲストの世話をするのは当たり前だっ!!」
珍しく異議申し立てしたベアトリス様と、クロヴィスが言い合っている。二人ともすごい剣幕だ。
パープルを基調とした内装はゴージャスかつデコラティブなのに、それらがバランスよく組み合わされている。
「うわぁ……! 内装もお母様が決められたのですか? とてもセンスがいいですね! 素晴らしいです!」
私はまだ見ぬクロヴィスのお母さんを褒めちぎった。この独自のセンスは真似しようと思ってもかなり難しいと思う。
「お、おう、そうか。母上が喜ぶかもな。……また後で伝えとく」
自分の母親が褒められたからか、何故かクロヴィスまで照れている。
私はクロヴィスに案内されながら、時々立ち止まっては装飾を眺めた。
美しい曲線を描く、艶やかなブラックカラーのアンティーク調の家具が所々に配置され、私の目を楽しませてくれる。
こんな素晴らしいセンスを持つクロヴィスのお母さんはどんな人なのだろう……めちゃくちゃ興味がある。いつか会う機会はあるのだろうか。
そうこうしているうちに、お茶会会場に到着した。
「はわぁ……! 飾り付けがとても素敵です!」
会場内はシックな色合いの花で装飾されていて、とても大人っぽい雰囲気だ。ソファなどのクッションに使われているファブリックも華やかで、どこかのテーマパークに紛れ込んだのでは、と錯覚してしまいそうになる。
「ミシュリーヌ様! お待ちしておりましたわ!」
非現実的な世界に、この世のものとは思えない非現実的な美少女がいた。
「……っ?! ベ、ベアトリス様……っ!!」
ベアトリス様を見た私はだばーっと感動の涙を流した。こんなに尊い存在が降臨なされてこの世界は大丈夫なのだろうか……。尊さで世界が滅びそう。
汚れ切った私に祝福を授け賜う天使の如く美しいベアトリス様が……! いつもは明るめの衣装をお召しになっている光の天使様が、なんと今日は黒を基調としたドレス──ゴシックでロリータな衣装を身に纏っている!!
その姿はまさに小悪魔!!
天使のようだと常日頃思っていたけれど、小悪魔なベアトリス様もこれまた背徳的でサイコーだった。全世界に有難うございますと100万回は言いたい。
……っていうか小悪魔なんかじゃ全然ベアトリス様と格が合わないから訂正させてもらおう。
大悪魔? いや魔王? いやいや、ベアトリス様の美しさはそんなもんじゃ敵わない!
皇帝ルシファーが悪魔の軍団を引き連れて来ても、ベアトリス様の圧倒的勝利だろう。
もしベアトリス様が本当に悪魔だとしても、私は喜んで魂を差し出すと思う。むしろ私を地獄に連れてって! と願うだろう。
「あらあら。ミシュリーヌ様はお会いする時いつも泣いていらっしゃいますのね」
まさかベアトリス様のゴスロリ姿を拝めるとは思わなかった私の目から、今だに感動の涙が流れ続けている。このままだとクロヴィスんちにナイル川が出来てしまう。
ベアトリス様はそんな私の近くまで来ると、ハンカチで私の涙を拭ってくれ──「何泣いてんだよ!! ほら、拭け!!」──ようとしたのに、クロヴィスが私の顔を自分のハンカチでごしごしとこすった。力が強くて地味に痛い。
「まぁ……! クロヴィス様! わたくしがミシュリーヌ様の涙を拭って差し上げようと思っていましたのに! 邪魔なさらないで!」
「はぁ?! 今日は俺がホストだろっ?! ゲストの世話をするのは当たり前だっ!!」
珍しく異議申し立てしたベアトリス様と、クロヴィスが言い合っている。二人ともすごい剣幕だ。
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